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PTAの問題児!? 「LINEやってません」というママのせいで、会議がストップ……委員長の苦悩

ByAdmin

Jun 12, 2022

「子ども同士の付き合い」が前提のママ友という関係には、さまざまな暗黙のルールがあるらしい――。ママたちの実体験を元に、ママ友ウォッチャーのライター・池守りぜねが、暗黙ルールを考察する。

 5月といえば、PTA総会が開かれ、役員(執行部的な役割を果たす人)や委員(学年別に選ばれる各委員会に属する人)の引継ぎが行われる時期だ。最初の会では、新規の役員や委員たちが顔を合わせ、今後の活動内容や活動頻度、連絡方法などを確認し合う。やむを得ない用事で欠席する場合は、委員会の委員長や副委員長などに選ばれてしまうこともある。

 幼稚園や保育園などでも、小規模な委員会や役員活動は存在しているが、その煩雑さや作業量の多さにおいては、小学校のPTAは群を抜いているといえる。今回は、そんなPTA活動中、“暗黙のルール”が通用しないママ友に悩まされたという、ある小学生のお母さんの話を取り上げる。

PTAは「子ども1人につき1回」、コロナ禍で委員は高倍率に?

 都内で小5と小3の女の子を育児中の恵美さん(仮名・38歳)は、今年度のPTA委員に選出された。

「うちの小学校は、学校から配られるプリントに、『委員になりたい人は、希望の委員会名を書いて出す』というシステム。コロナ禍前は、保護者会で委員選出のくじ引きをしていた時期もあったそうですが、現在は行事が減ったのもあって、『今のうちに面倒な委員をやってしまいたい』という人が多く、学校側がまず事前調査を行い、やりたい人の中から平等に抽選で選ばれる方式に変わりました」

 恵美さんの子どもが通っている小学校は、子ども1人に対し、在学中に1回は役員か委員をやらなければならないというルール。恵美さんの場合は、子どもが2人いるので、最低でも2回は役員もしくは委員をやらなければならない。

「ずっと後回しにしてきたのですが、このままだと、上の娘が小6の時に、かなり忙しいと聞く『卒業対策委員(謝恩会や卒業記念品の準備を担う)』に任命されるかもしれないので、今年は『学年委員会(学年単位で行われる行事のサポート、保護者懇親会などの企画・運営を行う)』に希望を出しました。うちの地域は、2人に1人は中学受験を行う土地柄なので、高学年でのPTA活動を避ける親御さんが多い。そのため小3の娘の学年では、委員へ立候補者が多く、倍率もいつもより高かったと聞きました。私は幸い、小5の娘のクラスの学年委員に選ばれたのですが、なんと学年委員会の中での役員決めで、委員長に選ばれてしまったんです」

 恵美さんは保険会社のカスタマーセンターに勤務している。パートタイマーで基本的には定時に退社できるが、平日に委員会の会議や作業が発生すると、仕事を早退しなければならないという。委員長は学年委員会以外にも、PTA総会などにも出席しなければならないため負担が多いそうだ。

「学校行事などを取材する広報委員会や、PTA役員決めを行う推薦委員会など、それぞれの委員会によって会議の頻度はまちまちみたいですが、学年委員会は、専業主婦が多いせいか、平日の日中に会議を希望する人が多い。そのため、私は仕事を早退しなければいけない可能性が出てきて、ここに総会なども加わると、月に2~3回は、小学校に行くことになるんですよね……」

 そんな中、恵美さんの頭を最も悩ませたのが、委員をまとめるための“連絡方法”だという。

「学年委員は、それぞれのクラスで1名ずつ選ばれているので、全体では18人。会議などにはPTA役員が加わるので総勢20名前後になります。メンバー全員の会議の出欠や、議事録の共有などはできればLINEでグループチャットを作ってそこで共有したいのに、メンバーの中に『LINEはやっていません』というママさんがいるんです」

 LINEのダウンロードは任意であるため、強制はできなかったという恵美さん。

「LINEを利用していないママさんとの連絡方法をどうするかで、会議が一時ストップしました。結局、『メールならいい』ということで、委員長の私から、LINEをやっていないママさんに、議事録や次回の予定なども送ることになったんですが、私の手間が増えているっていう感覚が、相手にはないみたいなんですよね……」

 恵美さんが、この一件を仲の良いママ友たちに愚痴ったところ、「今時、PTAで『LINEやってません』なんて通用しない」「それって暗黙のルールでしょ? PTAの問題児だね」、さらには「本当はLINEをやっているけど、『やっていない』と言った可能性もある」などと言われたそうだ。

「確かにあのママさん、スマホ自体は持っていたし、しかもちらちらチェックしている様子でしたから、『本当はLINEをやってるんじゃない?』と少し疑ってしまったところはあります。でも、それを問いただすわけにはいかないじゃないですか。まぁそれは別として、私は仕事を早退しなければいけない負担に加え、細々した連絡が増えているわけで、もう少しこちらに歩み寄ってくれてもいいのにな、とは思いますね」

 今や、最も一般的かつ手軽な連絡手段の一つになっているLINE。一部には安全性などを危惧し、利用していない人がいることも事実だが、PTA活動では、行事や会議の前には頻繁なやりとりが必要となってくるだけに、「『LINEやってません』はNG」が “暗黙のママ友ルール”というのは、理解できる人が多いのではないだろうか。

 今回、問題になったママも、委員会のメンバーほぼ全員がLINEを利用している中、それでも「使っていない」と言い切るのには、相当な覚悟を要したはず。その場の「じゃあ今、ダウンロードしたらいい」という空気にも耐えたところを見るに、このママからは、「絶対にLINEをやりたくない」といった決意まで感じてしまった。

 一方で、今回のママがそうとは言わないが、ママ友関係においては、実際にはLINEを使っていても「使っていない」と話すママが、意外にも多い。例えば、公園や児童館など、不特定多数のママたちが出入りする場所で連絡先交換を行う場合に、「使っていない」とその場をやり過ごすケースが見られる。

 これはつまり、そのママと深い付き合いになるかわからない状態で、気軽に連絡を取れるLINEを教えるのは躊ちょしてしまう……といった理由からだろう。

 しかし仮に、子どもが6年間もお世話になる小学校のPTA活動で、実際はLINEを使っているのに「使っていない」と言うのは、ある意味「今後も皆さんとは仲良くするつもりはない」と宣言しているのに近いように思う。

 ただ、LINE使用の有無を問わず、このママには、「学校のママ友とは付き合いをあまり持ちたくない」「グループチャットに頻繁にメッセージが届くのが面倒だから」といった思いもあるように感じるが、それはLINEを使用している側も同じだと言えるのではないだろうか。

 というのも、本来ならば友人関係ではない、1年間一緒の委員になるだけのママたちと、うかつにプライベートのアカウントを交換したくはないのは、誰しも同じ。委員終了後のグループチャットも、退会しづらいためしばらくは残ったままになるものだが、それを面倒だと感じないママのほうが少数だろう。

 しかし、その煩わしさを上回るほどの利便性があるからこそ、PTA活動においてLINEは多くのママたちに利用されているのではないか。

 PTA活動は、任意とはいえ必須。PTA活動の中には、実際に委員になってみないとわからない細かな内容も多く、その都度メンバー同士でちょっとしたやりとりが出てくるし、委員を経験したママたちから内情を聞くケースも多い。そんな時、やはりLINEはこれ以上ないほど便利なツールなのだろう。

 ママ友と密に連絡を取りたくないという気持ちはわかりつつも、PTAに関しては、「業務」と割り切って、できる限り効率性を重視して対応するのも必要だと思う。そのために、連絡手段を“暗黙のルール”にするのではなく、活動前の段階から「連絡は主にLINEを用いる」などと明文化したら、トラブルは減るのではないだろうか。

 それでもLINEを利用したくないのであれば、その理由も明確に言うべきかもしれない。ママたちの間では「察する」という文化――つまり相手に深入りしてはいけない文化があるように感じるが、PTAという場では、ある意味、職場のように論理的になったほうが、うまく回りやすい――そんなことを思わせる、“暗黙のママ友ルール”エピソードだった。