覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。
懲役太郎さんのYouTubeに出演
最初にご報告です。あの懲役太郎さんの「週刊YouTube!プラス」に出演させていただきました。
編集者さんにもめっちゃうらやましがられました。ほんまにええ人ですよ。なんか瑠美のことを「パンチパーマの大阪のおばちゃん」と想像してたそうで、「きれいですね」と驚かれました。驚くことやないですけど、やっぱりうれしいです。
懲役太郎さんは、元ヤクザでムショ暮らしも経験して、今はユーチューバーとしてもご活躍です。登録者数約42万人……。さすがです!
懲役太郎さんの動画を見ると、頭ええ人と思います。やっぱ更生できる人って、ホンマの意味で頭ええんですよ。学校の勉強ができるのとはちょっとちゃいます。
「自立準備ホーム」のネットワーク誕生
更生はカンタンではないですが、最近は更生に関するニュースが目立ちますね。みんながいろんなところから応援したらええですよね。ちなみに瑠美も今は通信教育でカウンセリングについて勉強しています。そばにいて話を聞いてくれる人がいてたら、更生もしやすいと思うからです。
相談相手と同じくらい重要なのが「居場所」です。少年院や刑務所を出ても、行くところがなければ、また悪いことをして逆戻りするほかないですから。
行くところがなければ、法務省の「自立準備ホーム」に入ることもできます。
このホームは「保護観察所」として登録した団体が部屋を用意して、スタッフさんが毎日生活指導をするんですが、似たような施設に「更生保護施設」もあります。これは窮屈すぎで入りたい人はまずていません。ほとんどが酒・タバコ禁止で門限厳しくて、携帯電話を持たせてもらえないこともあります。そんなんカタギでもムリなのに、ムショ帰りが住めるわけがないですよ。
これはアカンちゅうことで、2011年からもっと自由な居場所として自立準備ホームができたそうで、自分に合うところを選べるようですが、情報が少ないんですよね。そもそもスタッフの人たちは忙しすぎて、ホムペとか作る余裕なんかないそうです。
それで、このホームの初の全国組織・一般社団法人「日本自立準備ホーム協議会」ができて、話題になっていますね。準備ホームは全国に447カ所もあるので、ホームがつながって情報交換とかのできるネットワークを作ろうちゅうことです。
組織の代表の人が「逮捕歴15回」の高坂朝人(たかさか・あさと)さんちゅうアラフォーさんなのも注目度高いですよね。高坂さんは、若い頃はぜんぜん更生する気がなかったそうですが、24歳の時に彼女さんの妊娠がわかって、「生まれた子どもが不幸になるから」と方向転換したそうです。
もちろんすぐにはちゃんとした仕事はムリでしたが、介護の仕事をしてお年寄りに感謝されたり、前科持ちがバレてもクビにしなかった施設の社長さんとかに支えられたりして、ここまで来たそうです。
エリートさんに説教されてもちっとも響きませんが、こうゆう「元・悪い人」がお手本を示すと説得力ありますよね。
高坂さんが介護職に就いたのは「もうかりそうだったから」と素直ですが、実際に介護の現場は人手が足りないし、イケると思いますよ。
高坂さんは、NPO法人「再非行防止サポートセンター愛知」理事長として講演もされてるそうです。なんと高坂さんのホームから飛んだ(=逃げた、無断退去した)のは2人だけちゅうのもすごいです。これからも注目したいですね。