• 日. 12月 22nd, 2024

犯罪データベース

明日あなたが被害にあうかもしれない

「ムショにいる間は出たくて、出るとムショに戻りたくなる」元女囚が考える、立てこもり犯の心理

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

田中聖の“削除すべき”動画

 先日の立てこもり犯について書こうと思っていたのに、田中聖さんが控訴されたんですね。覚醒剤所持の現行犯でサイタイ(再逮捕)されたのに、なんで控訴? まあ時間稼ぎですよね。実刑は確実と思いますけどね。

 ところで、読者の皆様は覚醒剤中毒者とかクスリ(違法薬物)がキマっている(効いている)人を見たことありますか? 日本は一生のうちにクスリをやったことがある人(生涯経験率)の割合は0.5%と「奇跡」といわれるほど低いそうで、アメリカは10倍近い4.9%、英国は20倍の10.3%やそうです。ちなみにイギリスは、もともとアルコールよりクスリにハマる人が多いそうです……と編集者さんから教えてもらいました。

 懲役太郎さんほかの元不良や警察情報ですと、田中さんのこのビデオは「絶対にキマっている状態で撮った!」そうなので、参考までにちょっと見てみてください。懲役太郎さんは「逮捕直後に削除するかと思ったら、ずっと削除されていない」ことを「ソッコー削除すべき」と指摘されてました。もう遅いですよね。

刑務所の更生プログラムは意味がない

 さて、本題の立てこもり事件です。埼玉・川越のネットカフェで5時間くらい立てこもって逮捕される事件がありました。

 女性店員さんは命に別状はないけどケガをさせられたそうで、ほんまにお気の毒です。

 しかも犯人はパクられ(逮捕され)て連行される時にピースサインを出してますし、単なるイチビリ(目立ちたがり屋)にしてはタチが悪いです。ニュースを見たら、逮捕された長久保浩二容疑者は、10年前にも愛知県で立てこもり事件を起こして、懲役9年を打たれた(の判決を受けた)そうですが、その前から窃盗や詐欺事件でムショを出たり入ったりしてるんですね。

 今回も満期出所で今年の4月に出てきて、建設関係の仕事をしながらネットカフェに寝泊まりしていたようです。つまり出所して2カ月で、またムショに逆戻り……。

 もうこうなっちゃうと、またやるでしょうね。前回の立てこもり事件では、記者さんたちの取材にマジに答えてて、

「刑務所が実施している教育は正直、形だけなので、あまり意味があると思いません」
「私の原動力、それは、国への不信と不満、これに尽きます。純粋に国の将来を考えての行動なのに、自暴自棄と言われるのは心外なんです」

とか手紙に書いてるんですね。

 この犯人をかばうわけではないんですが、たしかに更生プログラムは意味ないと思いますし、7年以上の長期刑の人には、出所の半年くらい前から社会の仕組みを教えてほしいです。出てきたら、社会が激変してますから。

 ちなみに10年の刑期を終えて出てきた瑠美の友だちは、身寄りもなく、「社会のことまったくわからなくてパニくる」ゆうてました。

 10年前と今って、かなり違いますよね。iPhoneは2007年から販売されてるそうですが、みんなが買うようになったのは、もう少し後と思いますし、ユーチューバーも今ほどいてないし、インスタグラムの日本語アカウントは14年からですね。

 瑠美は家族がいてくれて、スマホの使い方とかは兄に教えてもらいましたが、身寄りがない人はほんまに大変です。服役するような事件を起こせば家族から縁を切られる人も多いし、まあ事件を起こすほうがアカンのですが、出所しても孤立したままやから、「ムショのほうがラク」と思ってしまうんですね。

 そして、事件を起こしてムショに逆戻りとなります。でも、ムショにいてる間は幸せかちゅうと、そうでもないんですよ。人によりますが、やっぱり規則だらけで、好きなものも食べられないので、窮屈なんです。ムショにいる間は出たくて、出てしまうとムショに戻りたくなる、この繰り返しですね。

 今回の逮捕では、長久保容疑者は「人生に嫌気が差した」「ムショに戻りたい」「死刑になりたい」とか話してるそうで、シャバには居場所がないことがわかります。

 以前も書きましたが、「拘禁刑」で問題は解決するんですかね。

伝説の「立てこもり犯」があこがれの人

 あと瑠美は知らない人なんですが、長久保容疑者の「あこがれの人」は、大阪では今も伝説的な梅川昭美(うめかわ・あきよし)なのもネットで話題ですね。

 梅川は、1979年に三菱銀行北畠支店に立てこもって行員さんや警察官を4人も射殺して、女性行員さんを全裸にさせて、最後はハリウッド映画みたいに射殺されてます。日本ではなかなかないですよね。

 梅川は借金まみれやったのに、事件の前にはまたどこかで借金して、近所にカズノコを配って「都会で成功した孝行息子」を演出するイチビリぶりやったといわれています。瑠美が生まれる前は、カズノコは高かったんですよ(笑)。

 もうひとつ。長久保容疑者は昔から虚言癖があったと「フライデーデジタル」に出てました。

 デキ婚で大学を中退するまで4人兄弟で両親とおじいちゃんと住んでたのに、窃盗とかでパクられてからは更生施設を転々として、「小さい頃、両親に捨てられた」とか、別にしてへんのに「ヤクザの運転手をしてる」とか言うてたそうです。

 こういう「ウソの身の上話」は女子にもありがちですけど、まず女子は立てこもらないですよね。この違いは何なんでしょうね? 殺人は女子もやりますけどね。

By Admin