12月15日にヘンリー王子夫妻のNetflixドキュメンタリー『ハリー&メ―ガン』の後半第4~6話が配信され、ヘンリー王子がぶちまけた「家族問題」「王室の内情」が物議を醸している。ネット上では「2人のラブストーリーはロマンチックだし、パパラッチやマスコミからの攻撃や人種差別を受けたことは気の毒だし許されることではないが、2人の王室潰し的な言動は極めて不愉快だ」などと批判が続出した。
『ハリー&メーガン』後半では、結婚披露宴の秘話、王室そして王子の家族との亀裂、離脱後に王室から警備を打ち切られ途方に暮れる彼らを、映画監督や俳優として知られるタイラー・ペリーが助けてくれたことなどを回想。タイラーが長女リリベットのゴッドファーザーであることをはじめ、メーガン夫人が父方の祖母を看取った過去、王室時代に住んでいたケンジントン宮殿の敷地内にあるノッテンガム・コテージが驚くほど小さかったという不満、昨年3月にアメリカのCBSテレビでオプラ・ウィンフリーの独占インタビューが放送された後にビヨンセからメールが来たことなど、新事実が多数明らかになったが、世間の評判はイマイチ。
前半配信後に、あまりにも評価が低いことで話題になった米大手批評サイト「Rotten Tomatoes」の評論家たちの評価は、100%中の50%からさらに低下し、38%に。視聴者の評価も16%と相変わらず低く、「信じられないほどつまらない」「傲慢さがよくわかる内容」など厳しい感想が大多数を占めている。
ヘンリー王子だが、王室を離脱した時のことを振り返る第5話で、「メーガン夫人が参加できないタイミングで(王族の)家族会議がアレンジされた」と告白。
2020年1月13日に行われたこの家族会議で、ヘンリー王子は「今まで通り(王室に)残るのか」「完全に離れるのか」を迫られ、「ハーフハーフで」と回答。独自の仕事を持ちつつ女王に仕えるという案を提案したが、議論の余地はなく、「兄は私を怒鳴りつけ、父は真実でないことを話し、祖母は静観していた。恐ろしかった」とも激白。「組織を守ることを使命としているのだから仕方ない」と理解を示しつつも、「キツかった」とぶちまけた。
その後も表情をゆがめながら女王を含めた主要王族メンバーを批判したヘンリー王子は、「最も悲しかった」出来事として、「兄と私との間に溝ができてしまったこと。兄は完全に組織側になってしまった。王位を継ぐ立場だから、それは理解できる。王室を存続させる責任感があるからだろう」と発言。「私たちが離脱するのは兄がいじめたからという報道が出て、組織はその説を潰すため、速攻で兄と私の共同声明を発表した」「信じられなかった。私はその声明に自分の名前を出す許可はしていないのに!」と憤慨し、何もかも信じられなくなった2人は離脱することを決意したと説明した。
5人の女性司会者たちが論議することで人気を集めている米ABC局のトーク番組『ザ・ビュー』では、「(この王子の暴露により)家族の亀裂(ばかり)にフォーカスされてしまうのではないか」「王族との関係が悪化するのではないか」という点について意見が交わされた。
コメディエンヌのジョイ・ベハーは、「パパラッチやメディア攻撃の犠牲者である母親の子どもだから、こういうことは敬遠するんじゃないかと思っていたけど」と、ヘンリー王子が「数百万ドルと引き換えに」ドキュメンタリーを制作したこと自体が驚きだとコメント。
一方、ジャーナリストのサラ・ヘインズは、「事実とは異なることばかり報じられてきたため、自分たちの物語を語りたいと思ったのでは」「チャールズ国王が介入して、この子たちを助けるべき。親として。ダイアナなら、彼とは違う手助けをしたと思う」と意見した
また、アフリカ系、ラテン系、ユダヤ系の血を引く弁護士でジャーナリストのサニー・ホスティンは、「お金のためにドキュメンタリーを制作したのではない。ダイアナの遺産だってあるんだし」「メーガンがいじめられたのは事実。(離脱後)『殺す』と脅迫されたのに警備をつけることを拒否したのも事実。家族の話し合いに彼女が参加できないというのもどうかと思う。結婚したら夫婦2人でひとつなのに」と持論を展開。
「彼らには、家族が、(イギリスという)国が、どれほどメーガンに対して人種差別的だったのかということを語る権利がある。チャールズは事態を改善できるはずなのに、何もしないでいる」と王室とイギリス、そしてチャールズ国王を批判した。
トランプ政権時代、ホワイトハウス広報部長だったアリサ・ファラー・グリフィンは、2人に同情しつつも「彼らはプライバシーの保護を求めているように見えるけど、オプラのインタビューを受け、このドキュメンタリーも作って(中略)普通の暮らしができるのに(そうしない)」「メーガン夫人の苦しみはリアルだったけど、たくさんの人が世界中でひどい苦しみを味わっている。もっとグローバルな視点で、苦しみを語ってほしかった」、さらに「私は(反トランプ派だった)家族から絶縁されている。そのことを公表したけど、後悔している。家族間のもめごとを語りすぎた。今後、彼らも後悔すると思うわ」と自身の経験を交えつつ見解を述べた
なお、最後まで黙って聞いていた司会のウーピー・ゴールドバーグは、「(ドキュメンタリーは)見てない」「家族のことは家族で解決するしかない」とバッサリ。「一言だけ言わせてもらえば、彼らは少年少女じゃない。成人した大人よ。子どもじゃないのよ。だから、自分たちの問題は自分たちで解決すべき。チャールズが解決することはできないし、そんなことすべきじゃない」と、強い口調で言い放った。
このウーピーの意見に、ネット上では「確かに王子たちをいつまでもダイアナとチャールズの子どもという目で見るべきではない」「ダイアナの子ども、かわいそうな子どもという印象を持つが、幼少期や子ども時代に受けたトラウマを乗り越えている人は山ほどいる」「メディアで暴露するのではなく、自分たちで話し合い、解決するしかないのでは」と同調する声が上がっている。
王子たちの兄弟仲だが、悪化の一途をたどっているようで、オプラのインタビューの翌日、ヘンリー王子がウィリアム皇太子からテキストメッセージを受け取り、ショックを受ける姿もドキュメンタリーで流している。そのメッセージを見せられたメーガン夫人が王子を抱きしめて慰めるというシーンに、ファンは「感動的!」だと反応。
しかし、「パパラッチにノイローゼになっているわりに、プライベートな空間にカメラが入り四六時中撮影されていても平気なんだ」「こんな瞬間まで撮影できたなんてラッキーだね」と皮肉る声も多く上がっており、ヘンリー王子夫妻が期待していたほど、世間は同情的ではないとみられている。事実、来月にはヘンリー王子の自伝本『スペア』がリリースされるが、ネット上では「もうおなかいっぱい」という声が多い。
王室は、このドキュメンタリーに関してコメントは出しておらず、粛々とクリスマス関連行事をこなしている。「我が子には変わりない」と言うチャールズ国王がヘンリー王子夫妻を自分の戴冠式に招待するという報道も流れており、このままだと2人が「一方的に暴露しまくっている」と批判され、風当たりが強くなる可能性は大きい。新たなNetflix番組『Live To Lead』のリリースを発表したヘンリー王子夫妻だが、彼らの前途は多難なのではないかと、心配する声も上がっている。