7月7日、声優・吉野裕行が所属事務所のシグマ・セブンを8月末に退所すると発表した。同事務所は近頃、退所者が続出していることから、業界内で「非常事態」と言われているようだ。
1996年にテレビアニメ『セイバーマリオネットJ』(テレビ東京系)の笠やん役でデビューした吉野。『機動戦士ガンダム00』シリーズ(TBS系)のアレルヤ・ハプティズム/ハレルヤ役のほか、『SKET DANCE』(テレビ東京系)のボッスン/藤崎佑助役、『スター☆トゥインクルプリキュア』(テレビ朝日系)プルンス役、『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』(テレビ東京系)キルバーン役など、これまでさまざまな作品でメインキャラクターを演じてきた。
また、2002年より謎の新ユニット「STA☆MEN」のメンバーとして活動を開始。13年8月には音楽レーベル「Kiramune」からアルバム『Get Set』でソロ歌手デビューすると、14年には浪川大輔とユニット「Uncle Bomb」を結成し、15年5月にCDデビューするなど、音楽活動も積極に行っている。
そんな吉野は7月7日、自身の公式Twitterに直筆の書面を掲載し、「私 吉野裕行はこの度8月末日をもってシグマ・セブンを退所します」(原文ママ、以下同)と報告。「私自身を応援してくれてるサポーター、ありがとう。同様にシグマ・セブンにも興味を持ち応援してくれたみんなありがとう」と感謝の言葉をつづりながら、退所後の活動については「9月からはシグマ・セブンではないどこかでいつも通り仕事ができたらいいなぁと思っております」「この先、どう活動していくかは決めたら改めてご報告します」と説明した。
吉野をはじめ、近年シグマ・セブンは退所者が続出している。18年5月に野島健児が青二プロダクションへ移籍し、20年10月に中村悠一、21年9月には水樹奈々がそれぞれ退所。今年に入ってからも1月に井上麻里奈が離脱しており、つい先日も保村真や森一丁らが去ったばかりだ。
そんなシグマ・セブンの評判について、業界関係者は以下のように語る。
「会社設立は88年とそこそこ歴史があり、特に“ナレーション業”に強いといわれていました。しかし、現在のシグマはマネジャーの質が非常に落ちているとか。仕事を取ってくる以前に、役者に対する接し方やスケジュール管理すらまともにできていない状況だそうです。こうしたマネジメント不足は、経営陣がきちんと現場管理をしていなかったことが原因でしょう」(声優業界関係者)
そんな同社の“稼ぎ頭”でもあった有名声優たちが続々と退所してしまっているわけだが、今後の経営に問題はないのだろうか。
「この数年で脂の乗った声優たちの離脱が相次いでいることは、どう見ても“非常事態”です。屋台骨であるベテランのナレーターは数人在籍しているため、大概的に見ると事務所としての安心感はありますが、タレント性の高い声優たちがこぞって退所しているという点からも、やはり事務所のマネジメントがうまくいっていない可能性は高い。シグマは直結の養成所もあり、大切に人材を育ててきたはずなのに、なぜ今こうなってしまったのか……」(同)
なお、今回退所を発表した吉野は、「仕事に対しての取り組み方が非常に真面目で、ファンをとても大切にするタイプ」(同)だそう。
「顔出しでのテレビ出演など、華やかな仕事に魅力を感じる者が多い中、彼は粛々と声優としての芝居に向き合ってきた。デビュー時から自分を育ててくれたシグマがこのような状態になってしまい、歯痒く悔しい思いをしていることと思いますが、ほかの事務所に所属しても間違いなくこれまで同様に活躍できるでしょう」(同)
新たな道を歩むことを選んだ吉野。今後の活躍に期待したい。