今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。
極東会に住吉会、大親分の訃報が続く
今年ももう前半が終わりますが、5月は大親分の訃報が続きましたね。
5月7日に極東会の松山眞一元会長(94)、31日には住吉会の関功代表(76)が亡くなられました。お2人とも病気が原因のようです。
松山元会長の葬儀はご遺族だけで行われたそうですが、関代表の葬儀は出身母体の八代目共和一家(千葉・富里市)で行われ、全国から親分衆が参列したことが伝えられていますね。
特に六代目山口組・司忍組長は東京駅で「フライデー」されて、構内も騒然となったようです。
六代目は傘壽(80歳ですよ)とは思えない貫禄でしたが、「こういうのって、事前に『六代目が東京に来る』とかわかってるんですか?」と編集者さんから聞かれました。もちろんです。警察もメディアも、バッチリ情報を押さえています。警察がうるさいから六代目ご一行は葬儀場には10分ほどしかいらっしゃらなかったそうですが、まあご不幸ですからそんなに長居しなくてもいいですよね。
半グレがヤクザの傘下組織に?
前置きが長くなりましたが、今週のお題です。
5月8日に起こった「神戸山口組ナンバー2自宅襲撃事件」で、実行犯がメジャーな半グレのグループの元幹部だったことが波紋を呼んでいるようです。
実行犯はすでに逮捕されていて、逮捕後の調べに「やったことは認める。でも動機はいわない」と言っているそうです。実行犯が在籍していた半グレ組織は、最盛期にはボッタクリで月に5,000万円以上ももうけていたそうですが、ハデにやりすぎて逮捕者が続出、2019年に解散しているそうです。
ただし、こういう半グレたちが山口組などのヤクザとコラボしているのは、今に始まったわけではないです。もともと「持ちつ持たれつ」的なところはありましたし、むしろ過剰な暴力団排除で身動きの取れないヤクザは「絶滅危惧種」とか言われてますから、
「これからはヤクザに代わって半グレが台頭する」とみていた関係者も多かったはずです。でもニュースを見る限り、結局は半グレもヤクザの傘下組織になり、資金源にもされてるんですね。半グレの特徴といえる「リーダーを中心にしたゆるいヨコ型のつながり」は、トラブった時には弱いからかもしれません。「親分を頂点にした厳格なタテ型組織」は窮屈ではありますが、何かあった時は頼もしいのでしょう。
ちなみに「半グレ」という言葉は、あの溝口敦御大の「命名説」がありますが、昔から普通に使われていましたよ。たとえば安部譲二さんの『スゴめ、サラリーマン! ヤクザ業界に学ぼう出世のキーワード118』(徳間書店、1989年)では、「半分グレている」を語源として、「組織にも属さずに暗黒街をとりわけ柄悪くうごめいている手合いの蔑称」とされています。あくまで「蔑称」なのです。
また、宮崎学さんの『現代ヤクザの意気地と修羅場 現役任侠100人の本音』(双葉社、2014年)では、現役の組員が半グレを「単なるヤカラ」と断じていました。脅威になどなるわけがないというわけです。ヤカラは、漢字にすると「輩」ですね。
もとは「先輩」や「後輩」など、同じグループや系列、血族などを意味していたようですが、今は「不平や苦情。また、不平を言ったり口論をしかける者」が第一の定義です。昔は「不逞のヤカラ」とか言いましたね。不逞とは、「不平をいだいて無法なふるまいをすること」「気ままにふるまうこと」だそうです。
半グレは自由度が高い代わりに組織防衛力が弱いということになりますが、最近はヤクザ組織も資金難ですから、組員の裁判や服役に対する支援体制が整えられなくなっていると聞いています。このフォローこそが「組織らしさ」なんですけど、世知辛いことですね。