• 日. 12月 22nd, 2024

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ジャニーズ事務所、滝沢秀明氏とジュリー氏の「本当の力関係」は? 経営のプロが明かす「同族経営」の実情

 ジャニーズ事務所が激震に見舞われている――11月1日、ジャニーズ事務所副社長および関連会社ジャニーズアイランドの社長・滝沢秀明氏が退社。その3日後には、事務所の看板グループであるKing&Prince(以下、キンプリ)から、平野紫耀、岸優太、神宮寺勇太が脱退・退所することが発表された。

 2016年末にSMAPが解散して以降、グループの解散や活動休止、タレントの離脱が相次ぐジャニーズ事務所だが、滝沢氏退社とキンプリの分裂は、業界内外にこれまで以上の衝撃を与え、ファンの間では、“ジャニーズの崩壊”を不安視する者も少なからずいるようだ。

 果たして、ジャニーズ事務所内部で一体、何が起こったのか――今回、“組織のプロ”である企業コンサルタント・大関暁夫氏に取材を行い、同族経営のジャニーズ事務所で滝沢氏がどのような立場に置かれていたのか、話をお聞きした。

ジャニーズ事務所が求心力を失った証し? King&Prince脱退・退所の情報漏洩

――滝沢氏のジャニーズ事務所退社、King&Prince3人の脱退・退所が立て続けに発表されましたが、率直にどのような感想を抱きましたか?

大関暁夫氏(以下、大関) 組織の中が、かなりおかしくなっているのだろうと思いました。というのも、私が一番気になったのは、ジャニーズ事務所がキンプリの脱退・退所の発表を前倒しにした点。公式サイトによると、その理由を「準備を進める中で憶測による情報が先行して流れる可能性がござましたので」と説明していますが、要するに情報が漏れていたわけです。

 内部から不平不満が出ず、しっかり統制が取れ、円滑に組織運営がされているときは、人は出て行かないし、情報も漏れない――そう考えると、今の体制に不満を持つ人が、情報を外部に流したのではないかと思ってしまいました。

 それに、滝沢さんは関連会社の社長になって4年目で退社、一方のキンプリはデビュー5年目で空中分解と、明らかに“早い”ですよね。組織が求心力を失っていることの証なのではないでしょうか。

ジャニーズ事務所はオーナー系企業、独裁的な経営がまかり通る

――ジャニーズ事務所はいわゆるオーナー系企業(同族経営)です。そういった会社で、オーナー一族ではない人物が、先代の仕事を引き継いだ場合、滝沢氏のようにすぐ辞めてしまうケースはよくあるのでしょうか。

大関 珍しくはありません。オーナー系企業の特徴は、組織がオーナーのカラーに染まること。先代オーナーの“番頭さん”(右腕)だった外部の人が業務を支えていても、新しいオーナーに代替わりすると組織のカラーが一変しますから、その色に合う/合わないという問題は当然出てくる。先代オーナーの番頭さんが、新しいオーナーの番頭さんも務まるのかというと、そうならないケースも多いです。

――先代オーナーはジャニーズ事務所の創業者・ジャニー喜多川氏、新しいオーナーは現社長の藤島ジュリー景子氏、そして番頭さんが滝沢氏ですね。

大関 そうです。オーナー系企業は、株主の大半をオーナー家で所有しており、一族の社長が筆頭株主というケースが非常に多い。つまりオーナー家の社長が会社を意のままに動かせるので、「私の言うことを聞かなければクビ」といった独裁的な経営もまかり通ってしまいます。

――ジャニーズ事務所は、ジュリー氏と滝沢氏の2トップ体制のように見えていましたが、その力関係は歴然していたということでしょうか。

大関 滝沢氏の立場は、あくまで関連会社の“サラリーマン”社長。一族以外の人は、会社運営の実権を握ることはできなかったと思います。ジュリー氏と滝沢氏が揉めたとき、どちらの意見が通るかといえば、最終的にはジュリー氏でしょうし、また、滝沢氏が何か要望を出しても、オーナーであるジュリー氏に「私の言う通りにしてください」と否定されたら、反発できない立場だったといえます。

――滝沢氏は、退社理由を公にしていないのですが、一部では、ジュリー氏との確執が背景にあるとうわさされています。11月1日付の「スポニチ」では、ジャニーズを古くから知る関係者の「滝沢さんが手掛けたグループは、デビューから2年で彼の元を離れることが決まっている」という証言が掲載されました。ジャニーズファンの間では、ジュリー氏が滝沢氏からSnow ManとSixTONESを“奪った”ことが、退社の原因ではないかとも言われています。

大関 一部では「円満退社」と報じられていましたが、信じがたいですよね。ただ、滝沢氏退社の背景に、「ジュリー氏がSnow ManとSixTONESを“奪った”ことが関係している」という説には、思うところがあります。

 滝沢氏寄りの立場から見ると、そういった臆測も成立すると思うのですが、一般的な組織管理から考えると、全然おかしな話ではありません。「デビューさせたグループがある程度まで成長したら、別の人にマネジメントを託し、次のグループの育成に力を注ぐ」というのは、組織の運営としては、役割の明確化という点から理にかなっていて、効率的です。

――確かに、滝沢氏が今後手掛ける全てのグループを見ていくとなると、その分仕事が増える一方です。

大関 滝沢氏が、いつまでもSnow ManとSixTONESのマネジメントに固執していると、新しい人が育たないですし、組織が大きくなりません。もし仮に、滝沢氏がSnow ManとSixTONESをジュリー氏に奪われたと認識し、その点に不満を持っていたとしたら、それは違うんじゃないかなと感じます。

――Snow ManとSixTONESは、滝沢氏の肝煎りというイメージが強いだけに、ジュリー氏がマネジメントを手掛けることに、不安を抱くファンも少なくありません。

大関 滝沢氏が手掛けたグループをジュリー氏の管轄に移すのではなく、「チーム滝沢」を組織し、その内部で彼の仕事を分業化する方法はあったと思います。滝沢氏一人ではなく、「チーム滝沢」でジャニーズJr.の発掘・育成、デビュー後のマネジメントを担っていくという形です。

 例えば、TOKIOや元V6のメンバーなど、現場のことをわかっている年長者のアイドルをチームに入れると、若手がより活動しやすかったのではないかなとも感じます。ただ、「チーム滝沢」が実現していたら、ジュリー氏の存在感や発言力は弱まっていたはず。彼女はそれを懸念していたようにも思いますね。

(後編につづく)

取材協力:大関暁夫(おおぜき・あけお)
All About「組織マネジメント」ガイド。東北大学卒。横浜銀行入行後、支店長として数多くの企業の組織活動のアドバイザリーを務めるとともに、本部勤務時代には経営企画部門、マーケティング部門を歴任し自社の組織運営にも腕をふるった。独立後は、企業コンサルタントの傍ら上場企業役員として企業運営に携わる。

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