ディズニーとピクサーが共同制作するフルCGアニメ映画『バズ・ライトイヤー』が7月1日に公開された。ネット上では、日本語吹き替え版で主人公・バズ・ライトイヤー声優を務めている俳優・鈴木亮平に称賛の声が相次いでいるようだ。
同作は、子どもたちが留守の間に動き出すおもちゃたちを主人公にした大人気ファンタジー『トイ・ストーリー』シリーズの最新作で、シリーズ屈指の人気キャラクター・バズを主役に据えたスピンオフ。おもちゃたちの持ち主である少年・アンディが夢中になった劇中作『バズ・ライトイヤー』を実際に映像化し、“おもちゃのバズ”のルーツとなった、“人間のスペースレンジャー・バズ”の冒険が描かれている。
バズ役といえば、1996年公開の第一作目からコメディアンの所ジョージが約23年にわたり日本語吹き替え声優を務めてきたが、今作では鈴木が担当。起用が発表された際は、ネット上に「バズは所ジョージでしょ」「なんで所ジョージじゃないの?」「鈴木亮平は演技うまいから好きだけど、うーんって感じ」などと、ネガティブな声も上がっていた。
そんな中で公開された本作だが、オープニング3日間の興行成績は、3億8,288万9,300円(興行通信社調べ、以下同)と、2019年7月に公開された前作『トイ・ストーリー4』の17億0686万円には遠く及ばなかったものの、映画を見た人からは、「所ジョージじゃないバズって何だかなぁと思ってたけど、鈴木亮平のバズめっちゃ良い」「バズの声に違和感なく見れて、鈴木亮平の演技力に感心した」「所さんのバズに負けず劣らずだと思う」「エンドロール流れるまで本職の声優さんだと思ってた」などと絶賛の声が続出。鈴木の演技力が高く評価されており、「ディズニー、ピクサーのキャスティングはやはり安定」との意見も上がっている。
ピクサー映画の代表格『トイ・ストーリー』シリーズには、前述した所のほか、俳優・唐沢寿明がメインキャラクター・ウッディ役に起用され、『ファインディング・ニモ』(03年)では、木梨憲武(マーリン役)、室井滋(ドリー役)が出演。また、ディズニー史上最高の記録的大ヒット作となった『アナと雪の女王』シリーズでおなじみの松たかこ(エルサ役)や故・神田沙也加さん(アナ役)など、 これまでさまざまな芸能人が日本語吹き替え声優を務めており、声優顔負けの演技を披露して高い評価を得てきた。
いったい彼らはどのような方式でキャスティングされているのだろうか。
「日本でオーディションを受けて、米国にオーディションテープを送り、合否が決まります。ですから、吹き替えがどれも評判が良いのであれば、それは“ディズニーの判断が良い”ということでしょうね。ただ、キャスティングには必ず『宣伝枠』が存在します。本職の声優を起用する場合は制作費からギャラが発生しますが、今回の鈴木のように、芸能人を起用する場合は宣伝広告費からギャラが出ていると思います。日本の人気アニメ『ONE PIECE』(フジテレビ系)や『名探偵コナン』(日本テレビ系)などの劇場アニメの場合も、タレントを起用してマスコミを呼び寄せることが多い。知名度の高い人物を起用することで、メディアで取り上げられやすくなるため、宣伝に費用をかけるよりもコスパが良いんですよね」(声優業界関係者)
ネット上ではキャスティングが評価されているディズニー映画だが、一方で“ミスキャスト”といわれる日本語吹き替え声優はいるのだろうか。
「初代バズを演じた所です。今でこそ、“バズ役=所”というイメージが定着していますが、第1作目が公開された当時は、映画を見た人から『棒読み』だと非難の声が上がりました。芝居はヘタだし、彼の吹き替えからは、『演じる』という熱意が感じられない。なぜ彼を使ったのか、いまだに理解できません」(同)
また、ディズニーやピクサーに並ぶアニメーション製作会社・アニメーション製作会社・イルミネーションが手がける『怪盗グルー』シリーズで主人公のグルーを関西弁で演じているタレント・笑福亭鶴瓶の起用も「違和感がある」(同)という。
「英語版のグルーの“訛り”を日本語版で表現するために、関西弁のままでアフレコしているのでしょうが、特徴のあるしゃがれ声や方言からどうしても鶴瓶を想起させられるため、ネット上では、『イマイチ映画に集中できない』という声も多く寄せられました。あのキャラクター設定を許した日本の制作チームの意図が読めません」(同)
芸能人だろうと声優だろうと、制作サイドには、作品を見た人が最後まで物語に没頭できるスキルを持つ人や、違和感を感じさせないキャスティングをしてほしいところだ。