芸歴21年の漫才コンビ・なすなかにしが、このところ勢いを増している。『ラヴィット!』(TBS系)『ヒルナンデス!』(日本テレビ系)を中心に、『昼めし旅~あなたのご飯見せてください!~』『よじごじDays』(テレビ東京系)といった番組のロケに多数出演。
さらに5月には念願の冠番組『なすなかにしのバズっちゃ!! ー100万回再生への道ー』が、富山県・チューリップテレビでスタートした。「特にロケで重宝されるコンビで、現在はブレーク前の“確変状態”に入っている」(テレビ関係者)という
立ち位置が向かって右の那須晃行は41歳。対して左のボケ担当、メガネをかけている中西茂樹は44歳と、若手とは程遠い中年コンビのなすなかにし。略称は「なすなか」で、2人は“いとこ”同士だ。
「見た目も中年そのもので、芸能人オーラといったものは失礼ながら感じられません。しかし、そんなボンヤリした見た目が、今では“安心感がある”“敵をつくらない”などと良い方向で言われるように。売れると弱点が売りに代わるのが世の常です(笑)」(同)
芸歴21年。それまでは実力があっても“売れそうで売れない”芸人の代表格だったという。
「彼らは1991年にコンビを結成しています。その年、有名どころでは、くりぃむしちゅー(旧『海砂利水魚』)、キャイ~ンがコンビを結成しているので、 “なすなか”も立派なベテラン組。『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)や『THE MANZAI 』(フジテレビ系)などさまざまな賞レースに挑むも、そこで芽が出ることはありませんでした。ちなみに2004年9月4日の『スポーツ報知』の記事では“人気上昇中の松竹芸能の漫才コンビ”と紹介されていますが、その後どうなったのかは見ての通りです」(放送作家)
17年4月、火曜深夜に『ウチのガヤがすみません!』(日本テレビ系)がスタート。そこで、なかなすにしの2人もレギュラー出演者に加わったが、ブレークには至らず。チョコレートプラネット、Mr.シャチホコ、りんごちゃん、フワちゃんなどが番組から羽ばたいていく中、結果を出すことができなかった。
それが現在では各局で露出が増加。ブレークポイントはどこにあったのだろうか?
「直接的な要因は、ウッチャンナンチャン・内村光良司会の『笑神様は突然に…』(日本テレビ系)だったように思います。昨年5月17日深夜に『笑神様は真夜中に…』と題してオンエアされた特番では、なすなかを始めとする中堅コンビ5組が、決められたロケ場所でボケ合戦を展開。そこで2人は優勝しました。ロケで絶賛されたのは、例えば、ベルト状のラインの上でバランスを楽しむ『スラックライン』のリポート。なすなかは、スラックラインまで『ワープする』と前フリをしてジャンプするも、着地した先がライン上で、案の定転倒。このボケが、内村に『教科書を見たような気がする』と絶賛されていました」(同)
内村の後押しもあり、そんな熟練の技にあらためて光が当たったのだろう。しかも、コロナ禍がいったん収束し始め、テレビ業界もロケを再開したタイミングにばっちりハマったともいえそうだ。
「2人はロケだけでなくスタジオトークも意外とできるため、『ラヴィット!』ではスタジオにも呼ばれています。また、ひとつ対応を間違えれば炎上しかねない、アイドルとの絡みも抜群。例えば、『乃木坂46弓木奈於とやみつきちゃん』(ひかりTV)では、乃木坂のメンバー・弓木奈於とたびたび共演していますが、彼女の天然発言にも単にツッコミを入れるのではなく、しっかりと拾い、やんわりと笑いに変えています。『ラヴィット!』のロケでは櫻坂46・山崎天と同行し、発言をうまくフォロー。山崎もリラックスして話していました」(同)
テレビ業界ではもっぱら評判が高い様子のなすなかにしだが、一方で新型コロナの感染者数が増加中とあり、再びロケ番組が縮小、中断する可能性もある。その時こそ、なすなかにしの芸人としての“真価”が問われそうだが、果たして……。
(村上春虎)