3人のゲストが鼎談するトーク番組『ボクらの時代』(フジテレビ系)、9月11日の放送回では福山雅治、柴咲コウ、北村一輝が登場。福山主演の人気シリーズ『ガリレオ』(同)の最新映画『沈黙のパレード』が同16日に公開されるタイミングでの出演となった。
同シリーズは2007年10月に月9枠で連続ドラマがスタートしてから今年で15年。柴咲は「トーク番組で福山さんがいると超安心」、北村も「MC福山って有名ですから」と、福山のトーク力に信頼を置きリラックスした様子だ。確かに福山といえば、ラジオ番組『福山雅治のオールナイトニッポンサタデースペシャル・魂のラジオ』(ニッポン放送、00年~15年)で15年間パーソナリティーを務めるなど、トークも達者なイメージ。しかし同時に“下ネタ”トークがテッパンの印象も強い。
『ガリレオ』シリーズの現場での“セクハラ”エピソードも、共演者からたびたび語られてきた。08年公開の映画『容疑者Xの献身』の会見では、柴咲が「湯川先生(福山)と草薙さん(北村)の卑猥な話に献身的に付き合いました。男社会に揉まれるってこういうことかと」。13年公開の『真夏の方程式』舞台あいさつでは、福山本人が「セクハラまがいの話」ばかりしていたと語ると、共演の吉高由里子は「完全におっさんとしか思われていないんだろうなっていう(下ネタの)会話をされていた」と明かし、会場を盛り上げていた。
しかし前シリーズから9年の時がたち、時代は令和。そして『ボクらの時代』は日曜朝7時から放送のさわやかな番組である。今回の福山は、セクハラにつながりそうな下ネタを完全封印し(もしくは編集でカットされ)、まさに「MC福山」としてトーク回しに専念している印象だった。
福山雅治が引き出した北村一輝の秘話
最も長い尺が使われていたのは、北村の“アツい男”エピソード。福山が「北村さんデビューのきっかけは何だったんですか?」と話を振り、北村は「18歳で出てきて、事務所に入るまで10年以上かかってます」と告白。「事務所に電話しても誰も会ってもいただけなくて。それでエキストラみたいなのをやり始めて、そのうち今で言う巨匠、三池崇史監督やら望月六郎監督、小林政広さんとかと自主映画やVシネマで一緒にやり始めて。だんだん監督たちが注目されるようになってきて、初めて事務所に入れるようになったのが27~28歳」と、長い下積み時代について語った。
その後も福山の「不安でした?」という質問に答える形で、「不安はなかったです。何やってでも成功してやると思っていた。人の3倍努力すればできるはずだし、3倍で足りなかったら5倍やればいいと」と語るなど、北村のトークの熱は増していく。
福山の「(役作りで)歯を抜いたっていうのはホント?」という振りからは、「前歯を9本ぐらい抜いて、4~5本削った。(歯科医の)先生に頼み込んで」と、Vシネでの役作りを回想。福山から「あまり言わないようにしてるの?」と聞かれると、北村は「歯を抜いたり体重を変えたりすると“役者バカ”みたいな感じで書かれたりするんで、それを避けたかった」と照れ笑いで語った。
北村の意外なほど熱い男ぶりを、存分に引き出すことに成功したMC福山。「この話は何回もしたほうがいいですよ。面白いし、北村さんの俳優としての矜持から人生、生き方、物の捉え方も含め全部入ってるんで」とアドバイスも送った。
その後、福山自身も「1990年にCDデビューするんですけど全然売れなかった。オリコンチャートも売れなさすぎて、計測不能で」と苦労した新人時代を語る。
「売れてないんだけど、アルバムまでバンバンやらせてくれるわけです。お金を全然取り戻せてないなって気づくわけですよ。だけど幸いなことに、ライブをやるとファンの方が増えていった。僕はそのとき、応援してくれているこの人たちのために頑張ろうってまず思ったんですよね。とにかく恩返ししないとって、ファンの方に時間をもらった」と語り、「感謝です。福山の血液は感謝でできています」とキレイに締めくくった。
今回は下ネタキャラを完全封印し、さわやかなMCに徹していた福山。その分、トーク回しの才能を見せていたが、北村に比べると柴咲のトーク尺や見せ場が少なかったのは、彼女のトーク中に下ネタが飛び出してカットされたから……というのは邪推なはず。『ガリレオ』の舞台あいさつでも、紳士な福山が見られることを期待したい。