坂口健太郎と杏がダブル主演を務める連続ドラマ『競争の番人』が、フジテレビ系「月9」枠で今年7月から放送されると明らかになった。作家・新川帆立氏の同題ミステリー小説(講談社)が原作で、同氏の著書『元彼の遺言状』(宝島社)は今期、綾瀬はるか主演の月9ドラマとしても実写化されている。異例の2クール連続で同一原作者の連ドラを放送するとあって、業界内外で注目を浴びているが、この編成には、フジ局内で後ろ向きな声も出ていたようだ。
現在、綾瀬が主演中の『元彼の遺言状』は、原作が2020年の「第19回『このミステリーがすごい!』大賞」で大賞を受賞。一方、次クールでの放送が発表された『競争の番人』の原作は、昨年から「小説現代」(講談社)で連載され、今年5月11日に単行本が出版されたばかりだ。
「つまり、『競争の番人』は単行本発売前からドラマ化が計画されていた作品で、フジにとってはそれだけ期待している作品です。当然、今期の『元彼の遺言状』から盛り上がりが継続することをもくろみ、2クール連続ヒットを狙っていたとみられますが、『競争の番人』ドラマ化の情報解禁に至るまで、局内から不安の声も出ていたとか」(スポーツ紙記者)
というのも、『元彼の遺言状』の評判が良いとは言えず、視聴率も下降の一途をたどっているからだ。
「近年“視聴率女王”と名高かった綾瀬が『元彼の遺言状』で演じているのは、亡くなった元彼・森川栄治(生田斗真)の遺産を狙い、栄治の友人・篠田敬太郎(大泉洋)と共謀する弁護士・剣持麗子というキャラクター。初回世帯平均視聴率12.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)で発進後、第2話でいきなり10.3%まで後退し、第3話は横ばい。第4話で9.0%と1ケタ台に転落すると、以降も8.6%(第5話)、7.9%(第6話)と下落し続けています」(同)
さらに、視聴率が振るわないだけでなく、ネット上では「原作は面白かったのに」「ドラマオリジナルの展開を入れるとか、なんで余計なことをするわけ?」などと不評を買っている。
「しかし、原作を生かした初回放送から、登場人物が多かったこともあってか、『話がごちゃごちゃしている』など、否定的なコメントが寄せられ、かつ視聴率も2ケタながら、期待よりは伸びなかったため、第2話が放送された頃には、局内でも『次クールも同じ原作者で戦うのは厳しいのでは』と議論されていたそう。とはいえ、視聴者からの批判の多くは原作ではなく、オリジナルストーリーを盛り込んだドラマの脚本や演出のほう。フジテレビの制作方針が問題とされているのは明らかだったため、結局はすぐに『やはり夏の月9は「競争の番人」で』となったようです」(テレビ局関係者)
そんな『競争の番人』は、天才だが理屈っぽい小勝負勉(坂口)と、同じく実直で感情に任せて行動する白熊楓(杏)が、公正取引委員会の第六審査、通称“ダイロク”の職員として、企業の不正などをあぶり出していくという内容だ。
「業界的には夏ドラマこそ、在宅率が下がるため“高視聴率は難しい”と言われる中、フジテレビは月9初の“2期連続同一原作者の連ドラ放送”に踏み切ることに。『元彼の遺言状』の不調で、局関係者は大慌てだったようですが、ここからの巻き返しを祈るしかありません」(前出・スポーツ紙記者)
フジテレビは今度こそ、原作の良さを生かすことができるだろうか。