羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。
<今回の有名人>
「結果どうこうのじゃなくて、チャレンジしていることが素晴らしい」加藤浩次
『スッキリ』(日本テレビ系、10月24日)
小室眞子さんの夫・圭さんが3回目にして、アメリカ・ニューヨーク州の司法試験にめでたく合格した。それに伴う著名人のコメントを見ていると、なんだか話がズレている気がするのだ。そこで、私にとって違和感のあったポイントを2つ取り上げてみたい。
違和感その1:小室圭さんの“内面”を持ち上げる
「結果が良ければ、そのプロセスまですべて正しい」「社会的成功を収めている人は内面も立派」と決めつけることを、心理学では「信念バイアス」と呼ぶが、10月24日放送の『スッキリ』(日本テレビ系)で、MC・加藤浩次が話していたことは、まさにそれに当てはまるのではないだろうか。
加藤は「おめでとうございます。よかった」と祝福し、「結果どうのこうのじゃなくて、チャレンジしていることが素晴らしいと。何もしないで文句を言っているほうがよっぽどダメ」と、チャレンジ精神を持つ圭さんの“内面”を称えるかのような発言をしていた。
しかし、圭さんと眞子さんは今、皇室から離れて、経済的に自活することが求められているように思う。彼らにとっては「結果」こそ重要で、圭さんの内面うんぬんの話はズレているのではないか。
というのも、圭さんはこれまで、ニューヨーク州でロー・クラーク(法律事務員)として働いてきたが、弁護士とは年収が大分違うとされている。圭さんが同州の弁護士を志した理由の一つには、経済的基盤の強化があったのではないだろうか。もちろん眞子さんと共働きするという方法もあるが、ビザの種類によっては、眞子さんは働けないし、日本を発つ前に複雑性PTSDであると公表しており、働くのに適した体調ではないことも考えられる。
となると、小室さんは生活を支えるべく、一刻も早く司法試験に合格して生活費をしっかり稼ぐか、もっと家賃が安いマンションに引っ越して生活レベルを下げるなど、身の丈に応じた生活をする必要があったといえるだろう。そんな中、圭さんは前者を目指して結果を出した。
やっぱり加藤の「結果どうのこうのじゃなくて、チャレンジしていることが素晴らしい」という発言は、見当違いだと思う。
圭さんが合格したことで、AV監督・村西とおる氏は、自身のTwitterで「なんのかんのといっても眞子さまの目利きが優れていたことが証明された」、漫画家の倉田真由美氏は10月22日配信のウェブサイト「AERA dot.」の記事で「眞子さんの見る目は確かだったと言えるし、たたいてた人も目を覚まさせられたのではないでしょうか」と発言していた。
おそらく、眞子さんは司法試験に受かるような能力のある男を見極めて選んだ、だから、見る目があると言いたいのだろうが、これもちょっと話がズレているように思う。
そもそも国民が圭さんに不信感を抱いた主な理由は、2つあるといえる。1つ目は、圭さん本人のことではないとはいえ、お母さんの金銭問題を放置するかのように思える態度に、小室家の良識が問われた。2つめは、小室さんが米フォーダム大学に留学した際に、同大のホームページに「プリンセス・マコのフィアンセ」と書かれていたことから、小室さんが眞子さんの女性皇族という立場を自らの“箔付け”に利用し、特別な待遇を受けたのではないかと物議を醸した。つまり、司法試験に合格するかどうかは二の次三の次だったはずなのだ。
また、村西氏、倉田氏ともに、小室夫妻を応援しているように見せかけて、実は真逆のことをしているのも気になる。
主に結婚の際、女性に対して「オトコを見る目がある」ということは珍しくないが、男性に対して「オンナを見る目」という表現がなされることはほとんどない。これは「オトコは仕事、オンナは家庭」という性別分業が長いことなされていたため、夫婦で仕事をして、夫婦で家庭のことをするという意識のある人がまだまだ少なく、加えて、「女性の幸せは男性次第」という観念が村西氏&倉田氏をはじめ、世間にも根強く残っているからではないか。
もしそうだとしたら、今後、内親王の結婚はかなり難しくなるだろう。ジェンダーフリーが叫ばれる中、自分だけが経済力その他もろもろの負担を引き受けて、内親王を「幸せにする」という考える男性は少ないと思うし、それでも結婚したいという男性が現れても、大きな負担に耐えかねて結婚生活に挫折する可能性がある。「オトコを見る目」を評価することは、内親王および相手の男性を苦しめる遠因になるように思えてならないのだ。
小室夫妻と秋篠宮家の溝はまだ埋まっていない?
見事合格を果たした圭さんだが、まだまだこれで一件落着とはいかなそうだ。10月21日配信のニュースサイト「FRIDAY DIGITAL」は「3度目の正直も…小室圭さん『合格ですべてOK』とはならない訳」と伝えており、日本のマスコミや国民は今後も小室夫妻を放っておかないとみられる。
一方、同24日放送の『ゴゴスマ~GO GO!Smile!~』(CBC)では、皇室ジャーナリストの近重幸哉氏が、小室夫妻は「宮中の催しにご夫妻そろって招かれるのは、まだまだ少しハードルが高いのではという感じがしますね」と語り、一連の結婚騒動によって生まれた小室夫妻と秋篠宮家の溝は埋まっていないことを示唆した。
しかし、2人で経済的に自活してやっていけるのなら、世間の声も“実家”の声も関係ない。どうか、堂々と自分たちの幸せを追求していただきたい。