1986年に公開されたトム・クルーズの代表作『トップガン』の36年ぶりとなる続編『トップガン マーヴェリック』が、全国の映画館動員ランキング(興行通信社調べ、6月25日~7月1日)で1位に輝いた。
同作は、7月13日時点で全米興行収入11億ドルを突破。この記録は、米パラマウント・ピクチャーズの歴代最高興収だった映画『タイタニック』(1997年)を超えるほどの大ヒットだという。日本でも、公開から38日間で動員が487万、興行収入76億円を突破するなど、公開6週目でもその勢いは衰えていない。
また、ネット上には引き続き好評が多数書き込まれているほか、「まだまだ『トップガン マーヴェリック』がトップを独走しそう」「邦画が対抗できるとは思えない」など、公開2週目から1位を守り続ける“不動の人気”に感心するような声も。『トップガン マーヴェリック』を抜く作品は、いつ出てくるのだろうか?
2位には、公開3週目を迎えた鳥山明原作の人気アニメ劇場版『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』が入った。同作は、主人公・孫悟飯とピッコロの師弟コンビと、究極の人造人間を携えて復活した世界最悪の組織“レッドリボン軍”との壮絶な戦いを描く。興収面でも公開から23日間で動員140万人、興収19億円を突破するなど、安定した成績を上げている。
続く3位は、『万引き家族』(2018年)などで知られる是枝裕和監督が、ソン・ガンホらと韓国で作り上げた『ベイビー・ブローカー』が初ランクイン。同作は、なんらかの理由で親が育てられなくなった乳児を引き受ける「赤ちゃんポスト」がテーマ。赤ちゃんの横流しを行う男たちが、ひょんなことから我が子を手放した母親と一緒に、養父母探しの旅に出るさまを描く。
「第75回カンヌ国際映画祭」にて、ソン・ガンホが主演男優賞を受賞したことも話題の作品だが、ネット上でも「泣きすぎて化粧が全部落ちた」「映像の撮り方とか、ストーリーが切なくて好き。また見たい作品」などと、おおむね好評のコメントが多い。一方、「淡々としてて盛り上がりがない。映画がすごく長く感じた」「起伏がなくて楽しめず……。これが是枝監督らしさなんですかね?」など、作風が合わなかったという感想も。
大きな話題を集める一方、好き嫌いが分かれる作品のようだが、いつまで上位に食い込めるか注目したい。
4位には、公開8週目の『シン・ウルトラマン』が入った。公開から52日間で観客動員279万人、興行収入41億円とロングヒット中ではあるものの、同作と同じ庵野秀明氏と樋口真嗣氏のタッグで16年に公開された映画『シン・ゴジラ』の最終興行収入が82.5億円だったことを考えると、物足りない数字ともいえるだろう。
ネット上では「『シン・ウルトラマン』は完全にファン向けだし、見る層が少なかったのでは?」「日本でアクション重視の実写映画は売れないのかも」などと、“敗因”を検証するような声も出ているが、来年には同じく庵野監督の『シン・仮面ライダー』が公開予定。“右肩下がり”の結果になってしまうのだろうか。
5位には、サンドラ・ブロック主演の『ザ・ロストシティ』が初ランクイン。“恋愛小説家・ロレッタ(サンドラ・ブロック)は伝説の古代都市・ロストシティの場所を知っている”と信じ込む謎の大富豪・フェアファックス(ダニエル・ラドクリフ)が、ロレッタを南の島へと連れ去ってしまうところから始まる、アクションアドベンチャーコメディ。
出演者が豪華で、チャニング・テイタム、ブラッド・ピットら日本でも人気の俳優たちも登場する。ネット上では「何も考えずに見られる最高のエンタメ映画」「最初から最後までガチャガチャしてましたが、それが逆に面白かった」といった好意的な感想もあるが、「ストーリーが“大味”すぎて残念」「悪くないけど、面白くもない……期待しすぎたかも」など、シビアな意見も見受けられた。
また本作は、俳優の田中圭がチャニング・テイタムの吹き替えを担当しているが、ネット上では「演技がひどすぎ。なぜ彼をキャスティングしたの?」「田中圭って俳優だよね? こんなにヘタだと思わなくて衝撃」「絶望的にチャニング・テイタムの声じゃなかった」などと酷評が目立つ。そのほかのメインキャストは声優が吹き替えを務めているため、“悪目立ち”してしまったようだ。
なお、6位から8位まではアニメ作品が独占。公開7週目の『映画 五等分の花嫁』が6位、『映画 ゆるキャン△』が7位、そして8位は『それいけ!アンパンマン ドロリンとバケ〜るカーニバル』という結果になった。
9位には、役所広司、松たか子出演の『峠 最後のサムライ』が公開3週目でランクイン。司馬遼太郎の小説を実写化した同作は、幕末に活躍した長岡藩の英雄・河井継之助が主人公。幕末の混沌とした日本を変えようとした継之助と、彼を支え続ける妻の姿を描く。
観客には“歴史モノ”が好きな人も多いようだが、評判はイマイチ。ネット上には「原作の大ファンなので見に行きましたが、ガッカリを通り越して怒りが湧いてくるレベルでした。時代背景や原作への理解があまりにも足りていません」「よくもまぁ、こんな駄作に仕上げたもんですわ……。小説と映画は別物だとしても、テーマを変えたらダメでしょう」などの批判が目立ち、特に原作ファンが不満を持っているようだ。
続く10位には、ディーン・フジオカ、岩田剛典出演の『バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版』が公開3週目で入った。同作は、コナン・ドイルの『シャーロック・ホームズ』シリーズを原案に、ディーンと岩田が名探偵コンビを演じる。2人が数々の難事件を解決していく物語で、フジテレビ系の人気ドラマ『シャーロック』(19年)の劇場版。
作品の評価は悪くないが、前週(6月18〜24日)で初登場4位に入ってから、今回は10位まで大幅にランクダウンしており、興収面では期待を裏切る結果になっている様子。ネット上にも「座席がガラガラだった。面白かったのにもったいない」「私を含めて3組ぐらいしかいなかった」といった“現場レポート”も見受けられ、苦戦ぶりがうかがえる。次週は10位以下に沈んでしまうのだろうか?
【全国映画動員ランキングトップ10(6月25日~7月1日 、興行通信社調べ)】
1位 トップガン マーヴェリック
2位 ドラゴンボール超 スーパーヒーロー
3位 ベイビー・ブローカー
4位 シン・ウルトラマン
5位 ザ・ロストシティ
6位 映画 五等分の花嫁
7位 映画 ゆるキャン△
8位 それいけ!アンパンマン ドロリンとバケ~るカーニバル
9位 峠 最後のサムライ
10位 バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版