2022年4月期の連続ドラマ(民放4局、午後8~10時台)が全作品、最終回を迎えた。視聴率ランキングのトップに立ったのは、全話世帯平均で12.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)を記録した嵐・二宮和也主演の日曜劇場『マイファミリー』(TBS系)だった。
※以下、ネタバレを含みます。
娘を誘拐されたゲーム会社社長の鳴沢温人(二宮)とその妻・未知留(多部未華子)が、周囲の人々に振り回されながらも、家族の絆を試される様を描いた同作。初回放送後、ネット上では「イマイチ盛り上がりに欠ける」「二宮の演技が微妙」などと不満の声も目立っていたが、物語が進むにつれ、主人公を取り巻く人間関係や犯人の考察にのめり込む視聴者が続出。4月期では独走状態が続き、最終回は自己最高の16.4%で有終の美を飾った。
とはいえ、同枠で全話平均が13%を下回ったのは、2020年10月期の妻夫木聡主演『危険なビーナス』以来。今期の綾野剛主演『オールドルーキー』は『マイファミリー』の初回を1.4ポイントも下回る11.2%で発進しており、「日曜劇場」ブランドの価値が「不安定な状況」ともいえそうだ。
香取慎吾『SONGS』→木村拓哉『みらてん』の流れにSMAPファン反応
視聴率ベスト2は、木村拓哉にとって25作品目の連ドラ主演作となった『未来への10カウント』(テレビ朝日系)。1994年10月期で萩原聖人とダブル主演を務めた『若者のすべて』(フジテレビ系)から、20年7月期『BG~身辺警護人~第2章』(テレビ朝日系)まで、24作連続で全話2ケタを叩き出してきた木村だが、『未来への10カウント』の第3話で9.9%、第4話で9.6%を記録したため、複数のメディアが「キムタクドラマ、ついに1ケタ!」「キムタク神話終了」などと騒ぎ立てた。
また、5月23日、講談社が運営するニュースサイト「フライデーデジタル」が、最終回を1週早めて、第9話で打ち切られると報じたが、なぜか当該記事はすぐ削除。後日、定例社長会見で、当初から全9話予定であったことが明らかになった。
なお、最終回が放送された6月9日は、午後9時からの音楽番組『SONGS』(NHK)で香取慎吾が特集されていた。これに続くように、午後10時から『未来への10カウント』が放送されたため、SMAPファンから「1人ずつでもこれだけの爆発力があるんだから、SMAPって本当にすごいグループだったんだって、あらためて思った」「今日は慎吾ちゃんと拓哉くんとのパワーに圧倒されっぱなしで放心状態」などと2人の活躍を関連づける書き込みが相次いだ。
ベスト3は、井ノ原快彦主演の刑事ドラマ『特捜9』(テレビ朝日系)のSeason5。これまで全話2ケタを記録し続けてきた同作だが、今シーズンは第5話と第7話でシリーズ初の1ケタを記録しただけでなく、全話平均もSeason4(昨年4月期)の13.1%から2.4ポイントダウンの10.7%と、視聴者離れが懸念される結果となった。
同作は、Season5から新人刑事役の元乃木坂46・深川麻衣と分析官役のSnow Man・向井康二がレギュラーメンバーに加入。その一方で、人気キャラクターである新藤亮巡査(山田裕貴)が第3話で“謹慎処分”を受ける展開になってしまい、第4話以降は登場しない回が続いたため、降板もウワサされた。
なお、“謹慎処分”の設定は、ほかのドラマを掛け持ちしていた山田のスケジュールに配慮した対応とみられるが、ドラマファンからは「向井は出さなくていいから、山田くん出して」「ジャニーズ入れるより、山田裕貴の謹慎を解いてほしい」といった訴えが続出し、向井がとばっちりを受けることに……。なお、山田は最終回で復活を遂げ、『特捜9』ファンから歓喜の声が上がった。
残念ながらワースト1となったのは、間宮祥太朗演じる不良一家の次男が、“普通の青春”に憧れて“脱・ヤンキー”を目指す『ナンバMG5』(フジテレビ系)。視聴者からは「今期で一番面白い」という賛辞や、裏番組である今田美桜主演『悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~』(日本テレビ系)と比べて「『ナンバMG5』のほうが断然面白い」といった声も目立ったが、4%台を連発するなど不振に見舞われた。
しかし、フジ・メディア・ホールディングスが株主に向けて制作した最新報告書には、『ナンバMG5』に関して「疾走感あふれる演技が好評を博し、コアターゲット視聴率は同時間帯横並びトップでスタートできました」と誇らしげに書かれている。同局としては、若者視聴者から支持を受けたとあって、“狙い通り”ということか……?
また、5月6日には、主人公の“恋のライバル”役で出演していたSixTONES・森本慎太郎が、アクションシーンの撮影中に鼻骨を骨折したことが発表された。本人は7日に行われたSixTONESのライブで「俺は強いんだよ、バーカ!」などと問題ないことをアピールしていたようだが、東京に戻り次第、手術を受けることも明かしたため、「手術って、大ごとじゃない? っていうか、フジテレビって撮影中の事故多くない?」「もっと注意を払ってほしい」と同局に憤るジャニーズファンも見られた。
ディーン・フジオカ『パンドラの果実』は4%台まで低迷
ワースト2は、人気推理小説『SCIS 科学犯罪捜査班 天才科学者・最上友紀子の挑戦』(光文社)をディーン・フジオカ主演で実写化した『パンドラの果実 ~科学犯罪捜査ファイル~』(日本テレビ系)。初回こそ8.3%とまずまずの滑り出しだったが、第2話で6.6%、第3話で5.0%とみるみる低迷し、第9話は自己最低の4.8%まで落ち込んでしまった。
だが、そんな数字を無視するかのように、動画配信サービス・Huluでは6月25日からSeason2の配信がスタート。放送前から発表されていたこととはいえ、ネット上では「大コケしたドラマの続編を撮影しないといけないなんて、現場はつらそう」「見る人少なさそうだけど、採算取れるのかな?」と心配する書き込みも見られる。
ワースト3は全話平均6.0%で同率の、土屋太鳳主演『やんごとなき一族』と、広瀬アリス主演『恋なんて、本気でやってどうするの?』(ともにフジテレビ系)。
「恋に本気になれない6人の男女が織りなす群像ラブストーリー」と銘打たれた後者は、広瀬演じるクセが強すぎる主人公・純の突飛な言動が、視聴者の間で毎回物議を醸すことに。最終回では、純が2人の男性を天秤にかけた揚げ句、SixTONES・松村北斗演じるイケメン料理人・柊磨が働くビストロへダッシュ。店内に人はいないが、なぜか一席だけ料理が置かれており、当然のように席に座った純はモグモグと食事を開始……。そんな“あり得ない”シーンで、すかさずSixTONESの挿入歌「わたし」の「有り得な~い♪」という出だしのフレーズが流れたため、多くの視聴者を盛大にズッコけさせた。
さらに最終回の山場は、公園で純が「好きって言って―! ここでみんなに聞こえるように、好きだって言って!」と要求し、柊磨が「好きだー! 大好きだー! 二度と、二度と俺から離れないでくれー!」と応える場面であったが、これを受け、ネット上では女性ファッション誌「MORE」21年3月号(集英社)に掲載された松村のインタビューが拡散されることに。
同誌では、「街中で『今ここで大きな声で“好き”と言って』と愛情表現を求められました。さあ、どうする?」という質問に対し、松村は「まず『どうして?』と聞きますね。そして『大声も小声も変わらないじゃないか』と冷静に説得を試みます」と答えているため、「『恋マジ』最終回の台本にドン引きしたのでは?」と臆測する声が上がった。
日本テレビ系やフジテレビ系ドラマが苦戦する中、トップ3をジャニーズドラマが独占した4月期。7月期でも、東山紀之主演『刑事7人』(テレビ朝日系)やKing&Prince・永瀬廉主演『新・信長公記~クラスメイトは戦国武将~』(日本テレビ系)など、ジャニーズ主演の注目ドラマが続々スタートするが、果たしてヒット作は生まれるのだろうか。
1位『マイファミリー』(TBS系、日曜午後9時) 12.9%
2位『未来への10カウント』(テレビ朝日系、木曜午後9時) 10.9%
3位『特捜9』(テレビ朝日系、水曜午後9時) 10.7%
4位『警視庁・捜査一課長』(テレビ朝日系、木曜午後8時) 9.9%
5位『元彼の遺言状』(フジテレビ系、月曜午後9時) 9.1%
6位『持続可能な恋ですか?~父と娘の結婚行進曲~』(TBS系、火曜午後10時) 7.8%
7位『悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~』(日本テレビ系、水曜午後9時54分) 7.5%
8位『インビジブル』(TBS系、金曜午後10時) 6.5%
9位『金田一少年の事件簿』(日本テレビ系、日曜午後10時) 6.2%
10位『やんごとなき一族』(フジテレビ系、木曜午後10時) 6.0%
同率10位『恋なんて、本気でやってどうするの?』(フジテレビ系、月曜午後10時) 6.0%
12位『パンドラの果実 ~科学犯罪捜査ファイル~』(日本テレビ系、土曜午後10時) 5.7%
13位『ナンバMG5』(フジテレビ系、水曜午後10時) 5.4%
※平均視聴率は単純平均視聴率(全話合計÷放送回数)。小数点第2位以下を四捨五入。