汚家をまるごと片付けます! 連載企画「汚部屋 ビフォーアフター」クライアントは、筆者(伊藤まき)の「実家」です。前回までにゴミ屋敷化した一軒家を処分して、中古マンションへと引っ越しました。ただ、築30年のマンションはカビだらけ……。30年分の汚れを、見えにくい裏側まで一掃していく様子をお伝えします。年末の大掃除にも使えますよ!
「やってはいけない掃除」ベスト18
写真は住み替え予定の築30年・中古マンション。30年分の汚れがひどいです。プロの部分リフォームと自分でできる大掃除で変えていきましょう。
今回は、掃除前に知っておきたい「やってはいけない掃除」ベスト18をご紹介します!
【やってはいけない掃除】
1位:100均の「結露シート」でカビ対策
気温が下がってくると、結露が気になりますよね。結露はこまめな手入れを怠ると、高い修繕費用がかかることも……。100均の結露シートを使う方も多いと思いますが、筆者宅の場合、結露シート、ロールカーテン共にカビだらけで、湿ったシートのせいで窓枠の内部まで腐っていました。「結露シートのつけっぱなし」でカビが増えたと予想。
結露対策は、そもそもの原因解決とこまめなお手入れ
結露がひどい場合、最も良い解決法は「結露シート」ではなく、窓のリフォームで「二重窓」にすること。天窓は変えられないため、以下4つの手入れでカビ対策することをオススメします。
1:吸水タオルでこまめに水を拭く
2:こまめに換気をする
3:サーキュレーターをかける
4:除湿器をかける
YouTubeやインスタグラムなど、ソーシャルメディアの掃除の情報をマネるのもNG。プロの掃除系YouTuberが発信した「独自のやり方」が、短く省略されて大切な部分が抜け落ち、間違った情報として広がっていることも。中には、大袈裟な内容、ズレた解釈、化学反応が起きやすい扱い方などもあるため注意が必要です。
【やってはいけない掃除】
3位:「設備・取扱説明書」を読まない
トイレ、お風呂、洗面台、キッチンといった住宅設備の「取扱説明書」を読まずに、掃除をするのはNG。説明書には、必ず「お手入れの情報」が書いてあります。筆者宅の「お風呂の説明書」には、通常の薬局では取り扱いが少ない「油膜皮膜の洗剤」が推奨されていました。
また、シャワーヘッドの掃除は「クエン酸に漬ける」というライフハックが有名ですが、「説明書」には載っておらず「水洗い」が推奨されています。メーカーや素材によって、推奨する方法と洗剤がまったく異なるので、しっかり確認しましょう。
【やってはいけない掃除】
4位:見えないふりで「後回し」
写真は、キッチン戸棚の下(足元)です。見えにくい部分である「下や裏」の掃除は後回しにしがちですが、長く放置した結果、黒カビに変化します。板の裏までカビで腐敗することも。見えないふりをし続けたことで、修繕費が高くなります。
【やってはいけない掃除】
5位:なんでもかんでも「オキシ漬け」
金属製品に、オキシクリーンはNGです。特に、換気扇周りの部品は注意が必要。防水加工されたステンレス製品(洗濯機浴槽、風呂釜の穴や蓋)には使えますが、メーカーによって注意書きがあります。オキシクリーンはプラスチック製品の汚れに強いものの、漬ける時間や洗剤の量を守らないと、塗装やコーティング加工を落としてしまうことも……。
掃除系YouTuberが発信し、今ではSNS上でも掃除の技として頻繁に見る「トイレ用洗剤を目的外に使う方法」は、実は危険。その瞬間は簡単に落ちてキレイになっても、材質が傷みます。変色や劣化が早くなるため、数カ月後には逆に汚れやすくなる可能性も。洗剤は使用用途を守るほど安心です。
【やってはいけない掃除】
7位:どこにでも「メラミンスポンジ」を使う
水をたっぷり含ませてこするだけで汚れを落とせる「メラミンスポンジ」ですが、フローリング床材、コーティングされた浴槽(ツルツルの材質)、プラスチック素材など、使用NGの素材がいっぱい。確認してから使用しましょう。
【やってはいけない掃除】
8位:値段や機能を重視して洗剤を選ぶ
年末年始や引っ越しシーズンになると「新作の洗剤」の広告が増えますが、汚れを落とせるかどうかは洗剤の値段や機能よりも、スピードが重要。汚れが付いた瞬間なら、水だけで落ちます。汚れが深くなる前なら、お湯で薄めた中性洗剤(食器用洗剤やウタマロ)で十分。すぐ落とせば、安価な洗剤だけで済みます。
【やってはいけない掃除】
9位:石素材に「クエン酸」「重曹」「酸素系漂白剤」を使う
「クエン酸」「重曹」「酸素系漂白剤」は、石材の艶を奪います。基本的に「石材」には使用しないのが無難。石材には、天然大理石、人工大理石(樹脂系)や人造大理石(樹脂系と石材の混合)がありますが、見た目では区別できません。人造大理石の種類もポリエステル系とアクリル系とあり、扱い方も異なります。艶材(コーティング)の種類もさまざまです。石材のお手入れは「中性洗剤」が基本と思ってOK。汚れが強い場合はご自宅の「取扱説明書」で確認します。
「塩素系洗剤」は使い方が簡単だからと、あらゆる場所に使う人が増えているそう。ただ、近距離で使う場合はマスクや手袋、メガネなどの保護と換気が必要。プラスチックやステンレス素材にも使えますが、しっかり水で落としきらないと変色や劣化の原因になります。
【やってはいけない掃除】
11位:「分解掃除」のしすぎ
「分解掃除」をしすぎると、故障するリスクが増えます。筆者の失敗談は、水道の蛇口、トイレの換気扇、トイレタンクです。写真の蛇口は、何度も分解したので壊れてしまい「交換費用」が高くつきました。この経験から、細かいところはスルーするよう頑張っています。
【やってはいけない掃除】
12位:油汚れに強い「セスキ炭酸ソーダ」をアルミ素材に使用
換気扇やガスコンロの油汚れに強い「セスキ炭酸ソーダ」も、アルミ、銅、真鍮(しんちゅう)製品や表面加工品には使用NG。換気扇のシロッコファンは、アルミ製が多いので変色や色ムラがおきます。まずは、「換気扇の説明書」をしっかり読んで、その家にあった洗剤で洗いましょう。
【やってはいけない掃除】
13位:水回りの「ゴシゴシ洗い」は絶対禁止
昔のお風呂はタイル貼りが多かったので、「こすり洗い」ができました。今はほとんど塗膜加工を施しているので、優しく洗うように推奨されています。カビが出やすいゴムパッキンやコーキングも、強い力を加えると削れます。なお、10年を超えるとそろそろ寿命なので、「再生塗装」「剥離清掃」「リフォーム」など、プロの手を検討すると良いです。
【やってはいけない掃除】
14位:アルコール液でフローリングや家具を拭く
ウイルスを除去するために、アルコール除菌スプレーでサッシやドアノブを拭いていませんか? 建具の素材、塗装の種類、プラスチックの種類によって変色する恐れが。アルコール除菌剤は、「建具表面の艶加工」を落とします。アクリル素材、フローリング(ワックス)、家具(ニス)、液晶画面(テレビ・パソコン)は基本的にNG。アルコール除菌スプレーの注意書きを、確認すると安心です。
掃除後に、スプレーするだけで汚れがつきにくくなる「コーティング剤(親水コート・撥水コート)」が人気です。次の掃除が簡単になるものの、効果が長く続くものではないので、こまめに塗り直す手間が増えることに。また、建具の隙間や枠(凹凸)にシリコーンが詰まり白いカスになる場合も。
【やってはいけない掃除】
16位:カビ取り剤の上からこする
カビ取り剤をつけてそのままブラシで強くこするのはNG。こすることで、カビの胞子が飛びます。また、ゴムパッキンやコーキングの上からこすると素材が傷んでしまいます。カビ汚れがひどいときは「カビ取り剤でパック」してから、約20〜30分置いて水で流せばOK。それでもカビが残る場合は、翌日、翌々日と同じ作業を繰り返します。
【やってはいけない掃除】
17位:窓やドアを開けて換気をしない
掃除機をかけたり、ほこりを落とす作業のとき「窓を開けるとほこりが舞う」ので換気はNGとされます。ただ、洗剤を使う掃除や日常のお手入れには、換気が重要。写真の玄関まわりは、閉め切っていたせいで「カビ」と「さび」で傷んでいました。
【やってはいけない掃除】
18位:説明書を読まないまま、お風呂に防カビ剤を使用
お風呂掃除の後に「防カビ剤」をする方も多いと思いましが、メーカーによっては「防カビ剤は使用しないでください (水や湿気に反応して発生するガスにより、金属の腐食、ゴムの劣化で水漏れの原因になります)」との説明があることも。お風呂全体に霧になった洗剤が付着するため、黄ばんでしまったという声もあるそう。自宅の「お風呂の説明書」と「商品の説明書」をしっかり読んで確認すると◎。
家の寿命を伸ばすなら「優しいお手入れ」
上記内容のほかにも、材質と洗剤の種類による「使用不可」はたくさんあります。お掃除をする前に、自宅の「取扱説明書」と洗剤の「使い方」をしっかり確認することで、家の寿命を延ばすことが可能。
ただ、家が新しいほど優しいお手入れで済みますが、築年数がたっていたり先住人の扱い方によっては「汚れが頑固」になるので、その時は「強めの洗剤でパック」「スチームで汚れを浮かす」などの手入れが必要になります。