• Fri. Dec 2nd, 2022

イオン「トップバリュ」も値上がり――スーパーはもう安くない! 今、専門家は食品をどこで買う?

 物価の高騰に歯止めがかからない昨今、特に食品は多くの品目が値上がりしており、各家庭の食卓に大きな影響を与えていることだろう。これまで「安い」の代名詞だったスーパーのプライベートブランドまでもが、続々と値上げを発表しているとあって、我々は“節約の常識”を見直す必要がありそうだ。

 そこで今回、『定年後でもちゃっかり増えるお金術』(講談社)などの著書を持つ消費経済ジャーナリストの松崎のり子氏に、物価高騰の今、スーパーやドラッグストアといった「売り場」が以前とどう変化したのかをインタビュー。どこで何を買うと安くなるのか、食費を抑える意外な“節約の極意”も教えてもらった。

イオン「トップバリュ」にも影響? プライベートブランドの値上がり事情

――食品を中心に値上がりが続く今、スーパーの商品も価格が変化しているように感じます。現在の「売り場」は、どのような状況なのでしょうか?

松崎のり子氏(以下、松崎) 大手スーパーの場合、「お店がメーカーの値上げを食い止めている」という状況にあります。メーカーの希望通りに値上げしてしまうと、お客さんの買い控えにつながり、お店側は売り上げが立たないため、メーカー側が小売価格を上げても、店頭価格は据え置きにしているというわけです。

 私がスーパーの方にお話を聞いた時は、昨今の値上げラッシュに合わせて、「よく売れるものは値上げをして、そんなに売れてないものは値段を据え置きする動きがあるようだ」と言っていました。そうやって、お店側は価格のバランスを取っているのかもしれません。

 なので、いま売り場では、以前からほかの商品より少し高めで売られていたもののほうが、実はあまり値上がりしていないという現象が起こっているようです。とはいえ、今まで手頃に買えていたものが値上がりしているのも確かなので、消費者にとって苦しいことには変わりがないともいえます。

――「手頃な商品が値上がりしている」となると、大手スーパーなどのプライベートブランド(以下、PB)にも影響が出てくるのでしょうか?

松崎 例えば、大手スーパーのイオングループは、まだそこまでPB「トップバリュ」の値上げをしていません。しかし、メーカーから仕入れているナショナルブランド(以下、NB)商品の価格と差が開いてしまうと、PBばかりが売れてしまい、NBが売れなくなってしまう。それもそれで、お店側としては困ってしまいますよね。

 トップバリュは、今のところマヨネーズ、カップ麺、ティッシュペーパーの3品目だけ値上げを発表していますが、NBと価格の差が開きすぎないように、今後は値上げをして調整する可能性もあるかと思います。また、PBの材料も当然価格が上がっているので、どこまでお店側が踏ん張れるかというのは、これから注視しなくてはいけないポイントではないでしょうか。

――「値上げ」と言っても、スーパーによって価格には大きな違いが出てきそうですね。

松崎 そうですね。そんな中で狙い目なのは、農家さんと直接取引をしているとか、お魚に強いといった“特徴”があるスーパー。特有の仕入れ先を確保している地場スーパーのほうが、大手スーパーよりも値上げの影響を受けにくいと思われます。

 特に生鮮食品は、大手スーパーよりも街の八百屋さんやお魚屋さん、地域密着型の小さなスーパーのほうが安いことも。店員さんがちょっとおまけしてくれる、なんてこともあるかもしれないので、近所にそういったお店があるなら、足を運んでみるのをおすすめします。

――スーパー以外に、「100円ショップ」「ドラッグストア」でも安く食品が買えますが、それぞれこの値上がりでどんな変化があったのか教えてください。まず「100円ショップ」から。

松崎 100円ショップでは、値段は変えずに内容量を減らす“ステルス値上げ”が起こっています。最近、100円ショップでも200円や300円の商品が売られていますが、食品は基本的に、一律100円を崩したくないようで、量を減らさざるを得ないわけです。

――100円ショップで食品を買うのは避けたほうがよいということでしょうか?

松崎 いいえ、そんなことはありません。例えば、スーパーと100円ショップで同じ商品が売られている場合、以前はスーパーのほうが安いケースが多かったんですが、今は値上げにより、そうとは言い切れなくなりました。場合によっては「100円ショップで食品を買っても悪くない状況」だといえるでしょう。

――100円ショップでお買い得な食品はなんですか?

松崎 1人暮らしの方は、調味料が便利だと思います。スーパーでファミリーサイズのものを買っても、使いきれなくて困る……なんて時に、100円ショップで小さいサイズの商品を買うという選択は、結構アリじゃないでしょうか。

 また、お菓子類は種類が豊富なうえに、スーパーの商品と内容料や価格に大きな差がないことが多いです。また、ペットボトル飲料なんかも、最近2本で100円の商品が売っていることもあり、結構お得に買える可能性がありますよ。

――続いて、「ドラッグストア」の変化について教えてください。

松崎 ドラッグストアはもともと、スーパーに比べて加工食品が安いです。具体的には、ハムやソーセージ、麺類、魚のすり身を使った製品などは、スーパーより安く買える可能性があります。あと、ドラッグストアでもPB食品を作っているお店がいくつかあって、まだまだ破格の安さをキープしていることも珍しくないです。

 ドラッグストアは食品で儲ける必要がないので、お客さんを呼び込む“おまけ”的な商品だといえます。また、スーパーのように満遍なく食品をラインナップする必要もないので、冷凍食品など、在庫の管理コストが少ないものだけ揃えておけばいい。こうした理由から、値上げが続出している今も、スーパーに比べて安く売られているものが結構残っていますね。

 「まずドラックストアに行ってから、スーパーに足を運ぶ」という順番で買い物をすると、比較的安くお買い物ができますので、豆知識として覚えておくといいかもしれません。

――食品が特に安い、おすすめのドラッグストアはありますか?

松崎 「ドラックコスモス(コスモス薬局)」は、もはやスーパーじゃないかと思うほど、食品に力を入れています。プライベートブランド「ON365(オン・サン・ロク・ゴ)」などを展開しており、商品がとても充実しているんです。

 都心でもよく見かけるようなお店だと、「ツルハドラッグ」もおすすめ。プライベートブランド「くらしリズム」が展開されているほか、NB商品もスーパーより2割くらい安く買えることもあります。

 神奈川県、特に横浜市を中心に展開されている「Fit Care DEPOT(フィットケア・デポ)」も食品の品揃えが充実していて、しかも安い。こういった、地域密着型のドラッグストアも狙い目だといえるでしょう。

――ほかにも、節約に役立つ「売り場情報」があれば教えてください。

松崎 「ボックスストア」と呼ばれる形態のスーパーは、食品がとても安いです。段ボールから商品を出さずに、そのまま店頭に積んでいるようなお店のことを指しますが、関西を中心に展開している「サンディ」がまさにこのスタイル。メジャーなところだと、「Big-A(ビッグ・エー)」もボックスストアに近いです。商品を大量に仕入れる一方、陳列には手間をほとんどかけないので、人件費が安く済み、商品の値段も下げられるのだと思います。

 あと、道の駅などに併設された農産品直売所は、生産者が値付けをしているので安く買えることが多い。「道の駅」というと、高速道路の途中に立ち寄る場所というイメージもあるかもしれませんが、ちょっと郊外に出ると、意外と普通の道路にも直売所があって、そこで日常的に買い物をする人も結構いるようです。中間業者を入れない直売所は普通のスーパーよりは安く買えるので、活用してみてください。

――実店舗以外に、通販でおすすめのサイトはありますか?

松崎 私は、東京ガスがスポンサーを務めるECサイト「junijuni(ジュニジュニ)」や、「Otameshi(オタメシ)」を利用しています。どちらもフードロス削減を目的にしており、賞味期限が近づいていたり、パッケージが古くなっていたりする訳あり商品を安く売っているサイトです。

 ただし、結構大量に買う必要が出てくるので、私はコーヒーなど毎日消費するようなもの、かつ、そこまで賞味期限を気にしなくてもいいものをよく買っています。ちなみに、賞味期限が近づいているといっても、1年以上持つ商品も多いですし、サイトには賞味期限が必ず書いてあるので、安心して購入できると思います。

――最後に、値上がりが続く今、食費を抑える“節約の極意”を教えてください。

松崎 「買い物に行く前に、自宅の冷蔵庫・冷凍庫を確認すること」です。ストックがまだあるのに、安いからといって冷蔵庫や冷凍庫がパンパンになるほど食材を買ってしまうと、食べきるのが大変ですし、ムダになる可能性が高い。まずは食材を“使い切る”ことが、節約には一番大事だと思います。値上がりが続いている中で、「安売り」という言葉は魅力的に響きますが、あまり踊らされないでほしいですね。

 それに、食品が値上がりしているなら尚更、フードロスを出すのはもったいないじゃないですか。値上げになっているものを買って、結局捨てしまうとなれば、2倍もったいない。安いからといって大量に買わないことが、結果的には食費を減らせるんじゃないかと思います。

松崎のり子(まつざき・のりこ)
消費経済ジャーナリスト。「レタスクラブ」(KADOKAWA)「ESSE」(扶桑社)など生活情報誌の編集者として20年以上、マネー記事を担当。「貯め上手な人」「貯められない人」の家計とライフスタイルを取材・分析した経験から、貯蓄成功のポイントは貯め方よりお金の使い癖にあるとの視点で、貯蓄・節約アドバイスを行う。主な著書に『定年後でもちゃっかり増えるお金術』(講談社)など。