『真・事故物件/本当に怖い住民たち』に続く、サイゾーによるホラー映画プロジェクト第2弾『オカムロさん』が、10月14日に公開初日を迎える。
同作は、江戸時代から言い伝えられている“「オカムロ」という名を聞いたり話したりすると必ず首を狩られる”という都市伝説をモチーフにしたバイオレンス・バトルホラー。短編作『全身犯罪者』で『カナザワ映画祭2021』の観客賞を受賞した期待の新人監督・松野友喜人氏が監督・脚本・出演を担当し、ABEMAの大人気恋愛リアリティーショー『恋とオオカミには騙されない』への出演で人気急上昇中の女優・吉田伶香さんが初主演を務める。
映画の公開を記念し、今回は、吉田さん演じるヒロイン・すずに関わる重要な役を担う女優・伊澤彩織さんにインタビュー。昨年話題となった映画『ベイビーわるきゅーれ』にて圧巻のアクションを魅せた日本屈指の現役スタントパフォーマーでもある伊澤さんに、今作への出演を決めた心境や作品に関する思い、私生活などについて語っていただいた。
監督から「役を足した」と直々にオファーを受け出演へ
――ホラー作品は苦手だそうですが、今作の撮影現場の空気はいかがでしたか?
伊澤彩織氏(以下、伊澤) ホラー映画は苦手で、1人で見れないです……。アクション部の一員としてホラー作品でスタントをした経験は何回かあるんですけど、「こんなに和やかな雰囲気の中、怖いものを撮ってるんだ」という印象がありました。それに、ホラーのほうが思いっきりアクションやスタントができるなと思うので、作品を作るぶんにはいくら怖くても楽しめそうです。
――今作への出演経緯を教えてください。
伊澤 松野監督は、在学時期は被っていないものの、実は同じ日本大学芸術学部映像学科出身で、同じゼミの後輩なんですよ。去年の『カナザワ映画祭』で初めてお会いしたときに「卒業制作を見てください」って『全身犯罪者』の視聴URLを渡されたんです。いざ見てみたら、物語の構成や編集技術、松野さんの演技にも驚がくして、一気にファンになっちゃいました。「いつか松野さんの監督する作品に出たい」ってすごく思っていたし、ぜひこれからも監督や役者として映画業界で活躍してほしいです。
今回は、アクション監督の三元雅芸さんから「主役のオーディションがあるから来ないか」と誘ってもらって受けたんですが、落ちました。その後、松野さんが私のために新しく役を作ってくれて、「役を足したから出演しませんか」と直々にオファーをいただいたんです。光栄だなと思い、「ぜひお願いします」と返事をしました。
――今回、アクションシーンで気をつけたことはありますか?
伊澤 スタントで参加するときも役者として参加するときも、「アクションシーンが“どういう役割を持つのか”」を必ず考えるようにしています。そこに答えが見つからないと、ちょっとモヤモヤしちゃうんですよね。「戦う理由はなんだろう」とか「そのアクションシーンによって誰が成長して、誰の心情が変化するのか」みたいな部分が整理できないと、アクションをしても感情と動きが分裂してしまう。そしてそれが最終的に画に現れると思ってるんです。
――ストーリーを理解せずにアクションをしても、リアルに見えないと。
伊澤 そうですね。実際、アクションで参加する作品では、脚本をもらえずに撮影現場に行ってアクションだけこなす、ということが時々あるんです。簡単に状況を知って、戦う相手を演じたり、スタントをするのでも十分成り立つんですけど、でも、演じる人物がどういう気持ちでいるのかわからないという状況でアクションをすると、薄っぺらくなってしまう。物語のないアクションシーンが苦手で、どれだけいい動きができたとしても、恰好のいい“運動会”にはしたくないんです。
今回の作品ではアクションシーンが3つあるんですが、それぞれに心情の変化と役割があったので、気持ちから作っていくことができました。主人公・すずへの気持ちが自然と湧いてくる感覚は、撮影していて楽しかったですね。アクション部として参加していたら、そうした感情の変化はきっと生まれなかったでしょうから。
――伊澤さんは引き締まったボディをお持ちですが、体形維持のために心がけていることはありますか?
伊澤 食べるとすぐ太っちゃう体質なので、一番気をつけているのは食事です。減量中であれば、1日1,500キロカロリー以内に抑えて毎日80グラムのタンパク質をとるなど、計算をしながら食事しています。
体を温めるために、サウナや岩盤浴にもよく行きますね。今年の夏は、家の中でサウナスーツを着て過ごすことが多かったんですけど、一気に代謝が上がりました。最近は寒くなってあまり汗をかかなくなってきましたが、保湿力が高いので、末端冷え性が和らいでいます。意外と部屋着にオススメかも。
あと一番やってほしいのは柔軟かな。特に股関節と肩甲骨の柔軟。大人になると体を自分でほぐす機会って減ってくるけど、動かさないとどんどん体が固くなる。体はつながっているので、一箇所悪くなると、すぐにほかの部分にも影響が出ます。温めて、ほぐして、体の緊張を解くのが大事です。
――体づくりにストイックな伊澤さんですが、気分転換方法は?
伊澤 友達と遊ぶことが一番気晴らしになるので、遠出したりとかサウナに行ったりとか、結構外に遊びに行きます。あとは、ピアノを弾くことかな。3歳から始めて、16年間やってたんですよ。寝る前に少し弾くと落ち着きます。
――クラシックバレエも習っていたそうですね。
伊澤 3歳から11歳ぐらいまでやっていました。思い返すと、クラシックバレエで培ったことが、自分の中に強く根づいているように思います。バレエって結構競争社会で、発表会でセンターに立てなくても、センターの人が来れないときに「代役いつでもできます! 振り覚えてます!」ってアピールすると、リハーサルで真ん中に立たせてもらえたんです。だから私は、いろんな人の動きを覚えてまねしていましたね。ボーイズクラスの子の動きまで見て「私、踊れます!」みたいな(笑)。“人のまねをして動く”ということを自然とやっていました。
スタントも、人の動きをまねすることが主な仕事なんです。役者さんの歩き方を観察して「ちょっとかかとを引きずってる」とか「ちょっと後ろ重心だな」って分析したりするし。自分がアクションをしていないときでも、現場で先輩たちの動きを見て「あ、そこでリズムを変えるんだ」と無意識に勉強できているのは、幼少期のバレエ経験が生きているからだと思います。
目指す先は、早乙女太一! 「いつか刀を交えさせていただきたい
――憧れの存在はいますか?
伊澤 殺陣をいつか一緒にやらせてもらいたいなって思っているのは、早乙女太一さんです! よくYouTubeとか早乙女さんが出演されている「劇団☆新感線」の公演を拝見してまして。いつか刀を交えさせていただきたいと思ってます。
狂乱的で力強いアクションができる一方、優雅でしなやかな動きもできるというところに、色気をすごく感じます。細部の動きにまでこだわっている方だと思いますので、ずっと見ていられるなあと……。今回の『オカムロさん』で私も刀を扱っているんですが、いつか早乙女さんのような刀捌きができるようになりたいです。
――最後に、作品の見どころを教えてください!
伊澤 警官役として出演している松野監督の演技は、ぜひ見てほしいです(笑)。あとは吉田さんのアクションシーンですね。吉田さんはアクションが初めてで、練習する時間はきっとそんなになかったかと思うんです。結構深夜まで撮影していて、体もしんどかったはずなんですが、現場ではずっとニコニコしてて、本当に天使みたいな感じで。でも撮影になるとしっかり切り替えて、すごくいい表情をしていました。
あと、私は“スプラッター系”のホラーは大丈夫なタイプなので、『オカムロさん』は1人で見ることができました! 出血量はかなり多い映画だけど、後半は結構ポップで意外な方向にどんどん展開していくので、楽しいホラー映画になったと思います。ぜひ映画館で見てほしいです!
(文=木森さえ)
伊澤彩織
1994年2月16日生まれ。スタントパフォーマーとして映画『るろうに剣心 最終章』(2021年)『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』(同)などに参加し、女優としては『ある用務員』(同)『ベイビーわるきゅーれ』(同)に出演。『ベイビーわるきゅーれ』では、『第 31 回日本映画批評家大賞』で新人女優賞を受賞。続編の制作も決定している。
映画『オカムロさん』
監督・脚本/松野友喜人
原案/原昌和
出演/吉田伶香、バーンズ勇気、伊澤彩織、六平直政、松野友喜人ほか
配給/エクストリーム R-15 10月14日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、池袋シネマ・ロサ、新宿シネマカリテほか全国ロードショー
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