12月16日から上演予定だった舞台『家を壊す -他、短編-』が、初日に急きょ「全公演中止」と発表された。同舞台の作・演出を務める谷賢一氏に対し、告訴ならびにハラスメント行為の告発があった影響によるものだという。
『家を壊す -他、短編-』は、東京電力福島第一原発事故を題材とした舞台。演出担当の谷氏は、劇団「DULL-COLORED POP」の主宰でもあるが、今月15日、女優の大内彩加がメディアプラットフォーム「note」で「私、大内彩加は自分が所属する劇団DULL-COLORED POP主宰谷賢一を提訴いたしました」「2018年6月から谷に『日常的に胸やお尻を触る』『卑猥な言葉をかけられる』『卑猥な内容のLINEが送られてくる』等の性加害を2021年3月まで受け続けました。もっと深刻な、辛すぎる性加害もありました。詳細は訴状に記載しています」(いずれも原文ママ、以下同)と告発した。
「今年は3~4月にかけ、榊英雄氏や園子温氏ら映画監督による女優への“性加害”報道が続出。こうした事態を受け、是枝裕和監督らが映画業界の体質改善を目指す動きを見せていたのですが、12月になって今度は舞台界から谷氏の問題が急浮上しました」(芸能ライター)
大内に告発された谷氏は、日付が16日に変わるとすぐにTwitterで騒動を謝罪。一方で「以下、ご一読頂ければ幸いです」としてウェブサイト上に公開した文章では、「れっきとした名誉毀損」「取り下げて頂くまで戦う覚悟」と、大内と争う姿勢を明らかに。
「しかし、その直後に『家を壊す -他、短編-』公式Twitterは『協議を行った結果、主催者の判断で全公演中止とさせていただきます』とアナウンス。また、谷氏は『青年団』演出部に所属していましたが、同劇団の主宰・平田オリザ氏は退団措置を取ったと劇団の公式サイト上で発表しました」(同)
平田氏はブログ内で「詳細は今後、司法の場で明らかになっていくかと思いますが、他の関係者の証言もあることから大筋の告発は事実であったと思われます」と説明。さらに「谷氏は法廷で争うとのことですが、今後、青年団としては、被害に遭った方たちのお役に立てることがあれば支援をしていきたいと考えています」と、被害者側に寄り添う意向だと示している。
「ネット上では、谷氏への怒りの声が噴出しているほか、『本人は否定してるみたいだけど、被害者はLINEの証拠を持ってるんだよね?』『LINEを公開されても事実無根って言えるの?』といった疑問も上がっています。また谷氏が、昨年11~12月に上演されたジャニーズWEST・神山智洋の単独初主演舞台『LUNGS』の演出を手掛けていたことから、強いショックを受けるジャニーズファンの姿も散見される状況です」(同)
なお、谷氏はウェブサイト上の文章で、かつては自身が「稽古場で怒号を飛ばした」「性的なハラスメントをしたこともあった」と明かしつつ、「忘れもしない2016年、私自身がある演劇現場(劇団外でのプロデュース公演)で年上の俳優やプロデューサーから非常に強いパワーハラスメントを受けた際、私はもちろん、私以上に萎縮してしまっていた座組のメンバーたちの姿を見て、今後はそのような手段に頼らず現場に立つべきだと自覚を強くしました」と、16年に自らもハラスメント被害に遭ったことを機に、改心したと主張している。
「その上で、大内との初仕事は『2018年』であり、『彼女に対し訴えにあるような行いをしたことはございません』とつづっているのです。ただ、ネット上には『自分も被害者とかいって、話逸らしてない?』『2016年までに何をやらかしてたのか気になる』という声も。また平田氏が『他の関係者の証言もある』としていたことからも、『叩けば埃がまだまだ出てきそう』とささやかれています」(同)
谷氏はこのまま、大内と争う構えを貫くのか。決着は来年に持ち越しそうだ。