• 月. 12月 23rd, 2024

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秋篠宮さまが、小室圭さんの「年収300万円」と「身辺」を問題視しなかった真意

「皇族はスーパースター」と語る歴史エッセイストの堀江宏樹さんに、歴史に眠る破天荒な「皇族」エピソードを教えてもらいます!

――前回から、秋篠宮さまのインタビュー録『秋篠宮』(小学館、江森敬治)を堀江さんと分析しながら読んでいます。前回は、眞子さまと小室さんの婚約内定のニュースがNHKで報道された直後から、小室さんの好ましくない身辺情報が一気に漏れ出しても、宮さまは上機嫌だったというところまで読み進めました。正直、これには驚きました。

堀江宏樹氏(以下、堀江) そうなんですよね。江森さんから「今回の結婚に反対された、ということはありませんか?」と尋ねられても、宮さまは「反対する理由はありません」の一点張り。この時、宮さまが持ち出したのが、なんと日本国憲法の第24条でした。

 「憲法には『婚姻は、両性の合意のみに基いて成立する』と書かれています。私は立場上、憲法を守らなくてはなりません。ですから、二人が結婚したい以上、結婚は駄目だとは言えません」と滔々と畳み掛けられたそうです。江森さんは、それが宮さまの本音だろうかと疑ったのでしょう、質問の角度を変えて迫っています。

 小室さんが当時、年収300万円ほどのパラリーガル(=法律事務の仕事)で、それが生涯の定職と呼べるものではないだろうと江森さんは考え、「小室さんは定職に就いていないのでは」などと聞いたそうなんです。しかし、秋篠宮さまは「不思議そうに(江森さんを)見ながら、『いまのお仕事が定職ですよ』」。

――内親王の夫となるべき男性が「パラリーガルのままでもよい」とする秋篠宮さまの発言は大きな話題を呼びました。

堀江氏 弁護士になる前段階の“腰掛け”の仕事ともいわれることが多い、法律事務所の事務職=パラリーガルですね。そして、年収300万円という「問題」。

 昨今の20代の日本人男性としては、そこまで低くはない収入かもしれないけれど、内親王の嫁ぎ先としてそれは十分なのか、と世間は疑問の声を上げたのです。でも、それを秋篠宮さまは意にも介さなかった。今後もパラリーガルのままでも構わないという認識が秋篠宮さまにはおありだったことを、江森さんは「はっきりと記しておきたい」そうです。

――ここはどう読めばいいのでしょうか?

堀江氏 眞子さまが小室さんを選んだことを喜んでいたということは興味深いです。この時、宮さまは年収300万円でも、二人が「身の丈にあった暮らし」ができるのであれば……とも言っています。

 秋篠宮さまには、皇女という特殊な背景を持つわが娘を、小室さんが素直に受け入れてくれた喜びがあまりに大きかったのかもしれません。皇女の結婚は難航しがちですから。

 こういう言い方は失礼かもしれませんが、秋篠宮さまは世間ずれなさっておられませんので、“お金”という非常にやっかいなファクターを、その気になれば簡単に解決ができる問題だと過小評価していたのかな、と。お金がないことが、清く正しく生きている証しというか。本来は必ずしも結びつくことではないと思うんですけれど。

 本書の中間部分では、宮さまは学者タイプという表現がよく出てくるのですけれど、まさにお金の問題を軽んじたような対応を娘の結婚相手の”査定”においてもしてしまった、ということでしょう。

――しかし、江森さんはそういう宮さまにツッコミを入れるわけでもなかったようですね。

堀江氏 そうですね。でも江森さんがジャーナリストとしての仕事を完全に怠っていたわけではないとは思いますよ。宮さまからめぼしい反応が返ってこなかったことが書かれていますから。

 眞子さまの婚約内定から約1カ月後、小室さんの身辺情報を理由にバッシングがさらに激化した状態で次の取材が行われています。江森さんは眞子さまの結婚問題に対して、秋篠宮さまに再度、切り込んだのですが、ここで、宮さまは初めて不安げな表情を見せました。

――ちょっと遅いですよね。

堀江氏 そうですね。小室さんについて家庭の内実をどの程度、把握していたかを尋ねられた宮さまは、宮内庁には小室さんの身辺調査を依頼しなかった、と明かしています。「個人情報がいろいろとうるさい時代なので、家庭状況などを調査すること自体に問題があります」と「小さい声で(秋篠宮さまは)言った」そうです。また、「宮内庁と関係がある人物には相談」していたが、「週刊誌報道で伝えられているような内容はやはり把握できなかった」。

 ここで、江森さんは「長女の結婚なのだから、もっと慎重さがあってもよかったのに」と思いながらも、その気持ちを飲み込んでしまったのでした。

――うーん、やっぱりそういう気持ちはぶつけてほしかった気がしますね。

堀江氏 そうですね。小室さんの母親の金銭問題がついに報道されてしまった2017年12月中旬以降の面会では、江森さんが「ひどく落ち込んでいるはずだ」と宮さまのことを気遣う一方、取材現場に現れた宮さまは「表情を見る限り、悩んで眠れない日々を過ごしているとは思えなかった(略)正直、拍子抜けしてしまった」。

――ここはどう解釈すべきでしょうか?

堀江氏 秋篠宮さまは、江森さんに本心を明かそうとはしなくなったのです。この12月の面会時、江森さんは宮さまに「殿下、週刊誌に大きく記事が出ていましたね」というダイレクトな質問をぶつけています。

 しかし、宮さまは「そうですね……」としか答えず、「重い沈黙が続いた。何を問いかけても会話が続かなかった」。また、「この件については何も答えないぞ」という宮さまの断固として姿勢をありありと感じたという江森さんは、違う質問に「切り替えてしまった」のでした。

――インタビューする側としては、与えられた限られた時間を少しでも有効に使おうとしがちではありますが……。

堀江氏 沈黙って怖いですものね。

 さて、年が改まった2018年1月末、強くなる一方の小室さんバッシングの最中でしたが、江森さんは秋篠宮さまの取材を継続して行っています。今回も、まったく宮さまはバッシングなど意にも介していないという態度を取られました。この時には、小室さんの母・佳代さんの生活態度……もっというと男性問題や、金銭問題が次々と浮上してはじめていたのですが。

堀江氏 「殿下、週刊誌に大きく記事が出ていましたね」と水を向けられても、秋篠宮さまは「そうですね……」としかいわず、会話が成立しなかったのだそうです。

 そんな中の2月6日、眞子内親王の結婚を20年まで延期するとの発表が、宮内庁からありました。江森さんには何も告げられていませんでした。

――オフレコという形でも、何一つ、秋篠宮さまはお伝えにならなかったということですね。

堀江氏 そうなのです。延期自体は眞子さまの発案だったそうですが。2月の取材で江森さんが宮さまに確認すると、沈黙を貫いた1月にはすでに延期は決まっていたことが、彼の口から語られたのだそうです。

――まさに翻弄されたのですね。

堀江氏 相手を不安にさせるような沈黙を使ったり、かといって服を褒められたりした場面では、素直にニコッとしたり……。かなりの人心把握術の使い手でいらっしゃるな、という印象です。実際、江森さんも「恐るべし秋篠宮」などと書いていますね。江森さんが旧著『秋篠宮さま』(毎日新聞社)などでも記してきた、「不器用」とご自分を分析する宮さまとはまったく別人のように思えてしまいました。

 さらに注目すべきは「このときのやりとりの詳細は書けないが」と、この場面に書かれてあることです。この本の情報密度が薄いと読者が感じてしまう理由は、この手のオフレコ部分が極めて多かったせいではないかと思われます。

――江森さんが、宮さまを仮に怒らせてでも真実に迫ろうという姿勢までは見せなかったことも大きいのでは?

堀江氏 “荒業”ですが、本音に迫るため、相手をあえて怒らせるというのは、たしかにジャーナリズムの現場では使いうる手ではあります。でも、そういう手を江森さんは宮さまには使いたくなかった。もしくは、使えないということでしょうか。

 しかし、そういう江森さんの配慮を、宮さまは利用して、黙秘を使うなど、なかなかなことをなさったわけです。2月の取材時でも、秋篠宮さまは謎めいた態度で江森さんを翻弄し続けるのでした。

――混迷と共に深まる秋篠宮さまの謎めいた態度……。次回に続きます。

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