• 日. 12月 22nd, 2024

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シルバニアファミリーで遊ぶ娘、戦隊ものに夢中なママ友の息子。一緒に遊べない子同士の“ママ友付き合い”に悩む

「子ども同士の付き合い」が前提のママ友という関係には、さまざまな暗黙のルールがあるらしい――。ママたちの実体験を元に、ママ友ウォッチャーのライター・池守りぜねが、暗黙ルールを考察する。

 幼児や低学年の子どもに人気の“ニチアサ”をご存じだろうか。“ニチアサ”とは、テレビ朝日系列で日曜朝の時間帯に放送されている子ども向け番組群のことを指す。現在は、朝8時半から『デリシャスパーティ・プリキュア』、9時から『仮面ライダーギーツ』、9時半から『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』が放送中だ。

 しかし、『プリキュア』は女児人気、『仮面ライダー』や『ドンブラーズ』は男児人気が高く、また年齢によっても人気作の傾向は異なる。同じ“ニチアサ”にハマッていても、各番組への熱量が違うため、子ども同士、話がかみ合わないことも珍しくない。

 子どもは成長するに従い、自分の好みというものが出てくる。そのため、それまで仲良しだった子と遊び方が異なるようになり、疎遠になってしまうこともよくあるのだ。今回は、仲良しのママ友同士の間で起きた“子どもの好みが合わなくなった”という問題を取り上げる。

幼稚園のママとは付き合いなし! 昔の職場の同僚とママ友に

 「娘の通っている幼稚園のママとは、ほとんど付き合いがなくて……」そう打ち明けてくれたのは、都下で5歳になる女児を育てている洋子さん(仮名・36歳)。

「娘は、バスで少し離れた幼稚園に通っています。入園した当初は、コロナ禍で行事が中止になったり、縮小されたり……保護者会もオンラインで行っていました。そのため、休みの日にわざわざ集まって遊ぶような“親しい園ママ”ができなかったんですよ」

 そんな洋子さんだが、かつて同じ職場で働いていた友人・真理さん(仮名・36歳)と、よく子連れで遊んでいるという。彼女は5歳の男児と2歳の女児を育児中だ。

「真理は、新卒で入社した企業の同期。それぞれ退社した時期や結婚したタイミングは違ったのですが、ちょうど同じ年に妊娠をしたのをきっかけに、また真理との付き合いが復活したんです」

 偶然、真理さんの住まいが近くだと判明し、お互いの家や公園で子どもを連れて会う仲になったそうだ。

「コロナの影響で幼稚園が休園になった時、身近にママ友がいるのは心強いなって感じました。お休みの間、よく真理と公園に行き、子どもを遊ばせていましたね」

 当時、洋子さんの娘と真理さんの息子は2~3歳。2人で公園内を走り回って遊んでいたそうだが、「年中になった頃から、どんどん一緒に遊ばなくなってきたんですよね……」という。

「娘は臆病なので、鉄棒にぶら下がりはするものの、足を掛けて回ったり、前回りをすることはありません。ジャングルジムも怖いみたい。幼稚園では、年中さんは真ん中の高さまで登ってもいいというルールなのですが、娘は下のほうで遊んでいます。そもそも外遊びが好きなタイプではないんです」

 しかし、真理さんの息子は、外遊びが大好きなタイプ。公園では、遊具で遊ぶだけでなく、自転車を乗り回したり、木登りもするようだ。

「真理の息子は、以前にも増して活発に。枝を拾って振り回したり、石碑に上って飛び降りたりと、見ているだけでヒヤヒヤもんですよ。当然、うちの娘はついていけず、一緒に公園を訪れても別々で遊んでいます。真理もそのことに気づいていて、下の娘とうちの娘を遊ばせようとするんですが、2歳と5歳ではできることが違いすぎて、一緒に何かをするって感じではないんですよね。うちの娘が、真理の娘の面倒を見ているだけっていうか……」

 そんなことが続くうち、洋子さんは真理さんと子連れで会うことに疑問を持ち始めたという。

「私と真理は公園で、ずっと立ち話をしているのですが、いつも別れ際に『また一緒に遊ばせようね』って言うんです。でも、一緒に公園へ行っても、真理の息子は顔なじみの男の子たちと戦隊ものをマネる『たたかいごっこ』をしていたり、自転車で公園の外周を走ったりと、活発な遊びをしている。片や、うちの娘は1人でブランコに乗ったり、滑り台を滑ったり……あとは、真理の娘の面倒を見ているんですよね。あっちに行ったりこっちに行ったりする2歳の子を追いかけている娘を見ていると、一緒に遊ばせる意味あるのかなって思うようになりました」

 洋子さんは、真理さんとは今後も会いたいものの、娘が楽しそうではないのが気がかりだという。

「家の中で遊んでいても、娘はシルバニアファミリー、真理の息子はスーパー戦隊シリーズの録画を見ている……みたいな。それに、いくら女の子同士とはいえ、まだ2歳の真理の娘とは、一緒に遊ぶって感じではないんですよ。うちの娘は『遊びたくない』とは言わないですが、真理の子どもたちと仲が良いわけではないし……同い年の女の子と遊んだほうが楽めると思います」

洋子さんは今後、娘を連れて真理さん親子と会うのはやめようと思い始めているそうだ。

「真理は、子ども同士が楽しく遊べていないことを、全然気にしてないみたい。でもやっぱり子どもを第一に考えると、それってどうなんでしょう。ママ友同士の仲を優先させるよりも、子どもが遊びたい子と遊ばせる……これって、ママ友の暗黙のルールではないでしょうか」

 ママ友同士の付き合いでよく聞くのは、むしろ「ママ同士は仲が良くないのに、子ども同士は仲が良い」というケース。ママ同士が疎遠だと、子どもが友達と遊ぶ約束をしたものの、相手の連絡先や住所がわからず、困ってしまうなどちょっとしたトラブルが発生しがちだ。しかしこの場合、子どもが小学校に上がると、当人たちだけで会うようになるため、ママ同士が仲良くなくても、特に困ることは生じないだろう。

 一方、今回のように「子ども同士の仲は良くないが、親同士は交流がある」というケースも確かにある。子どもも4~5歳くらいからそれぞれ遊び方や好きなものに個性が出てくるため、洋子さんの言う通り、できるだけ子どもに合わせるべきではないだろうか。親同士で会いたい場合は、幼稚園などに子どもを預けている間に会うなど、子どもを抜きにして会うことを検討したほうがよい。

 子連れで会うにしても、子どもの行動に差が出ない場所を選ぶのがおすすめ。例えば、公園ではなく、ファミレスなどで会うようにするのはどうだろう。子ども同士の交流も深まりそうだし、親の目も届く。洋子さんも真理さんもゆっくり話ができるはずだ。もしくは、子どもそれぞれ好みは違っても、ぬりえやブロックなど、みんなで楽しめる遊びを親が考え、提案するのもいいかもしれない。

 そういった配慮も、ママ友と子連れで遊ぶ際の「暗黙のルール」ではないだろうか。

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