フジテレビ系で10月10日にスタートした“月9”ドラマ『PICU 小児集中治療室』の内容に対し、北海道美瑛町が「医療体制への誤解を招く」としてフジテレビに抗議を行った。これを受け、ネット上では「なぜ架空の地名にしなかったのか……」と同局の詰めの甘さを指摘する声が相次いでいるようだ。
同ドラマは、同局の『アライブ がん専門医のカルテ』『純愛ディソナンス』などの脚本を手掛けた倉光泰子氏によるオリジナル作品。札幌市の丘珠空港に近い架空の病院・丘珠病院の小児科医・志子田武四郎(吉沢亮)が、新設されたPICU(小児集中治療室)を舞台に奮闘する物語だ。
第1話では、体調を崩した女児が美瑛町の病院から旭川市の大学病院に転送後、ドクターヘリで札幌市の大学病院へ運ばれるも、亡くなる展開が描かれた。
しかし、美瑛町に取材した18日付の「北海道新聞」によると、実際は町の病院を経ずにドクターヘリで旭川の病院に直接搬送することがあるという。初回放送後、美瑛町がフジテレビに抗議。角和浩幸町長は「フィクションとはいえ、医療過疎、住みにくいという印象を与えて残念だ」とコメントしており、フジテレビは現在「対応を検討する」としている。
ネット上では、「確かにあのドラマを見て『北海道で病気したら大変だな~』と思ってしまったわ」「自分が住む町だったら、嫌な気持ちになるのも当然」「こういう誤解が広まると子育て世代が敬遠するし、過疎が進みそう」と美瑛町の抗議に理解を示す声が続出。同時に、実際の地名を使用した同番組に対し、「なんでこういう事態が想像できないんだろう」「認識が甘すぎるのでは?」と批判的な声が相次いでいるようだ。
「類似したケースといえば先月、韓国のスタッフが製作したNetflixオリジナルシリーズ『ナルコの神』に対し、南米のスリナム共和国の長官が抗議。同ドラマでは、スリナムが麻薬取引の温床として描かれていますが、長官は記者会見で『イメージ改善のために努力してきたが、「ナルコの神」によって再び不利な状況に置かれた』『今は(スリナムで)麻薬取引は行われていない』『我が国への否定的な認識に関する問題』などとコメントしていました」(テレビ誌記者)
また、フジテレビの今期ドラマといえば、Hey!Say!JUMP・山田涼介主演『親愛なる僕へ殺意をこめて』で描かれた“残酷描写”も物議を醸している。10月5日に放送された初回では、冒頭から女性がハサミや金槌で拷問を受けるシーンが登場したほか、主人公の父親が火だるまになり自殺するシーン、椅子に縛りつけられた男性が半グレ集団のリーダーにハサミで指を切られるシーンなどが放送され、「夜10時台のドラマとしてはあり得ない」と波紋を呼んだ。
「過去には、放送倫理・番組向上機構(BPO)の青少年委員会が、残虐な表現の放送について『視聴者に「見る」「見ない」を選択するための情報を(事前に)示すことが公共性の点から必要』などと配慮を促していました。そのためネット上では、何の前触れもなく刺激的なシーンを放送した『親愛なる僕へ殺意をこめて』が今後、BPO審議入りする可能性が指摘されているんです」(同)
『親愛なる僕へ殺意をこめて』の拷問シーンに続き、“月9”まで物議を醸すこととなったフジテレビ。よりリアリティを求めようとする気持ちは理解できなくもないが、どちらも事態を予想できただけに制作姿勢が問われそうだ。