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「みちょぱの彼氏」以外の肩書がほしい大倉士門……加藤浩次の「ヒモキャラ」アドバイスに感じた世代間のズレ

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。

<今週の有名人>
「ヒモになれないというか」大倉士門
『迷えるとんぼちゃん』(5月5日、ABEMA)

 若手芸能人が、大物芸能人に番組内で仕事の相談をするという企画を、時折見かけることがある。一時期、『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)で、女性芸能人が有吉弘行に相談するという企画をやっていたが、やっぱり有吉のような売れた人、苦労をした人は着眼点が違うと思わされることが多々あり、面白かった。

 相談者である若手芸能人にとっても、テレビに出られて、かつ仕事のヒントをもらえるわけだから、おいしい企画と言えるのではないだろうか。しかし、先輩のアドバイスを、若手が実際に実行できるかというと別問題で、なかなか難しいように思う。

 5月5日放送の『迷えるとんぼちゃん』(ABEMA)。同番組は、極楽とんぼ・加藤浩次と山本圭壱が、ゲストの悩み相談に乗るという内容だが、今回はタレント・大倉士門がゲストだった。大倉のお悩みは、「肩書が交際中の彼女である『みちょぱ(池田美優)の彼氏』になっていること」。「みちょぱの彼氏」と呼ばれることが嫌なわけではないものの、ほかの肩書がほしいそうだ。

 大倉の将来の目標は、バラエティ番組でMCをやること。目指すは、フットボールアワー・後藤輝基や関ジャニ∞・村上信五。そこで、極楽とんぼの2人は、大倉が番組からMCを任せてもらえるようになるには、どうすればいいかを考えていく。

 『スッキリ』(日本テレビ系)など、数多くの番組でMCを務めている加藤は、そのポジションを獲得した経緯を、こう明かしている。

 まずバラエティ番組でゲストとして出演し、存在感を示す。そこから、ゲストではなく、レギュラーの座を獲得し、番組内のワンコーナーを任せてもらう。すると、深夜帯の違う番組でMCをやってみないかという声がかかったそうだ。芸人流MC獲得術とは、少しずつ、信頼と実績を積み上げていくということだろう。

 そのためには、まず大倉は「バラエティ番組に出る」ことから始めなくてはならない。加藤いわく、「どんなバラエティでも、腹をくくって出ていくしかない」「モデルとして売れたプライドを捨てることが大事」で、「『みちょぱの彼氏』としてバラエティ番組に出ていこう」と提案する。品川庄司・庄司智春の持ちネタ「ミキティー!」を真似て、「みちょぱの彼氏」と名乗れば、周囲がツッコミやすく、「MCはラク」というだけに、確かにバラエティで重宝されるタレントになれそうだ。

 また、番組が調査したところ、街行く人は大倉に対して「みちょぱのヒモ」というイメージを持っていることが明らかになる。現在、みちょぱと大倉は同棲中だが、生活費は折半にしていると大倉は言う。しかし、加藤は「そこは(みちょぱ)9:(大倉)1でしょ」、山本は「バイクのガソリン(代)だけ私が出してますみたいな」と、世間のイメージに沿って、話を替えるべきだと主張する。

 確かに「キャラが立って注目を集められる」という意味では、2人のアドバイスは有効だろう。大倉も「めっちゃ勉強になる」と素直に従おうとしていたが、実際に彼がそれを行動に移すのは、無理ではないだろうか。なぜなら、大倉は芸人ではないからだ。

 大御所芸人の明石家さんまが、「ウケれば何でもいい」とバラエティ番組で言っていたことがあるが、芸人のネタやエピソードトークは、ウケることのほうが大事で、必ずしも真実である必要はない。しかし、芸人ではない大倉は、自分自身を「めっちゃ真面目」「ヒモになれないというか」と自己分析していることもあり、そういう人がウケるために、ウソを演じきれるかというと疑問に思う。

 また、キャラを演じきるためには、芸人並みのトークスキルも必要になる。しかし、今の大倉にそれがあるとは思えない。これは大倉本人の資質というより、大倉はモデルとして芸能界に入ってきたのだから、できなくて当たり前と言えるだろう。

 「大倉は芸人ではない」という点以外に、世代による意識のズレも、見逃せない。極楽とんぼが若手の頃は「売れるためなら、意に染まぬことを受け入れて、何でもする」がスタンダードだったかもしれない。しかし、これは私の主観だが、番組を見ていて、大倉が「何がなんでも売れてやる」というガッツを持っているようには思えなかった。「やりたくないこと、できないことでも、努力してできるようにする」というのは、極楽世代が求められてきたことであって、大倉のような若い世代にはなじまないことなのではないか。むしろ、「無理をしない」「できることをどんどん伸ばす」ほうが向いているように思うのだ。

 それでは、大倉はどうしたらいいのか。2017年6月4日放送の『テレビじゃ教えてくれない!業界裏教科書』(ABEMA)で、オアシズ・大久保佳代子は、キャラの作り方について、極楽とんぼの2人とはまた別の切り口から、「0からキャラを作ると、ウソだとバレる」「自分の中にあるものを、膨らませていく」といった話をしていたことがある。

 大倉の場合、SNSのフォロワーの85%が女性だそうだ。同番組にVTR出演した芸人・マテンロウのアントニーによると、大倉はモデルの女の子とも友達のように自然に仲良くできるそうだし、みちょぱとのLINEのやりとりは1日200往復していると言う。つまり、大倉は「女性ウケ」する何かを持っていて、女性と仲良くすることが得意と言えるだろう。そんな自身の特性を“キャラ”として生かしていくのをおすすめしたい。

 ちょうどいいというべきか、『トークィーンズ』(フジテレビ系)や『上田と女が吠える夜』(日本テレビ系)など、女性向けのトーク番組が増えている今、「女性の会話に違和感なく入っていけるキャラ」というのは需要があるように思う。ほかにも、女性をターゲットにした、女性向けの企画をYouTubeなどで行ってみたらどうか。

 ただし、女性向けキャラで売るのなら、浮気はご法度である。暴露系YouTuber・東谷義和氏に、「ガーシーch」で過去の浮気をバラされた大倉だが、そのあたりのことも注意ながら、MCへの道を歩んでほしいものだ。