覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。
刑務所は「究極の密」
瑠美がコロナデビューしたことは前回お伝えしましたが、刑務所でのコロナ感染も止まらないようです。
横浜刑務所は以前から集団感染が話題ですが、ほんまはどこも同じと思いますよ、発表しないだけで。
7月1日から今まで「収容者305人と職員78人の感染・死者ナシ」を発表した高松刑務所は、「完全な隔離は難しかった」と記者会見で話したそうですが、これはどこでも同じですから、かなりの確率で全国のムショはクラスターですね。「わざと事件を起こしてムショに行きたい」とかゆう人たちは、こうゆう現実もご存じなんですかね。
ちなみに高松刑といえば、「同僚や上司のパワハラやセクハラでうつ病になった」という元職員さんが国賠(国家賠償請求)を起こしてました。一審の徳島地裁では負けて、高松高裁でまさかの勝訴。よかったですね。ムショ側の主張が「いじめはもう時効」ちゅうのは理不尽ですよね。時間がたったほうがつらいこともあるし。
女性の刑務官がすぐ辞めるのは前から問題でしたが、ほとんどの原因はいじめでしょう。瑠美がいたムショでも、若い女性の刑務官さんはめっちゃいじめられてましたよ……。でも、なぜか女性の保護司さんが「辞める理由はいじめではない」とか言うてますね。意味わかりませんが、裁判、勝ってよかったですね。このまま確定するといいですね。
もちろん私たち懲役(受刑者)が一筋縄ではいかへんから、ムショ側もムダにピリピリして、いじめとかもあるんかなと思わないではないです。でも、昔ほどムショの収容人数もいてないし、もう少し柔軟にしてもいいのとちがいますかね。
刑務所で受刑者はメガネ禁止
瑠美の地元・大阪刑務所は、まさかの「コンタクトレンズ使用の懲役はメガネ禁止」でもめてましたよ。
大刑(ダイケイ、大阪刑務所のこと)の職員さんたちはコンタクトレンズつこたことないんですかね。メガネないと超不便ですよ。コンタクトだけやなくて、メガネそのものが規制されてることもあります。こうゆうのは全国一律でなく、個別の施設のトップの判断で規制されてます。
メガネの「ナイロール」ってわかります? 哀川翔さんやガクトさんがかけてるようなレンズの下半分にフレームがないアレです。北海道の月形(つきがた)刑務所で、このナイロール禁止令が出たことがニュースになってました。理由は「いかついから」やそうです。
まあ、たしかにアイドル系には向いてないデザインでしょうが、そのくらいええのとちがいますかね。ムショは私服を着られないので、おしゃれはメガネくらいなんですよ。
女子刑務所では、メガネ以外では髪の編み込みに凝ってましたね。瑠美もポニーテールを5つに分けて、1つずつ三つ編みにして、下でまとめてピンで留めたりしてました。あとは腰痛の時にもらえるコルセットがかっこよくて、腰痛でもないのにみんな医務へ行ってました。今思えば笑っちゃいますけど。
おしゃれもですが、いい香りにも飢えてましたねー。せっけんを服にすり込んでんで香水のように使うこともありましたが、服にシミができるから、すぐにバレました。
それにしても月形刑はPaix2(ペペ)のお2人を「観光典獄」(典獄は刑務所長さんの昔の言い方です)にするとか、いろいろ楽しい企画もあるのに世知辛いですね。
ちなみに豆知識ですが、国内の刑務所や拘置所はみんな地名やのに、月形刑だけは「月形潔(つきがた・きよし)さん」という初代典獄の名前がつけられてます……と書こうとしたら、ちごてました。なんと先に地名が「月形」になったんですね。でも刑務所長の名前が地名になったのは月形だけでしょう。そっちのほうがすごいです。