『君の名は。』『秒速5センチメートル』の新海誠監督が贈るファンタジー長編アニメーション『すずめの戸締り』が、全国の映画館動員ランキング(興行通信社調べ、11月5日~11月11日)で1位に輝いた。
同作は、日本中の廃墟に出現する“災いの扉”を閉じるため、各地を旅しながら自らの使命と向き合う17歳の少女の冒険と成長を描く。主人公「鈴芽」の声を女優・原菜乃華、旅をする青年「草太」の声をSixTONES・松村北斗が担当していることでも話題だ。11日に全国420館(IMAX41館含む)で公開され、公開から3日間で、観客動員数が133万1081人、興行収入は18億8421万5,620円を記録するなど、新海監督作品史上最高のロケットスタートを切った。
だが、派手な動員数、興収とは裏腹に、ネットでは「空席祭り」「ガラガラ」など、同作の客入りを揶揄する声も。同作の公開にあたっては、1日に30回も上映する映画館が話題になるなど、劇場スクリーンを“独占”することで動員数や興収を伸ばす手法が賛否を呼んでいる。上映回数を増やしたことで、地方などでは空席が目立つ状況が生まれてしまっているようだ。
内容に関しては、アニメーション監督の山本寛氏がSNSで「新海監督ご自身は殴りたいくらい大嫌いですが、『君の名は。』『天気の子』は評価しています」と前置きした上で、震災をモチーフとした同作について「おぞましい震災ビジネス」と批判したことも話題になった。一方で、松村の評判は上々で、SNS上では「耳にすんなり入ってくる」「声優じゃないのに違和感がなかった」「ジブリ感あって好き」といったコメントが目立っている。
2位は人気TVアニメ『ONE PIECE』(フジテレビ系)の劇場版第15弾『ONE PIECE FILM RED』。3位は橋本環奈、眞栄田郷敦、山本舞香が出演する映画『カラダ探し』が入った。同作は公開1カ月で動員83万人、興収10億円を突破。邦画実写作品では5週連続の首位をキープするなど、ホラーファンを中心に注目度が高い作品だ。
4位は大ヒット小説『ソードアート・オンライン』シリーズ(KADOKAWA)のアニメ版のリブートシリーズ第2弾『劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 冥き夕闇のスケルツォ』。
5位には、2018年に公開され、大ヒットを記録したマーベル原作アクション超大作「ブラックパンサー」の続編『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』がランクインした。同作は、前作で主演を務めたチャドウィック・ボーズマン(2020年8月に逝去)以外の主要キャストが再結集し、国の主を失ったワカンダ王国の新たな物語を迫力たっぷりの映像で描いている。ももいろクローバーZの百田夏菜子が吹き替えに参加していることも話題だ。
6位には『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』、7位には恋愛アドベンチャーゲームを原作とする大人気アニメ『うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVE』(TOKYO MX)シリーズ劇場版第2弾『劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVEスターリッシュツアーズ』が入った。
ジョージ・クルーニーとジュリア・ロバーツが共演する『チケット・トゥ・パラダイス』は公開2週目で8位。同作は、娘の早まった結婚を阻止すべく渋々ながら手を組む元夫婦を描くハートフル・コメディだ。バリ島が舞台になっており、SNS上では「バリ島に行きたくなった」「ジョージ・クルーニーがかっこよかった」「セリフにグッときた」など、高評価の声が目立つ。
小芝風花主演の『貞子DX』は9位。同作は鈴木光司原作の『リング』(角川書店)シリーズから生まれた最恐キャラクター“貞子”と小芝風花扮するIQ200の天才ヒロインの対決を描く謎解きサスペンス・ホラー。ホラー作品の殻を破るような異色の展開であり、テレビや劇場での派手なPRやキャンペーンが話題となったが、期待されるほどの成果は上げられていないよう。ネット上では「爆死してる」「なぜホラー映画は長く続くとギャグ路線になるのか」「ホラーじゃなくてラブコメとしてなら楽しめた」といった意見が出ている。
一方、幸福の科学の総裁・大川隆法が製作総指揮、原作を務めるファンタジーホラー『呪い返し師−塩子誕生』は、しぶとく10位に踏みとどまった。
【全国映画動員ランキングトップ10(11月5日~11月11日 、興行通信社調べ)】
1位 すずめの戸締り
2位 ONE PIECE FILM RED
3位 カラダ探し
4位 劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 冥き夕闇のスケルツォ
5位 ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー
6位 名探偵コナン ハロウィンの花嫁
7位 劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVEスターリッシュツアーズ
8位 チケット・トゥ・パラダイス
9位 貞子DX
10位 呪い返し師−塩子誕生