1990年から「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載され、93年にはテレビアニメ化もされた井上雄彦氏の大人気コミック『SLAM DUNK』を、新たな視点で描く新作劇場アニメーション映画『THE FIRST SLAM DUNK』が、全国の映画館動員ランキング(興行通信社調べ、12月3日~12月9日)で1位に輝いた。
原作者の井上氏が脚本と監督を務め、セルルックのCGを駆使した同作は、公開まであらすじなどを一切明かさないプロモーションが話題に。公開するやいなや大ヒットし、公開9日間で興収30億円を突破。観客動員数も約202万人を記録し、関係者の間では「100億突破も夢ではないのでは」との声も上がっているという。
だが一方で、初動のすさまじさに反して、日を追うごとに動員数が減っていっているとの指摘も。ネット掲示板では「初動型だった模様」「ファンは公開されてすぐ見に行くから、失速も仕方ない」「せいぜい40億くらいだと思う」など、興収はそこまで伸びないと予想する人も少なくないようだ。
2位には新海誠監督のファンタジー長編アニメーション『すずめの戸締まり』が入った。こちらは公開から31日で動員約636万人、興収85億円を突破。配給元の東宝は100億円どころか興収150億円を見込んでいるとの報道も出ている。公開初週だった『THE FIRST SLAM DUNK』に押されての2位となったが、まだまだ人気の衰えは感じない。冬休みシーズンを考えれば、今後もロングランを続ける可能性は高いだろう。
3位には大泉洋、有村架純、Snow Man・目黒蓮が出演する『月の満ち欠け』がランクイン。同作は人気作家・佐藤正午氏による直木賞受賞の同名小説(岩波書店)を映画化したミステリアス・ラブストーリー。生まれ変わりという不思議な奇跡によって、時空を超えて紡がれる切なくも数奇な愛の物語を描く。
ジャニーズファンを中心に、SNS上では目黒のラブシーンが話題になっており、「目黒くんの色気に惚れた」といった感想も。公開10日間で動員約49万人、興収6億円を突破。話題性の高さから、今後の展開にも期待が持てそうだ。
4位は人気WEB小説『転生したらスライムだった件』初の劇場版アニメ『劇場版 転生したらスライムだった件 紅蓮の絆編』が入った。
5位はドウェイン・ジョンソン主演の『ブラックアダム』。同作はDCコミックスを代表するアンチヒーローの一人である“ブラックアダム”を初の実写映画化したアクション・エンタテインメント。現代に甦った破壊神“ブラックアダム”と、彼を人類の脅威とみなすスーパーヒーロー・チーム“JSA(ジャスティス・ソサエティ・オブ・アメリカ)”の対決の行方を描く。興収面では10日間で動員約21万人、興収約3億円。
6位には嵐・二宮和也主演の『ラーゲリより愛を込めて』がランクインした。第二次世界大戦終了後にシベリアに抑留され、極限状況の中で懸命に生きた山本幡男氏の実話を描いた作品。原作は、辺見じゅん氏のベストセラー『収容所(ラーゲリ)から来た遺書』(文藝春秋)だ。監督は瀬々敬久氏で、共演に北川景子、松坂桃李、Sexy Zone・中島健人、寺尾聰ら豪華メンバーが名を連ねる。
7位には公開19日間で動員39万人超、興収約5億円を記録中の戸田恵梨香、永野芽郁出演のミステリー作品『母性』が入った。こちらも豪華キャストが話題だが、映画の出来に対しては辛辣な感想が多く、ネット上では「単純につまらない」「毒にも薬にもならない凡作」などの批判が散見される。
8位はロングラン中の『ONE PIECE FILM RED』、9位は妻夫木聡主演の『ある男』がランクイン。公開24日間で動員約36万人、興収は4億突破と、興収は『母性』を下回るが、SNS上での評判は良く、「上質なミステリーでとにかく引き込まれた」などと高評価の声が目立つ。
そして、マーベル原作アクション超大作「ブラックパンサー」の続編『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』が10位だった。
【全国映画動員ランキングトップ10(12月3日~12月9日 、興行通信社調べ)】
1位 THE FIRST SLAM DUNK
2位 すずめの戸締まり
3位 月の満ち欠け
4位 劇場版 転生したらスライムだった件 紅蓮の絆編
5位 ブラックアダム
6位 ラーゲリより愛を込めて
7位 母性
8位 ONE PIECE FILM RED
9位 ある男
10位 ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー