今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。
事始め式は今年も静かに
あっという間に今年も終わりですね。12月13日は、各組織とも静かに事始め式を済ませたようです。
質素な事始め式は、もう何年も続いています。2011年までに全都道府県で暴排条例が施行されてますが、これを境に徐々に派手なことができなくなっていきました。ごちそうが出て、芸人さんを呼んだ時代を知っていると、寂しいですね。
大物ヤクザの訃報が目立った2022年――昭和はますます「昔」に
2022年は、皆さまにとっていかがでしたか? とにかく今年は「いろんな方が亡くなった」感じです。大物ヤクザの訃報も目立ちました。
5月7日には、極東会の松山眞一元会長(享年94)の死去が報じられています。報道によると、警視庁は「事件性はない」としているそうで、ご年齢から考えて老衰でしょうか。でも亡くなるまでしっかりトップを務められたようです。
そして、同じ5月の31日には住吉会の関功前代表が76歳で亡くなられています。
ニュースサイト「文春オンライン」などは関前代表の葬儀を紹介していました。掲載されている写真には、六代目山口組、稲川会ほか指定団体のご当代の皆さんによる供花と名札が写っています。大親分の名前がずらっと並び、六代目山口組・司忍組長の名札は「司」の一文字。これは知名度が低いとできませんね。獄中で控訴審の開廷を待たれる五代目工藤會の野村悟総裁の札もありました。
激動の昭和を生き抜いた大物ヤクザの死去が相次いだことで、ヤクザ社会的にもますます「昭和は遠くなりにけり」となりました。
3月30日に亡くなられた作家の宮崎学さん(享年76)は、「『終わった』のは『昭和のヤクザ』であり、『平成のヤクザ』である。これからも形を変えながら『21世紀のヤクザ』の時代は続いていく」と、『伝説のヤクザ18人』(山平重樹著/イースト・プレス刊)で解説されていましたが、どうなりますか。
安倍晋三元総理(7月8日没・享年67)の射殺事件にもびっくりしました。ヤクザはもともと自民支持が多いので大騒ぎでしたが、今回ばかりはアンチの方からも「こんなふうに死んでほしくなかった」との声が出ていましたね。
まだコロナの感染も収まらない年越しとなりそうですから、おうちで暖かくして読書などいかがでしょうか。『伝説のヤクザ18人』も面白いですが、2022年に出版された中からいくつかご紹介します。
イチオシは、村山治さんの『工藤會事件』(新潮社)です。以前も書かせていただいていますが、毎日新聞社から朝日新聞社に移られ、現在はフリージャーナリストの村山さんは「権力監視」の視点に定評があり、『工藤會事件』も、公平に取材されていると思います。
来年は野村総裁と田上文雄会長の控訴審もあり、工藤會は引き続き注目です。
今どきの不良について解説された『常識として知っておきたい裏社会』(彩図社)もいいですね。チャンネル登録者数42万人を誇るYouTuber・懲役太郎さんとライターの草下シンヤさんとの共著です。
あと、もはやご存じの方は少ないと思いますが、45年前の青学の教授による女子大生レイプ事件を追った『そして陰謀が教授を潰した~青山学院春木教授事件 四十五年目の真実~』(小学館)も読みごたえがありました。
あの頃の青山界隈は、イッセイミヤケやコム デ ギャルソンなどのメゾンに交じって、怪しげなバブル紳士たちの事務所もたくさんありました。春木教授がこのバブル紳士の餌食にされたというのは、当時のヤクザはみんな知ってました。事件そのものはバブル前夜といえますが、まあ、あの頃の「ひどい話」ということです。
宮崎学さんとグリコ森永事件についてのインタビュー
もうひとつは、宣伝です。
セブン-イレブン限定ですが、アマゾンでも販売されているムック「昭和の不思議101 2022-23年 冬の男祭号」(大洋図書)で、宮崎学さんとグリコ森永事件についてインタビューを受けました。
ちなみに編集長の比嘉健二さんは、『特攻服を着た少女と1825日』で、今年の「小学館ノンフィクション大賞」を受賞されました。66歳! 若い人はもちろん、中堅ライターさんたちにとっても励みになりますよね。この場をお借りしてお祝い申し上げます。
比嘉さんは、ミリオン出版(18年に大洋図書に吸収合併)の元社長さんで、「ティーンズロード」や「GON!」「実話ナックルズ」「漫画ナックルズ」などの雑誌を創刊されています。
受賞作は、「ティーンズロード」で当時取材したレディースの女の子たちについて再び取材したもので、小学館から春ごろに出版されるそうです。とても楽しみです。
今年も好き勝手なことばかり書かせていただきましたが、お読みいただき、ありがとうございました。皆様、どうぞよいお年をお迎えください。