• Wed. Oct 5th, 2022

中学受験生の母が激怒! 「パパがコロナ」なのに夏期講習を休ませない……塾友の家庭は「非常識」

 “親子の受験”といわれる中学受験。思春期に差し掛かった子どもと親が二人三脚で挑む受験は、さまざまなすったもんだもあり、一筋縄ではいかないらしい。中学受験から見えてくる親子関係を、『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などの著書で知られ、長年中学受験を取材し続けてきた鳥居りんこ氏がつづる。

 受験の天王山と呼ばれる夏。中学受験生の多くが受験塾の夏期講習に参加していることだろう。しかし、今年の夏は、子どもへの新型コロナウイルス感染が急増している最中だ。塾に行って勉強はしてもらいたいが、感染は防ぎたいと願っている保護者は多いと思う。

 小学6年生の葵ちゃん(仮名)は、6年の1学期に塾のクラスアップに成功し、夏期講習は、念願だった最上位クラスでの受講権利をゲット。

 ハイレベルの子たちと机を並べ、難しい問題に挑戦する毎日は、つらいことも多いだろうが、難問が「解けた!」と思う瞬間の手応えは、何ともいえない快感を生むらしい。葵ちゃんもそのタイプで、夏期講習にはりきって通っているという。

 ところが、今、葵ちゃんの母である優子さん(ともに仮名)は、とてもモヤモヤした気持ちを抱えているそうだ。なぜならば、夏期講習が始まってほどなく、葵ちゃんから、こんなことを聞かされたからである。

「葵の塾友達に香奈ちゃん(仮名)って子がいるんですが、香奈ちゃんのパパがコロナにかかって自宅療養中だっていうんですよ。そんな状況なのに、ママから『塾に行け』と命じられたらしく普通に受講しているそうで……。香奈ちゃん自身は熱が出ていないからって理由らしいのですが、本人から『もし、うつしたらごめんね』って言われたって聞いて、正直、いい気分にはなれません……」

 もちろん、各塾では、子どもたち、講師を含め、検温をはじめ、換気などの感染対策は執拗なくらいやっているのだが、家族が感染しているという情報は、申告されなければわからない。

「幸いにも、葵も香奈ちゃんも今現在はコロナにはなっていませんが、何というか、そういう非常識な考えを持つご家庭と一緒に受験しないといけないんだなってことが残念なんです」

 実は、コロナに限らず、感染症などにかかって体調不良であるにもかかわらず、ごく軽症ならば夏期講習に行かせるという保護者も、一部にはいるのが実態だろう。これには、いくつかの理由が考えられる。

 学校が夏休みの間に開かれる夏期講習は、受験勉強の時間が大量に確保できるという点がメリット。「塾での集中的な受験対策で実力向上を狙いたい」「できるだけ休まずに受講させたい」というのが親の本音だ。

 また、夏期講習代もバカにならない。大手塾であれば6年生の夏ともなると、おおよそ20万円ほどになり、これは、経済的によほど余裕があるご家庭以外は「高い!」と感じる金額だろう。

 それゆえ、“天王山”登頂を目指しているご家庭であればあるほど、この支出への費用対効果を追ってしまいがち。すなわち、ほかの受験生に後れを取るまいと焦って「休ませるわけにはいかない!」という発想になりやすいのだ。
 
 優子さんは憤懣やるかたない様子で、胸中を明かす。

「そういう気持ちもわからなくはないです。でも、もし、我が家が同じ状況であれば、うちの塾はオンライン受講も可能ですから、迷わず、オンラインに変更するよう、塾にお願いすると思います。香奈ちゃんのお宅がなぜ、対面授業にこだわるのか意味がわかりません。自分のことしか考えていないようなお宅と志望校が一緒っていうことに、モヤモヤが止まらないんです……」

 香奈ちゃんの母親は、オンラインだと講義終了後に質問をしにくいこと、また、やはり臨場感に欠けるので、今ひとつ授業に身が入らないことを危惧して、対面授業にこだわっているかな? と想像するが、ここ最近のコロナの流行を見ると、優子さんの憂慮は理解できる。

「葵に『非常識な家庭の子とは距離を置くように!』と言うのも、おとなげないなと思い、りんこさんに愚痴を吐いてしまってすみません。ただ救いなのは、香奈ちゃんが葵に自己申告してくれるような正直な子だということと、葵自身が『誰から感染するかなんてわからないんだから、お互い様だよ! ドンマイ!』って、香奈ちゃんを慰めたってことです。このまま、何もないことを祈りますが、これが受験直前だったら、正気でいられるか、わかりません」

 コロナに限らず、感染症による受験生の体調不良は、どの親も直面する可能性が高いが、現実的には、感染リスクをできるだけ下げるという対策法しかなく、なんとも悩ましい問題だ。

 先述した通り、中学受験生にとっての夏期講習は重要ではある。親の金銭的負担も甚大だ。しかも、ここにコロナのリスク(加えて熱中症)が襲うとなると、保護者の不安は募るばかりだろう。体調ももちろん心配だが、受験生の場合は、感染などで予定が狂うと、その後への影響が大きすぎるということもある。

 しかし、いつ誰が罹患してもおかしくない状況下の今、身近に感染者が出た場合は、何が一番大切なのかの優先順位をつけるしかない。やはり、健康あっての受験。そして、お互いに感染を広めないことも大切だろう。

 感染している可能性が高い場合は、割り切って自宅学習に切り替えて、ゆっくりと苦手分野の攻略にあてる――その選択は、天王山において、意外と良い目が出るのではないかと個人的には考えている。