下世話、醜聞、スキャンダル――。長く女性の“欲望”に応えてきた女性週刊誌を、伝説のスキャンダル雑誌「噂の真相」の元デスク神林広恵が、ぶった斬る!
ロックの女王・葛城ユキが逝去した。73歳。まだまだ若い。そして葛城といえば『ボヘミアン』。当時の副編集長が締め切りになると“やる気がでる歌”と言って、よく編集部でかけていた。たしかに盛り上がるのもわかるが、そばで原稿を書いている他スタッフには少々迷惑だった。そんな思い出のある曲。当時のことを思い出した。
第608回(6/30〜7/5発売号より)
1位「小室圭さん 法律事務所同僚も呆れる自覚なき品格 汚スーツ出勤NY現地撮」(「女性自身」7月19日号)
同「雅子さま驚愕 『宮内庁が皇族軽侮』紀子さま誹謗の次は遥子さまの手紙流出」(「女性自身」7月19日号)
2位「神田沙也加さん 最後の元恋人に発覚した2度の裏切り」(「週刊女性」7月19日号)
参照「明石家さんま『ショックやった……』愛弟子が自死 悲劇の肉声」(「女性自身」7月19日号)
3位「上沼恵美子『望むところや!』和田アキ子と女帝対決」(「女性自身」7月19日号)
ご存じかと思うが、ニューヨークで新婚生活を送る小室圭さんと眞子さん夫妻へのバッシングはまだまだまだ、止まってはいない。今週の「女性自身」も力の入った小室夫妻バッシングを繰り広げている。そしてバッシングのネタは“汚れたスーツ”(涙)。
記事は、ご夫妻が近所のベーカリーから出てくるところから始まる。仲良く手をつなぎ楽しそうに歩く夫妻の写真も。しかし、記事では、そんな2人の仲睦まじさではなく、圭さんの上着のポケットそばについた、ほんの小さな汚れを問題にする。NYの弁護士事務所の同僚もあきれる“自覚なき品格”だと。
そして靴も履きつぶした感があると、バカにした。記事によると、伝統を重んじる東海岸は高級スーツを着用する人も多く、弁護士もまたしかり。その中で圭さんの服装の汚れは品格に欠けるのだと。
よくもまあ、という感じだ。しかも記事には圭さんの上着ポケット付近の拡大写真まで掲載しているが、よくもまあ、こんな小さな汚れを見つけたものだと逆に感心するほど。
まあ、それほどまでに小室夫妻を貶めたいようだが、しかし一方で「自身」はもうひとつの皇室関連記事を掲載している。それが宮内庁の“皇族軽侮”の問題だ。その発端は「週刊新潮」(新潮社)による皇宮警察の倫理観欠如や不祥事報道。
「新潮」によると、一部の職員が紀子さまや愛子さまの陰口をたたくなど、皇室を“軽視”しているという。さらに、最近では三笠宮家瑶子さまの直筆の手紙を宮内庁が不用意にマスコミに渡したことも大きな問題となった。そして「自身」は、そんな宮内庁に苦言を呈す。「自分たちが支えている皇族の方々の存在を軽く考えているということにほかならない」と。
まあ、そこまではいい。しかし記事では宮内庁の皇族軽視の理由を、あろうことか眞子さんの結婚と関連づけるのだ。
「皇室と宮内庁や皇宮警察との間に築かれていた信頼関係が崩れたのは、眞子さんの結婚に伴う騒動の影響も大きい」
「宮内庁職員の敬意や忠誠心が動揺し、組織の“劣化”を加速してしまた可能性は否めません」(静岡福祉大学名誉教授・小田部雄次氏のコメント)
本気か!? そもそも皇室と宮内庁の歴史の中で、眞子さまの問題は、たかだがここ数年の話ではないか。婚約内定会見が2017年9月だったから5年だ。そんなたかだが5年という短期間に、眞子さんの結婚問題だけで宮内庁が劣化し、士気が下がり、双方の関係が崩壊したとしたら、そちらのほうが大問題だろう。
まあ、これも「自身」による小室夫妻バッシングの一環なのだろう。宮内庁のモラル低下も皇宮警察の皇室軽視も小室夫妻のせい。宮内庁も皇宮警察もバカにされたものである。しかも、一方で皇族への敬意がなくなったのはマスコミも同様、いやそれ以上だろう。
ここまで続く執拗な小室夫妻バッシングもそうだし、それ以前から皇族の政治利用(特に安倍政権下で)も盛んに行われてきたが、マスコミはそれを放置してきた。そして今週の「自身」に至っては、巻頭カラーグラビアで、高級スーパーでお買い物をする眞子さんの姿をキャッチ、掲載しているが、かなり至近距離からの写真で、眞子さんも明らかにカメラマンに気づいている。ある意味、敬意など感じられない失礼な写真だ。そんなマスコミの皇室軽視。これも小室夫妻のせい、と主張するのだろうか――。
とはいえ、バッシングのためなら、物事を自分たちに都合よく(というか意地悪く)解釈する。それがマスコミの一面でもある。そして小室夫妻同様、この人物もマスコミのバッシングには絶好の人物だった。昨年亡くなった神田沙也加の恋人としてクローズアップされた俳優の前山剛久だ。
沙也加の死後、前山の沙也加に対するひどい扱いが大きく報じられた。元恋人と連絡を取ったり、精神的に不安定な沙也加に罵詈雑言を浴びせたり。そのため前山は芸能活動休止に追い込まれ、所属事務所を退所した。事実上の引退だ。
だが「週刊女性」は、それでも前山は反省していないと批判する。そしてその理由は、沙也加が亡くなった後、コロナ禍で自粛が叫ばれている中、周囲の人間に“飲みに行きましょう”と連絡してきた、ということだ。これを「週女」はもうひとつの沙也加への裏切りだと糾弾するが、あまりに意地悪な解釈で、批判のための批判ではないのか。
というのも「女性自身」には明石家さんまの寵愛を受けたフジテレビ社員の自死関連記事が掲載されているのだが、そこに精神科医・香山リカ氏のこんなコメントがあったから。
「コロナ禍で人が集まれない状況が続き、飲食店などで愚痴をこぼす機会も減ってしまいました。企業などでは保健室のような形でもいいので、そうした話を聞く立場の人がいる場を意識的に作る必要があると思います」
前山も恋人の自死やバッシングによって心身ともに不調になったと伝えられている。そんな時、気の許せる人と話をしたい。気持ちを打ち明けたい。それが沙也加への裏切りになるとは思えない。
でも「週女」はそうは受け取らなかった。恋人が死んだのに飲みに行くなんてけしからん! 価値観の押し付け、怖い。
ここ何週にもわたって取り上げてきた大物芸能人たちの不仲、共演NGネタ。今週も「女性自身」に掲載されていた。上沼恵美子と和田アキ子。これまた大物同士だ。しかし確執をうわさされた2人だが、NHKで共演することが決まったのだとか。
紅白に落ちたり、冠番組が次々となくなっている今の2人だからこそ共演が実現したのか、なんて意地悪な見方をしてしまう。不仲も話題性にしてしまおうという、転んでもただでは起きない大物たち!?