覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。
ドラマ『一橋桐子の犯罪日記』が好評
「刑務所に入りたくて事件を起こそうとするおばあさん」
なんだか微妙な設定ですが、あの松坂慶子さん主演のテレビドラマ『一橋桐子の犯罪日記』(NHK)の役やそうです。めっちゃ話題やそうですね。皆さんはご覧になってます?
瑠美はほとんどテレビを見ないのですが、編集者さんから聞いて、ちょっと見てみました。まあなんちゅうか、「お話」としてはおもろいですけど、ファンタジー……ですかね。でもレビューには「自分事にしか思えない」とかあって、好評のようです。
松坂さん演じる桐子さんは、独りぼっちでお金もなくて、テレビで「刑務所に入りたくてやった事件」を見て、「私も……」となったちゅうんですね。
ムショで苦労した瑠美的には、なんでそうなるかわからへんのですが、最近は目立ちますよね、こうゆう考え方。
先日は、見知らぬおばあさんを殴り殺した26歳の犯人が懲役24年を打たれて(言い渡されて)ましたが、満期出所で50歳です。
人生100年時代、まだまだ時間がありますが、ムショ帰りはまず生活できませんよね。確実にまたムショ行きでしょう。もちろん、また「被害者」が出ます。
ムショは甘くない!
何回か書いてますが、ムショはそんなに甘いところとちがいます。
いじめはあるし、お菓子はイベントやお正月など特別な時しか食べられへんし、お風呂も毎日は入れません。あと医者もロクにいてないので、虫歯が痛くても鎮痛剤は1カ月後とかも珍しくないです。酒もタバコもダメで早寝早起きですから、キホン健康的ですが、持病がある人は高確率で悪化します。
まあ三食とお布団はあるので、シャバに居場所がなかった人にはありがたいのはホンマですね。
特にネンショー(少年院)は、親に大事にされてない子がほとんどで、売春とか万引をさせられていた子も多いですから、そういう子たちは「ずっとネンショーで暮らしたい」と思うんですね。
でも、ネンショーは1年くらいで出てきちゃいますから、出たらまたおなかがすくし、寝るところがないし、親にひどいことをされます。ネンショーに戻りたいと思うのもムリはないです。
家出少年・少女たちの居場所として注目されてた「トー横」も「グリ下」も、イヤなニュースしか聞きませんね。トー横は東京・新宿、グリ下は大阪・ミナミですが、どっちも子どもたちを目当てにオッサンが集まってきます。
この6月には、トー横とグリ下で少女の事件が続きました。
まあ家出だけやなくて、単におもしろそうやから来てる子たちもいてるようですが、酒やクスリ(違法薬物)は当たり前やし、ケンカもしょっちゅうのようです。トー横ではホームレスが殺されてますしね。
ちなみに名古屋には「ドン横」がありましたが、閉鎖されてました。
トー横やグリ下も犯罪が増えれば立ち入り禁止かもですが、また似たような場所が自然にできると思います。
少子化がアカンとか騒ぐ前に、こうゆうところに集まりたい子たちをなんとかしたったらええのにと思います。誰でもあったかいごはんが食べられて、お風呂に入れて、清潔なお布団で眠れる場所があれば、かなり犯罪も減ると思いますよ。瑠美が大金持ちならとっくに作ってますが、まずは税金でお願いしますね。