芸能界には自身が招いたスキャンダルで消えていくタレントがいるが、番組の不祥事に巻き込まれて失速するタレントもいる。例えば、今年初頭にテレビ界を騒がせた、あの熱血芸人もその一人だ。
「『アイ・アム・冒険少年』(TBS系)の人気企画『脱出島』に出演するあばれる君です。無人島から自作のイカダで脱出するまでの時間を競うチャレンジ企画ですが、今年1月、『文春オンライン』があばれる君を乗せたイカダが船に牽引されて“ワープ”していたと報道。さらに、脱出した後に再び無人島に戻って“残り”のシーンをロケしていたことも数々の写真とともに伝えました」(芸能ライター)
「文春」の報道後、5月30日の『3時間SP』で「脱出島」は約4カ月ぶりに再開。『よゐこの無人島0円生活』(テレビ朝日系)でおなじみの“Mr.無人島”よゐこ・濱口優が参戦してあばれる君と対決するなど、これまで以上に精力的に企画を推し進めている。
「あばれる君は番組の指示に従っただけで、“やらせ”の首謀者ではありませんが、クリーンなイメージがあり、また子どもウケ絶大だった彼には汚点になってしまいました。『脱出島』で再ブレークしたのに、その番組で勢いにブレーキがかかってしまった」(放送作家)
そんなあばれる君より深い傷を負っているのが、『ウチのガヤがすみません!』(日本テレビ系)などでも人気だった芸人、脳みそ夫だ。
「『こんちわ~す』のフレーズでも知られる脳みそ夫は、昨年3月放送の『スッキリ』(同)でアイヌ民族の女性を取り上げたドキュメンタリー番組を紹介。その際、差別的な表現をしたことが波紋を呼び、北海道アイヌ協会が日テレに事情説明を申し入れ、『原因究明と再発防止の取り組みを求めている』とする共同声明を発表しました。小杉善信元社長は協会の定例総会に出席し、定例会見で謝罪しています」(同)
脳みそ夫はTwitterで謝罪し、「僕の勉強不足」と反省。「これを機にアイヌの皆さんの歴史や伝統、文化の勉強をしていきたい」とつづっていた。脳みそ夫自身による不祥事に見えるが、日テレサイドは「制作に関わった者にこの表現が差別にあたるという認識が不足し、番組として放送に際しての確認が不十分でした」と番組の過失を認めて謝罪。脳みそ夫のテレビ出演は減少し、現在はライブをメインに活動している。
「ちなみに、日テレは今年3月、『午前0時の森』(同)でも同様の炎上を招いています。元プロレスラーの前田日明がグラビアアイドルの尻をたとえるのに、アフリカのコイ人の蔑称を使うなど、身体的特徴を揶揄する発言を重ねて波紋を呼ぶことに。のちに編成担当は『差別的な表現であると受け止め切れなかった』と釈明していて、またも“認識不足”が浮き彫りになりました」(同)
そして最後は、あの鬼マナー講師だ。5月21日放送の『チコちゃんに叱られる!』(NHK)に、マナー講師の平林都氏が登場。女性スタッフの“お辞儀”に「下を見るな!」と一喝し、食事の際に「いただきます」と言うと、「人といるときは『頂戴いたします』やろ!」などと関西弁で叱責。スタッフを泣かせたとして大炎上した。
「今回、スタッフが泣いたことで問題視されただけで、このマナー講師はもともとこうした指導が重宝されてテレビに出ていました。いわば、今回もキャラを貫いただけ。NHKも、それを期待してオファーしているので、責められるべきは、起用していつも通りの指導をさせ、そのまま放送した局側といえるでしょう」(同)
平林氏は、この炎上騒動後、6月18日に『情報7daysニュースキャスター』(TBS系)に出演。穏やかな口調で指導を行い、“鬼”ぶりが見られなかったことが話題になった。キャラを捨てた同氏のテレビ出演は今後厳しいものになりそうだ。
番組制作者と出演者は、より良い内容を作るために一心同体となって取り組んでいるが、番組にスキャンダルが報じられた際に、矢面に立たされるのはタレントだ。視聴者からの非難が集中し、その後の芸能活動にも悪影響が出るだけに、制作者サイドは炎上騒動に巻き込んでしまった出演者に対して誠実にフォローしてほしいところだが……。
(村上春虎)