羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。
<今週の有名人>
「母ちゃん優しいから、シャツとスカートだけは買っておいた」北斗晶
『しゃべくり007』(6月13日、日本テレビ系)
プロレスラー・佐々木健介と北斗晶夫妻の長男・健之介さんが、プロレスラー・門倉凛と結婚した。6月13日放送の『しゃべくり007』(日本テレビ系)では、「結婚披露宴スペシャル」として、佐々木ファミリーが出演。結婚までの経緯を語った。
健之助さんの結婚を明らかにしてから、北斗は自身のオフィシャルブログで、門倉を娘と呼び、ちょくちょく会って食事していることをつづっている。「是非うちの嫁を応援してやって下さい」とプロレスの試合日程やインスタのリンクを掲載するなど、門倉の“宣伝”にも熱心だ。
プロレスは人気商売なので、門倉の知名度が上がれば、本人にとってプラスだろう。一方、北斗にとっても、門倉の名前が売れれば、嫁姑共演としてバラエテイ番組からお声がかかることもあるかもしれないので、彼女の芸能活動にもメリットがあるわけだ。門倉の宣伝に精を出す北斗からは、「ファミリーを盛り立てたい」という方針が見えるような気がするが、『しゃべくり』で披露されたエピソードからは、どうも“やりすぎ”な印象――健之介さんと門倉夫婦に介入しすぎな印象を受けてしまう。
同番組では、映画監督志望の健之助さんがプロポーズのプランを練り、家族全員でそれに協力したことが明かされた。「自然の中みたいにした部屋の中でプロポーズしたい」という健之助さんの希望をかなえるために、北斗はその道具を「IKEAまで買いに行った」そうだ。『しゃべくり』レギュラー陣からは、健之助さんに対し「自分でやれよ」「なんで家族巻き込むの?」という声が上がっていた。
家族で準備をし、いよいよ自宅でのプロポーズ決行の日が決まる。健之助さんはプロポーズの一部始終を、隠しておいたカメラで撮影することにしたそうだが、北斗は映像に残すにあたり、門倉が服装にこだわりがなく、いつもジャージを着ていることを思い出し、「そんな汚い格好でプロポーズされたらかわいそう」と、事前に「その後食事に行くから、少しマシな服を着ておいでよ」と、門倉に伝えたという。
門倉は、プロレスラーの大先輩にあたる北斗の言うことを素直に聞いて、いつもよりちゃんとした格好をしてきたが、それは北斗いわく「カネのない大学生みたいな格好」。しかし北斗は元から「この子はおしゃれな服を持っていないだろうな」と予想しており、そんなこともあろうかと「母ちゃん優しいから、(門倉の)シャツとスカートだけは買っておいた」そうだ。
こういう気配りを「優しい」と感じる人もいるのだろうが、ちょっと北斗が“やりすぎ”ではないだろうか。「そんな汚い格好でプロポーズされたらかわいそう」と北斗は言うが、門倉はファッションにこだわりがないのだから、「こんな格好でプロポーズされたら嫌だ」という気持ちにならないかもしれない。それに、どんな素敵な服でも「お姑さんの買ってきた服を着てプロポーズされたこと」を喜ばない女性だっているだろう。門倉にもっといい服を着てきてほしいと思うなら、健之助さんが直接、門倉に言えばいい話。健之助さんが北斗の気配りに甘えすぎというか、北斗が“やりすぎ”という印象を受けた。
北斗が健之助さんと門倉に介入しやすいのは、やはり門倉が“後輩”だからではないだろうか。健之助さんは門倉と交際を始めるにあたり、門倉が所属する団体「Marvelous」のトップ・長与千種の許可を得ている。それだけ、プロレスの世界は縦社会で、先輩の言うことは“絶対”なのだろう。
北斗のブログを見ると、門倉と頻繁に会っている様子がうかがい知れる。自分と同じ職業ということもあって、話しやすいだろうし、礼儀もしっかりしているから、北斗は楽しいかもしれないが、門倉にとっては、誘いを断りづらい、粗相の許されない大先輩であることも忘れてはならない。
6月6日のブログでは、門倉と会ったものの、彼女の仕事が立て込んでいるということで30分しか時間がなく、すごい勢いで小籠包と数々の中華料理を食べていたと書かれている。そんなに時間がないのなら、また別の機会にゆっくり落ち着いて会えばいいのではないか。門倉のほうから「今度にしてください」とは言いにくいのだから、北斗に気遣いが求められるように思う。佐々木ファミリーを盛り上げたい、門倉と良好な関係を築きたいと思うのであれば、より一層気をつけるべきだろう。
かつて北斗は、夫を罵倒する“鬼嫁”キャラで売っていたが、言葉こそ荒いものの、実は夫を思いやっている愛情深い姿がウケていたと思う。今後は、若夫婦に対して言いたいことを言うが、決して過干渉にならず、仲も良い――そんな新しい姑像を見せてほしいものだ。