5月9日に放送された綾瀬はるか主演ドラマ『元彼の遺言状』(フジテレビ系)の第5話。初回は世帯平均視聴率12.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と、まずまずの滑り出しを切ったものの、第4話で9.0%と1ケタに下がり、第5話では8.6%まで下落した。この数字は、「最近、調子のよかった“月9”枠の勢いを止めてしまいそう」(芸能ライター)と懸念されているようだ。
『元彼の遺言状』は、小説家・新川帆立氏による同題ミステリー(宝島社)の実写版。遺産相続問題を通じて知り合った主人公の弁護士・剣持麗子(綾瀬)と、作家志望の謎の男・篠田敬太郎(大泉洋)がタッグを組み、事件を解決するという物語だ。
※以下、第5話のネタバレを含みます。
第4話のラストで、大手出版社の顧問契約をめぐって対立した剣持と篠田は、第5話に入っても“不仲”が継続。そんな中、篠田は剣持の元恋人・森川栄治(生田斗真)のいとこである森川紗英(関水渚)に、剣持はかつての上司・津々井君彦(浅野和之)にそれぞれ誘われ、投資会社「M&Sキャピタル」の株式上場発表会パーティに向かった。
しかし、パーティー会場のライトが消された一瞬に、投資家の久野文也という男が毒殺される事件が発生し……といった内容だった。
「その後、篠田はパトリシア・ハイスミスの小説『見知らぬ乗客』からヒントを得て、この事件が“交換殺人”であることを看破。犯人は、アクアショップの店主・浜野美咲(遊井亮子)で、彼女の夫を殺したM&A社代表取締役の真梨邑礼二(藤本隆宏)と共謀し、同社の共同代表・庄司健介(高橋洋)を殺害しようとしたものの、暗闇の中で席を間違え、間違って久野を殺してしまったのが真相でした」(同)
この展開に対し、ネット上では「登場人物の多い推理モノは楽しい!」「ミステリー作品を紹介する番組みたいで新鮮」などと、ポジティブな声もあったが、一方で「ミステリーにしては脚本が荒すぎる。ツッコミどころ満載だよ」「いつの間にか事件が解決してて、謎解きの爽快感がない」といった苦言も少なくない。
「もともと、第1話と第2話では、『僕の全財産は僕を殺した犯人に相続させる』という遺言を残して亡くなった森川の遺産を手に入れるため、篠田を犯人に仕立て上げるという目的のもとに、剣持と篠田は手を組んでいました。しかし、この2話で原作のストーリーが終わってしまい、3話からはドラマオリジナルの展開がスタート。それに伴って、第5話のように剣持と篠田が2人で事件を解決するストーリーが増え、剣持の“弁護士”という設定を生かしきれていない印象です。ネット上にも『麗子は弁護士というより探偵でしょ』『リーガルドラマを楽しみにしてたのに、思ってたのと違う』といった不満が漏れており、視聴率にも影響を与えているのかもしれません」(同)
なお、『元彼の遺言状』が放送されているフジテレビの“月9”枠は、ここ数年、視聴率の面では好調だったが……。
「全話平均視聴率を見ると、2020年11月から放送された『監察医朝顔2』が11.5%を獲得し、『元彼の遺言状』の前クール『ミステリと言う勿れ』(22年1月期)の11.8%まで、5作すべて2ケタを記録しています。『元彼の遺言状』は、第5話までの平均が10.1%なので、かろうじて2ケタを保っていますが、8.6%まで落ちたのを考えると、“月9”の勢いを止める作品になってしまいそうです」(同)
なお、『監察医朝顔2』の前クールに放送された『SUITS/スーツ season2』(20年4月〜10月放送)は、全話平均8.5%と低調で終わった。『元彼の遺言状』によって、“月9”は数字の取れない枠に戻ってしまうのだろうか?