ネット上で「タイトルを見ただけでおなかいっぱい」という声が続出しているヘンリー王子の自叙伝『スペア』。“王位継承者”であるウィリアム王子に万が一のことがあった場合の“予備”として生まれた「スペア」という立場をタイトルにしたのは、メーガン夫人の案ではないかとうわさされたが、内情を知る夫人の友人は「決めたのは王子」「土壇場での内容修正もない」と断言。
一方、チャールズ国王は本の内容次第では「サセックス公爵」と「公爵夫人」の称号を取り上げ、事実上の王室追放をする構えだと複数のメディアが報じており、そうなった場合、怒り狂ったメーガン夫人が王室に決定的なダメージを与えるような暴露を行うのではないかと世間を騒然とさせている。
ヘンリー王子は、9月にエリザベス女王が亡くなったことを理由に、当初同月に予定されていた自叙伝の発売を延期。チャールズ皇太子が国王に即位したことを受け、さすがに君主や王妃の悪口や中傷はまずいと焦り、大慌てで内容を修正したのだろうとみられていた。
そんな中、10月末に出版元のペンギン・ランダムハウスが、自叙伝は来年1月10日に発売すると発表。同時に、『スペア』というタイトルも明らかとなり、自分を“スペア”扱いし続けてきた王室と英国に対する果たし状のようなタイトルだと、ネット上でも波紋を呼んだ。
なお、この皮肉が効いたタイトルに、英王室専門家たちは「本の黒幕はメーガン」「タイトルも王室批判と被害者アピールを熱心にしているメーガン夫人の提案」だと見解を示した。しかし、メーガン夫人の友人で『自由を求めて ハリーとメーガン 新しいロイヤルファミリーを作る』の著者でもあるオミッド・スコビーが、コラムで「決めたのは王子」だと断言したのだ。
オミッドは、「Yahoo!ニュース」で連載しているコラムの中で、自叙伝のタイトルを決めたのは王子で「パンチのあるタイトルは、王子自身が早い段階から決めていた」と明言。「ずっとそう呼ばれていた彼が、やっと自分の思うままに行動できるようになった」ことを反映したものだと説明した。
ゴーストライターのJ・R・モーリンガーが執筆担当した『スペア』は、チーキネス(生意気)がトレードマークのヘンリー王子らしさがちりばめられたチャーミングなものであり、「驚くほど共感できる話も多い」そう。母の死だけでなく、“スペア”である自分を受け入れることに苦しみ、兄には負けたくない気持ち、家族が受け入れてくれない人と恋に落ちたことなどが書かれているという。
さらに、王族をけなしたり中傷するような内容ではなく、「王室のメンバーたちに同情的な目を向け、思いやりを持ち書きつづった」ものとも言及した。
また、報じられているような土壇場での内容修正や編集は「していない」そうで、「エリザベス女王が亡くなる5カ月前」に完成した原稿のまま出版されると示唆している。
英王室は、生まれた順で君主が決まる。「継承者(エア)と予備(スペア)」という表現がぴったりで、ウィリアム王子はエアらしく真面目で堅実、ヘンリー王子が奔放な言動でタブロイドを騒がせても「スペアだから」という目で見られていた。
英王室のスペアは王室の代表として軍で活躍するケースが多く、チャールズ国王のスペアと呼ばれていたアンドリュー王子同様、ウィリアム王子のスペアであるヘンリー王子も軍で活躍。「王族だからと特別扱いされたくない」と発言し、アフガニスタンの最前線で2度の軍務を経験。負傷した退役軍人を支援するスポーツ大会「インビクタス・ゲーム」を立ち上げるなど、イギリス軍にとってなくてはならない存在となった。
しかし、2020年3月に王室を離脱した際に、いくつかの英軍名誉職の肩書を失うことに。エリザベス女王の国葬で一度だけ特別に軍服の着用が許されたが、肩に女王の記章をつけることは許されなかった。未成年への性的虐待事件スキャンダルで王室の称号とともに軍の名誉職も返上したアンドリュー王子は、国葬で何度か軍服を着ることを許可され、肩には女王の記章をつけていたため、ヘンリー王子はひどく動揺したと伝えられている。
そんなヘンリー王子は王室離脱後、自分と妻や子どもたちを冷遇する王室に対して強い怒りを感じているとも報じられた。これまで散々自分をスペア扱いし、誇りに思っていた軍の名誉職も取り上げた王室に復讐したいと考えても不思議ではないかもしれない。
前出のオミッドが明かしたように、自叙伝の内容を修正していないのなら、母を苦しめた国王や王妃のアレコレを暴露し、王室に大きなダメージを与えようと企んでいる可能性もあり、ネット上では「もうタイトルだけでうんざり」「王室批判をして自分がいかにかわいそうな被害者だったかをつづってるんでしょ」「自分はプライバシーが欲しいと王室を離脱したのに、王室のプライバシーを侵害しまくっている」「長年王室にいたのに、スペアは王室を守る重要な存在だということを理解していない王子にはガッカリ」などと批判の声が多数上がっている。
なお、ヘンリー王子側は本の発売に合わせてNetflixでドキュメンタリー番組を配信する予定だが、これらの内容によっては王室から追放される展開があるとの報道も。
チャールズ国王はエリザベス女王が亡くなる数日前、復帰を期待していたアンドリュー王子に「今後、公務に就くことは二度とない」と事実上の王室追放を宣言していたと伝えられた。これが事実なら、ヘンリー王子も自叙伝やドキュメンタリーの内容次第では夫人や2人の子どももろとも王室から追放される可能性は大きいとみられる。
王子は『スペア』の収益の一部を慈善団体に寄付するとしているが、発売まで2カ月以上先だというのに、英国最大の書店チェーン・ウォーターストーンズは価格を半額に値下げして予約販売を行っており、ネット上では「夫婦や出版社が期待しているほど売れないのではないか」と苦戦を予想する声も上がっている。内容はもちろん、その売れ行きにも注目だ。