アンドリュー王子の性的暴行裁判やヘンリー王子とメーガン夫人による王室批判、そしてなにより、歴代最長となる70年にわたって在位してきたエリザベス女王の死去と、英国王室にとって実に波乱続きだった2022年。
この記事では、昨年大きな話題を呼んだ英国王室メンバーに関する出来事を、時系列に沿って一挙紹介(※称号は当時のもの)。2023年、彼らはいったいどんなニュースで世界中を賑わしてくれるだろうか。
アンドリュー王子、性的虐待裁判和解へ 2月
児童買春で有罪になった後、謎の死を遂げたジェフリー・エプスタインの性奴隷だった女性から、2021年8月に「未成年だった私を性的虐待した」とNYの裁判所で訴訟を起こされたアンドリュー王子。22年1月になり、どうもがいても裁判は避けられない絶体絶命の大ピンチとなった王子だが、2月に和解にこぎ着け、原告女性が訴えを取り下げた。
和解金額は機密事項とされているが、一部メディアは「1200万ポンド(約19億円)で、エリザベス女王が私的資産で負担した」と報道。王室の恥だと大批判を浴びた。
ウィリアム王子&キャサリン妃、カリブ海訪問 3月19~26日
ウィリアム王子夫妻が英連邦のベリーズ、ジャマイカ、バハマを外遊。子供たちを残して夫婦だけの外遊は久しぶりということもあり、ボディタッチが多くラブラブだと話題になった。
このツアーはエリザベス女王在位70周年を記念したものだが、行く先々で「王室の富を築いた一因である奴隷貿易について謝罪し過去の罪を償うべきだ」と立憲君主制廃止を求めるデモが行われたことが大々的に報道。女王の死後、共和制への移行を求める声は一層高まっている。
ヘンリー王子&メーガン夫人、インビクタスゲームに出席するためオランダへ 4月中旬
ヘンリー王子が主催する負傷した軍人のためのスペシャルオリンピック「インビクタスゲーム」が2年ぶりにオランダで開催。夫婦そろって開会式に出席し、ステージでキスをしラブラブだと話題に。
2人はオランダ入りする前、イギリスに立ち寄り、ウィンザー城を訪問してエリザベス女王と面会。メーガン妃は王室を離脱してから初の帰国となった。ヘンリー王子は、訪問理由について米NBCのインタビューで「女王の周りにふさわしい人がおり、守られていることを確認したかったから」だと明かしている。
王室に入り11年目となるキャサリン妃とアン王女が、初となる2人だけの公務として助産婦や妊婦などへのヘルスケアをサポートするNGO団体本部を訪問。お召し物の色がマッチしていると話題になった。
アン王女は公務の大ベテランであり、イギリスのインターネット・マーケティング会社・Reboot SEO Companyによると、2022年にシニアメンバーの中で最も多くの公務をこなしたのはアン王女で214回。チャールズ皇太子は181回、エドワード王子は143回、ソフィー妃は138回、ウィリアム王子126回、カミラ夫人102回、キャサリン妃は90回となっている。
ウィリアム王子&キャサリン妃、『トップガン マーヴェリック』上映会に出席 5月19日
トム・クルーズ主演の大作映画『トップガン マーヴェリック』のロンドン上映会に出席したウィリアム王子夫妻。レッドカーペットでは、トムがキャサリン妃の手を取ってエスコートし、大きな話題になった。
トムは6月に開催されたプラチナ・ジュビリーのイベントにも出席。体調不良で欠席したエリザベス女王が彼に会えなかったことを残念がり、「ぜひ会いたい」とウィンザー城に招待。トムはすぐに会いに行き、2人でお茶を楽しんだということが11月に報じられ大きな話題になった。
エリザベス女王のプラチナ・ジュビリーが無事、執り行われる 6月2〜5日
女王の即位70周年を祝したプラチナ・ジュビリーが、4日間にわたり盛大に行われた。最終日にはバッキンガム宮殿の前でエルトン・ジョン、クイーン+アダム・ランバートら豪華アーティストによるライブコンサートを開催。宮殿前広場や周辺の道路を覆い尽くすほど大勢の人々が集まり、女王を祝福した。
体調不良で人々の前に現れなくなった女王だったが、エメラルドグリーンのスーツ姿で、チャールズ皇太子夫妻、ウィリアム王子夫妻や3人の子どもたちと宮殿バルコニーに登場。笑顔で手を振り観衆を大いに沸かせた。ヘンリー王子夫妻も帰国していたが、王室や王族から塩対応されたため、パレードを見ずにアメリカに戻ってしまった。
エリザベス女王の誕生日を祝うパレード「トゥルーピング・ザ・カラー」の先頭馬車で、パレードデビューを果たしたウィリアム王子夫妻の子どもたち。向かい席に座ったカミラ夫人とキャサリン妃が見守る中、笑顔で観衆に手を振り、立派に公務をこなした。
シャーロット王女はルイ王子に手を振るタイミングを教えたり、プラチナ・ジュビリーでも行事に飽きて落ち着きがなくなるルイ王子を制するなど、世話焼きっぷりを発揮。女王の葬儀ではジョージ王子にお辞儀をするタイミングを教えており、頼もしい存在だと称賛された。王女は8月にコモンウェルスゲーム(英連邦競技大会)を、ジョージ王子はウィンブルドンのファイナルをそれぞれ両親と観戦するなど、表に出る機会が増えておりファンを喜ばせている。
エリザベス女王崩御 9月8日
女王が滞在中のスコットランド・バルモラル城で96歳の生涯を終えた。亡くなる2日前まで公務を行い、誓い通り最後まで国民に奉仕した。2021年4月に73年以上連れ添った夫のフィリップ殿下を亡くしてから、体調が悪くなったと伝えられていた。骨髄がんだったという情報もあるが、死亡診断書の死因は老衰。
ひつぎはエディンナラ市内のセント・ジャイルズ大聖堂に移動して24時間安置された後、ロンドンのウェストミンスターホールに14日から19日まで安置。多くの一般市民が弔問に訪れた。国葬は19日にウェストミンスター寺院で厳かに執り行われ、その後、両親と夫が眠るセント・ジョージ礼拝堂に埋葬された。
エリザベス女王崩御後も休みなく公務を行う王族たち 9月8〜19日
女王の死を受けて国王に即位したチャールズ3世。最愛の母の死に打ちひしがれながらハードスケジュールをこなさねばらなず、署名する際に置かれたペンの位置にイラついたり、日付を間違えて記入したことを指摘されブチ切れ。また、ペンからインクが漏れて「もう嫌だ!」と漏らしたことも。スコットランド訪問中、町民から「念のために」とペンをプレゼントされた国王が苦笑する映像も流出した。
また、弔問のためバッキンガム宮殿前に集まった人々の前に、ウィリアム皇太子夫妻とヘンリー王子夫妻の4人が揃って現れ、久しぶりの「ファブ4」だと話題にもなった。他の王族も、悲しみの中、粛々と国葬に向けた公務を行った。
第一次世界大戦終結記念日の11日、ロンドンではチャールズ3世が国王になり初めての戦没者追悼式典リメンブランス・デーが行われ、国王とウィリアム皇太子は軍服姿で戦争記念館に敬意を表し花輪を捧げた。
同日、軍人だったことを誇りに思っているヘンリー王子は、単独でハワイを訪問。パールハーバーにあるUSSアリゾナ記念館を訪れ戦没者に祈りを捧げた。メーガン夫人と運営するアーチウェル財団には「アメリカでは退役軍人の日、イギリスでは戦没者追悼の日。世界中の軍関係者に敬意を表する」というメッセージが掲載された。
チャールズ国王による初の公式晩餐会、ゲストは南アフリカのシリル・ラマピポーザ大統領 11月22日
チャールズ国王がバッキンガム宮殿で即位後初となる公式晩餐会を開催。南アフリカのラマポーザ大統領を招いたこの晩餐会には、カミラ王妃、ウィリアム皇太子夫妻、エドワード王子夫妻、リチャード王子夫妻、ケント公爵エドワード王子が正装し出席。終始穏やかな雰囲気で人種差別的だという王室のイメージを払拭するような晩餐会となった。
しかしその後、カミラ王妃が開催したイベントで、長年女王の女官を務めたレディ・スーザン・ハッセーが黒人女性に「人種差別的な発言をした」と告発される事件が発生。王室はすぐに謝罪声明を出した。
チャールズ国王、アン王女とエドワード王子を国務参事官に加えるよう要請
国外滞在や病気になどにより国王が一時的に職務を遂行できなくなった場合、代理を務める国務参事官。これまで君主の配偶者と王位継承順位1位から4人までの21歳以上の王族メンバーと定められていたが、アンドリュー王子とヘンリー王子が公務から外れていることを受け、代わりにアン王女とエドワード王子を加えるよう、チャールズ国王が貴族院に要請した。
ヘンリー王子は国務参事官の権利を保持するためイギリスの住居としてフロッグモア・コテージのリース契約を更新し続けているとみられており、今後、彼がどのような反応を示すのかに注目が集まっている。
11月30日から12月2日までの日程で、ウィリアム皇太子夫妻がボストンを訪問。皇太子が主催するアースショット賞第2回授賞式に出席するためで、8年ぶりのアメリカ訪問に全米が沸いた。
その数日後、ヘンリー王子夫妻はニューヨークで開催されたロバート・F・ケネディ人権賞ガラに出席。不仲だと伝えられている王子たちだが、フィリップ殿下、エリザベス女王の葬儀では言葉を交わしており、アメリカで対面し話し合いをするのではないかと期待されたが、実現ならず。ガラで「家族を傷つけているのでは?」と野次を浴びせられたヘンリー王子は華麗にスルーしていた。
ヘンリー王子&メーガン夫人のNetflixドキュメンタリーシリーズが配信開始 12月8、15日
20年3月に王室を離脱し、現在アメリカで2人の子供と共に暮らしているヘンリー王子夫妻の「ラブストーリー」を描いたドキュメンタリー番組が、2部に分けて配信された。王子は王室で起きた家族とのプライベートな出来事を赤裸々に語り、夫人も人種差別だけではなく、自分はまさに“生け贄”にされたのだというニュアンスで、王室とその組織、英メディアを批判した。
番組の配信開始週の視聴時間は、Netflix史上最高記録をマーク。Netflixが11月にリリースした『ザ・クラウン』シーズン5もヒットしたが、王室を批判するような内容となっているため賛否両論だった。
キャサリン妃主催のクリスマスキャロルで、家族の絆を見せた王族たち 12月15日
ウェストミンスター寺院で、キャサリン妃の主催するクリスマスコンサート“クリスマスキャロル”が開催。チャールズ国王夫妻をはじめとする王族や、キャサリン妃の両親、妹のピッパも配偶者を連れて出席。ジョージ王子とシャーロット王女もはじけるような笑顔を見せた。
ヘンリー王子が離脱の際「兄に怒鳴られ、父に事実でないことを言われ、祖母もかばってくれなかった」と激白したドキュメンタリー番組第2部の配信日と重なったが、王族は絆が固く、温かい家族であることをアピール。エリザベス女王の逝去後、初めてのクリスマスシーズンを、一族で過ごした。