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花田優一のビッグマウスに見る「焦り」と「さみしさ」

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。

<今週の有名人>
「そこは未定ですね」花田優一
ニュースサイト「NEWSポストセブン」6月21日配信記事より

 あなたの周りに「大言壮語な人」はいないだろうか? 具体的に言うと、自分に都合のいい方向に話を盛ってしまったり、できそうもないことを「絶対できる、やってみせるよ」と断言してしまう人のことを指す。友人同士の関係では、さほど問題にはならない(ただし、あまりやると信用をなくすので注意が必要だ)が、ビジネスの世界でこれをやってしまうと、「できると言ったのに、できないじゃないか」と仕事相手の信頼を損ね、自分の評価を落としてしまうことになりかねない。

 そのため、「大言壮語な人」は、なぜ、わざわざ自分の立場を悪くするようなことを言うのか疑問に感じていたが、そういう人は、一種の“さみしさ”を持っているのかもしれない。花田優一を見て、そう思った。

 平成の大横綱・貴乃花(現・花田光司氏)の長男・優一が6月21日、公式インスタグラムで、靴職人としての活動を一時休止すると発表した。それでは、次に何をするのか。同日に配信されたニュースサイト「NEWSポストセブン」のインタビュー記事で、優一は、

「僕にとって靴作りは自分を表現する最大にして唯一の表現手段でしたが、最近はありがたいことに様々な仕事をいただいて挑戦することができています。9月で27歳になるのですが、30歳になるまでのあと何年かを準備期間として色々なことにチャレンジして自分の可能性をためしてみたいという気持ちが強くなったのも事実です」

と、今後について明言を避けている。しかし、続けて「なので来年以降の肩書きは『靴職人』でもあるし、ほかの何かになっているかもしれない。そこは未定ですね」と、肩書に囚われない「新しい自分」を見せる意気込みを明らかにしたのだ。

 具体的な肩書こそ不明だが、優一は同日、自身のブログで、今後の目標について「靴職人としての技術向上、精神的向上、より一層の邁進のため、靴作りの修行環境の変化」「本来自分が目指してきた理想郷を作り出すための、新ビジネスへの挑戦」「自分自身の表現の幅と深みへの、追求と研究」の3つを掲げている。優一は絵画や歌手、俳優としての活動も始めているだけに、つまりは、靴作りと新ビジネスと芸能活動を頑張りたいと言っているのだろう。

 「虻蜂取らず」とか「二兎追うものは、一兎も得ず」ということわざがある通り、日本では2つのものを一度に手に入れようとすると、失敗するとされている。優一の場合、3つを掲げているわけだから、大言壮語で荒唐無稽なまでに欲張っているように感じる人もいるだろうが、私には優一が「どうにかして、世間サマに認められたい」と焦っているように感じられ、切なくなってしまった。

 何者かになりたいと必死になっているように見える優一。若者が、自分の生きる道を模索し、時に苦しむことは、一種の通過儀礼だが、彼の場合、父親である平成の大横綱・貴乃花の存在が大きいのだろう。

 2021年2月4日配信のYouTubeチャンネル「街録チャンネル」に出演した優一は、「僕はまだ圧倒的に父の方が知名度も立場も上ですし」と、父親と自分を比較する発言をしていた。また、優一は、貴乃花に勘当されているというが、「勘当上等!」という感じではなく、ショックを受けているというか、さみしそうに見えた。私の主観でしかないが、挑戦的な物言いが目立つのは、優一のさみしさの裏返しのように思える。

 優一は靴職人を名乗りながら、テレビに出たり、音楽活動を行っている。「女性自身」(光文社)が19年1月に、依頼された靴の納期を守っていないことを報じたこともあり、靴作りに集中しない優一を批判する声もあるが、「街録」では、靴作りに専念しない理由について、「お客様に靴一足作ったら、お客様一人に対してしか、その靴の良さとかを伝え(られ)ないじゃないですか」「でも絵とか音楽とかって色んなところに、絵だったら飾ってある所をみんなが見たりとか、音楽だったらいろんな所でかかってる音楽を聞いたりとかあるけど」と明かしている。つまり、靴作りだけでは世間に注目されないから、「専念しない」と言っているのだ。

 20年に歌手デビューした優一は、『グッとラック』(TBS系)に出演した際に、「『NHK紅白歌合戦』に出場したいと言ったことは本気か?」という質問に対し、「歌手で一流の方でも出るのが難しいのであれば、ぼくはそこに出たいなと。もともと、歌が好きでこの職業をやらせてもらっている。(歌手に対し)最大級のリスペクトで、同じ舞台に立てるのであれば、立って見せよう」と大きく出た。しかし、優一もわかっている通り、『紅白』というのは簡単に出られる番組ではなく、今のところ、出場できていない。

 優一が靴を作ることや歌うことが好きなのは間違いないだろう。しかし、彼が本当に求めているのは、平成の大横綱であるお父さん以上に、世間から称賛されることなのではないか。そしてその根底には、父から認められていないというさみしさがあるように思うのだ。

 だからこそ、靴以外のジャンルに手を出し、トップを取ると大見得を切ってしまう。けれど、プロの世界は甘くないので、優一の願うような結果は、すぐには出ない。そうすると、次のジャンルに手を出す。その結果、世間からは「ビッグマウス」とか「何をやっても中途半端」「お父さんはすごかったのにね」と嫌なことを言われ、焦ってしまうという悪循環に陥っているように見える。

 父親と比べられてしまう、頑張っているのになかなか認めてもらえないというのは、有名人の子弟でなければわからない苦しみかもしれない。何かすごい人にならなければと“肩書”を求めて、花田は焦っているようだが、その根底にある“さみしさ”につけこんだ悪い人に、どうかだまされませんように。人生は長いんだから、ゆっくりやってくれと思わずにいられない。