6月30日の報道番組『news23』では、“ルッキズム(外見至上主義)”の問題を特集。その中で、フリーアナウンサーの小川彩佳が、多くのテレビ局が毎年制作する“女子アナカレンダー”を例に挙げる場面があった。
番組では、日本維新の会の石井章参議院議員が、新人女性候補の事務所開きの挨拶で「顔で選んでくれれば1番を取るのは決まっている」と発言し、炎上後に謝罪した問題を紹介。その上で、小川をはじめ、ルッキズムに意見を持つ女性4人が対談を行った。
アイドルグループ・アンジュルムの元メンバーである和田彩花は、「私が15歳でデビューした時は、『日本一スカートの短いアイドルグループ』というキャッチフレーズがあった」「『このスカートが何を意味するんだろう』とかまで考えていて、誰かの理想像のために私はアイドルをやってるんじゃなく、自分の人生のためにやっていたからこそ、いろいろ悩んでいた」と自身の体験を告白。
一方、東京大学の田中東子教授は、「日本社会で特にルッキズムを広げているのは、テレビの功罪ってすごく大きい」「女性は若いほうがいい、きれいなほうがいいっていうようなメッセージが、非常にたくさんテレビの中にあふれている」と見解を述べた。
これを受け、小川アナは「ひとつ思い出したのが、アナウンサーカレンダーというのがありまして」と切り出し、「だいたい30歳前後までのアナウンサーなんですよ、登場するのが。若さだったり、見た目というのが大きな価値基準であるかのような印象を感じるんですよね」と苦言。さらに別の場面では、「だいぶ変わってはきましたけれども」と前置きした上で、番組の撮影について「女性アナウンサーは、足元からなぞるようなカメラワークをして撮られたりとか」と苦笑いした。
小川アナの言う「アナウンサーカレンダー」は通称“女子アナカレンダー”とも呼ばれ、現在、日本テレビを除く民放キー局のほか、多くの地方局やラジオ局が毎年制作。局アナ数名による撮り下ろし写真で構成されており、壁掛けは2,000~2,500円程度で販売されていることが多い。
なお、『news23』が放送されているTBSの『TBSアナウンサーズカレンダー2022』(壁掛け)には、山本里菜アナや田村真子アナ、山形純菜アナら、人気アナ15人が掲載されている。
「TBSの通販サイトでは、アザーカットを採用した12種類のオリジナルフォトからランダムで2枚が封入されるなど、アイドルさながらの“特典商法”も行っています。同局は男女平等を意識してか、今年から小沢光葵アナ、高柳光希アナ、齋藤慎太郎アナといった男性アナ3人も女性アナと一緒に収まる形でカレンダーに登場。しかし、これが女性アナファンから不評のようで、『男性アナは必要ない。がっかりです』『男性アナウンサーを加えた理由を公式に発表していただきたい』と怒りの声が続出したこともありました」(マスコミ関係者)
今回の放送を受け、ネット上では、ルッキズムの“相手の容姿を侮辱し、笑ってはいけない”という点には理解を示しつつも、「容姿を評価されて利益を得ることの何が悪いのだろう」「声がきれいな人が歌手や声優として活躍するのと何が違うの?」といった疑問が飛び交っている。
また一方で、カレンダーに関しては、「上の世代の女性アナもカレンダーを出したらどうか」「アナウンサーはタレントではないから、そもそもカレンダーは出さなくていい」「小川アナは“女性アナは30代後半になると仕事が減らされる”ということが言いたいのでは」などとさまざまな意見が続出。中には「グラビアに積極的な女性アナもいるんだから、希望者だけが参加すればいい」といった提案も見られる。
「テレビ朝日の弘中綾香アナウンサーは、アイドル雑誌の表紙を飾ったり、昨年7月には写真集『ひろなかのなか 弘中綾香プライベートフォトブック』(講談社)を発売するなど、グラビアに積極的に見えます。また、テレビ局を退所後に大胆なグラビアに挑戦するフリーアナウンサーは多く、昨年は元フジテレビ・大島由香里アナのファースト写真集『モノローグ』(同)や、元テレビ東京・鷲見玲奈アナの『すみにおけない』(集英社)が大きな話題となりました」(同)
アナウンサーはカメラ映りが採用基準の一つとなっているため、容姿端麗な人物が多いのは事実。小川アナだけではなく、今回ルッキズムを特集したTBSにも、この点をどう捉えているのか聞いてみたいものだ。