羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。
<今週の有名人>
「臆測で事実と違うことを書かれるのはイヤなので、きちんと自分からお話したい」東出昌大
「週刊女性」2022年10月11日号(主婦と生活社)
2022年10月11日号「週刊女性」(主婦と生活社)に掲載された「≪直撃撮≫東出昌大、不倫・離婚後の“ひとり身生活”は山小屋!家賃ゼロ、携帯電話は圏外、汲み取り式トイレの『自給自足生活』を語った」という記事。
タイトル通り、東出は女優・唐田えりかとの不倫が原因で、20年夏に女優・杏と離婚。現在、人里離れた関東近郊の山間の山小屋で暮らしており、自分で仕留めた獣をさばいたり、山菜を取ったり、近所の人にもらった野菜を食べるなどして生活しているという。小屋には風呂がないので、温泉につかる日々だそうだ。
人気俳優として、都心に住まいを持っていた頃と比べると、あまりにも質素な暮らしぶりだけに、現在の東出を“転落”したと感じ、「彼は反省している」と受け取る人もいるかもしれない。けれど、この記事を読んで、私が感じたのは、東出の「人にとことんまで甘えてしまう」一面だった。
同記事の中で、東出は取材を受けた理由を「臆測で事実と違うことを書かれるのはイヤなので、きちんと自分からお話したい」としている。芸能人の不倫が好意的に受け止められることはないが、中でも東出の不倫は群を抜いて感じが悪かった。
不倫をスクープした「週刊文春」(文藝春秋)によると、東出は杏との間に3人の子どもがいるものの、家事・育児をすることはなく、杏はワンオペを強いられたそうだ。東出は、家に帰ってすぐに温かい食事ができていないと、怒って外に食べに行ってしまうなど、モラハラ的な態度もあったという。また、不倫相手の唐田が、東出との関係を頻繁にSNSで匂わせていたが、それをやめさせようとしなかった。このように、東出の不倫にはイヤな要素がてんこ盛りで、彼の好感度は地に落ちたといえるだろう。
唐田との不倫の後も、東出の“やらかし”は続く。コロナ禍の影響で“密”を避けることが求められ、エンタメ界が打撃を受ける中、東出が映画のロケ先に女性を呼び寄せていたことが、昨年10月発売の「文春」報道によって明らかとなった。東出は独身だから恋愛自体は構わないが、イメージ回復に努めなければいけない時期、かつ新型コロナ感染のリスクを下げなくてはいけない時期の軽はずみな行動に、事務所はすっかりあきれ、東出を解雇したのだった。
一連の騒動で、すっかり「悪者」となった東出を擁護するような報道はほとんどなく、中には「東出は悪いヤツ」という結論に基づく偏った記事や、明らかに事実と違う記事もあったのかもしれない。しかし、本来、彼の味方であるはずの事務所から切られたということは、東出がそうした“臆測”だけで追い込まれたのではないということを示唆しているのではないか。
思うに、東出は「自分のせいで人に迷惑をかけている」という気持ちを持ちづらい人なのだろう。もしそういう気持ちがあれば、自分がピンチの時に手を差し伸べてくれる人には感謝するだろうし、「恩に報いたい」と思うはずだが、彼は前事務所からの恩を仇で返した。東出は「甘やかされたら、もっと甘えてもいい」と思ってしまうタイプなのかもしれない。
「週刊女性」の記事によると、東出は今住んでいる山小屋を無料で借りているだけでなく、近所の人から野菜をもらっているとも書かれていた。しかし、生活するお金がまったくないわけではないだろうから、「ちゃんと払えばいいのに」と思ってしまう。
彼の「甘やかされたら、もっと甘えていい」は今に始まったことではないようだ。先述したように、東出は結婚中、自分は仕事だけを行い、杏にワンオペでの家事・育児を強いてきた。これも、子どもを放り出せないという杏の真面目さに甘えていたのだろう。杏はこのような生活の中、ドラマ撮影にも臨んでいたため、睡眠不足と疲労から来るめまいに悩んでいたそうだが、それでも東出は杏に甘えるばかりで、ひそかに唐田と不倫の恋を楽しんでいたわけだ。
また東出は離婚後、仕事が激減したこともあり、養育費は子ども1人に対して月に1万円と「女性セブン」(小学館)に報じられていた。幸か不幸か、杏は仕事が順調なので、お子さんたちに直接的な影響はないだろうが、杏との結婚は解消されても、父親として果たさなくてはいけない責任があるはずだ。杏の経済力に甘えて、清貧気取りで山に籠っていないで、ほかにやるべきことがあるのではないだろうか。
人の性格というのは早々変わらないので、今後も東出は、次々に現れる“彼を甘やかしたい人”に対し、相手が限界を迎えるまで甘えていくのだと思う。それは個人の生き方だから、他人がとやかく言うことではないが、本稿をお読みの方には、「手を差し伸べた時に『もっと、もっと』と甘えてくる人には、性別問わず気をつけて」と申し上げたい。