• Tue. Jan 31st, 2023

【ジャニーズファン必読】チケット転売の違法性を弁護士が解説! 「座席をめぐる会場内取引も、規制の対象」に?

 2022年は激動の1年だったジャニーズ事務所。10月28日にTravis Japanが全世界デビューを果たすといううれしいニュースがあった一方、事務所の副社長で子会社・ジャニーズアイランド社長だった滝沢秀明氏が10月末をもって退任し、11月にはKing&Prince(以下、キンプリ)メンバーの平野紫耀、岸優太、神宮寺勇太がグループ脱退と退所を発表。SexyZone・マリウス葉も12月31日をもってグループ活動を終え、退所と同時に芸能界を引退するなど、ジャニーズファンに大きな衝撃を与えた。

 また、ファンの“推し活”に直接関わることでいえば、不正入場やチケット転売防止目的でブロックチェーン技術を活用した新たなチケット・入場システム「Johnny's Pocket」「Johnny's Ticket」アプリの導入も、ネット上で物議を醸すことに。

 事前にスマホにアプリをダウンロードし、そこに届いたデジタルチケットを認証して入場するという仕組みで、発券と入場には代表者・同行者ともにSMS認証(電話番号認証)できる端末が、1名義ごとに必ず1台必要となった。ジャニーズJr.によるコンサート『JOHNNYS' Experience』や『Summer Paradise 2022』で導入されたものの、SNS上ではチケットの転売行為が散見されることに。こうした事態を、法律のプロはどう見ているのか――。

 今回は、『清く楽しく美しい推し活~推しから愛される術』(東京法令出版)の著者で、数多くの芸能訴訟や事件の代理人を務めるレイ法律事務所の河西邦剛弁護士に話を聞いた。

「ジャニーズ事務所は、チケット転売対策に積極的」

――19年6月から、「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律(チケット不正転売禁止法)」が施行されました。ジャニーズ事務所も17年から、デジタルチケットを導入するなど、転売対策に取り組んでいますが、実際、法の施行でどのような変化がありましたか?

河西邦剛氏(以下、河西) この法律は、「特定興行入場券(ライブやスポーツなどの興行のチケット)の不正転売」「特定興行入場券の不正転売を目的として特定興行入場券を譲り受ける行為」を禁止するもので、違反者には1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはその両方が科せられます。売り手側は罪に問われる一方、買い手側は、法律上一切罰せられませんが、この法律によって“通報”が以前よりも増え、実際に逮捕者も増えています。

 なお、売買サイトにチケットが出品された場合、主催者側は座席情報からある程度出品元を絞ることができますし、入場に本人確認を徹底すれば、転売チケットかどうか特定することも可能。チケット転売を許容するかしないかは主催者の判断に委ねられていて、取り締まりを強化せず、より多くのチケットを売るためにか転売行為を半ば見逃している者もいます。

 その中で、法が施行される前の17年から、コンサートチケットの事前転売を抑止できるデジタルチケットを導入しているジャニーズは、チケット転売対策に積極的な印象。入場するまで座席がわからないため、チケット売買サイトに出品される場合も、ある程度は価格の高騰を防ぐことができますから。

――昨年、ジャニーズは「Johnny's Pocket」「Johnny's Ticket」アプリをリリースしましたが、「Johnny's Pocket」はほかのFC会員にチケット譲渡が可能だったものの、のちに提供を開始した「Johnny's Ticket」はそれが不可となりました。ネット上では、「端末ごと貸し出す」という条件でチケットを高額転売する人も現れるなど、不正転売は後を絶たない状態です。こうした現状を、どうお考えでしょうか?

河西 この新たなシステムは、スマホが必須で申込者が限られるため、チケットの売れ行きに影響する可能性もあった。それでもジャニーズはコストをかけて転売対策に乗り出したわけですから、転売防止に精力的だと思います。

 システムの隙をついて転売行為を行う人はどうしても現れますし、いたちごっこ状態ではありますが、コンサートに“同行する権利”を譲ることや、端末を貸し出す形でチケットを転売することでも、不正転売禁止法違反となると言えます。

――そのほか、入場後、会場内で良席のチケットを持っている第三者と金銭をやりとりして、座席を交換する行為も多発していますが、こうした“チケットの交換”に違法性はないのでしょうか?

河西 先ほどもお話しした通り、コンサートチケットは「特定興行入場券」に該当し、この場合も、高額の金銭をやりとりしているのであれば、法的には規制の対象となります。ただし、チケットは会場に入ってしまえば「入場券」としての目的は果たしていることになりますから、座席権利を売ることが、チケット転売に該当するのか、ただの“交換”とみなされるのかは、正直、かなりグレーゾーン。

 とはいえ、ジャニーズのチケット販売規約では、無償、有償を問わず譲渡自体が禁止されている場合がほとんどですから、たとえ“座席交換”でも、チケットを取った本人以外がその座席に座るのは、規約違反となります。最悪の場合、強制退会処分になる場合もありますから、安全に“推し活”をする上では、基本的に、転売チケットには手を出さないことが大切です。

(後編につづく)

■河西邦剛(かさい・くにたか)
レイ法律事務所の統括パートナー弁護士。数多くの芸能訴訟や事件の代理人を務める。主要取扱い分野は芸能トラブル、エンターテインメント、メディア対応、インターネットトラブル、知的財産分野。テレビ、新聞、ネット等の幅広いメディアから取材を受ける。アイドルグループや舞台のプロデュース実績も。
レイ法律相談事務所公式サイト https://rei-law.com/