覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。
パンで作ったサイコロで「チンチロリン」
皆様あけましておめでとうございます。いつも読んでくださってありがとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。
去年、インターネットテレビ(ABEMA『ぜにいたち』)に出させてもろた時に、「お正月とかゴールデンウイークとか、ヒマすぎて刑務所でチンチロリンをしてた」とお話ししたんですが、編集者さんに「チンチロリンの話は聞いてませんでした。まだまだ『隠し玉』があるんですね」と苦笑されました。
ムショのお正月については前に書いてますが、チンチロリンについては書いてなかったですね。忘れてただけで、特に深い意味はないです。ちゅうか、今の若い人はチンチロリンとか知らないですよね。「親」と「子」を決めて、サイコロを3つ振って、出る目の数を当てていくバクチです。
サイコロは手作りです。瑠美たちはパンで作ってボールペンで目をつけてました。パンをちぎって四角にまとめて毎日押さえてると、だんだん硬くなっていくんです。
ムショではお金は賭けられないので、おかずやお菓子、解熱剤などを賭けてました。もちろん禁止やから、バレたら懲罰が待っています。よいこはまねしちゃだめですよ。
瑠美は慣れもあって、ムショのお正月もそれなりにエンジョイできていましたが、普通はお正月を獄中(なか)で過ごすのはキツいものです。
元KAT-TUNの田中聖さん、恐喝事件は不起訴に――そもそもなぜ再逮捕されたのか?
クリスマス前に6回目の逮捕となった元KAT-TUNの田中聖さんの恐喝事件は、不起訴になりましたね。田中さんは、かなりツラいと思います。
まあ、正直「被害額1万円」で起訴は厳しいと思います。もともとは10万円のライブのギャラをもらえなかったから、田中さんをライブハウスに紹介した女性に「お前が弁償しろ」となったそうで、女性側が1万円だけ払ったのが「恐喝事件」にされたんですね。ライブハウス側が弁償して示談にすれば、普通は不起訴ですね。
それにしても、もう覚醒剤取締法違反で起訴してるのに、なぜ再逮捕なんでしょうか。「公判維持が微妙やからかな」とか思っちゃいますよね。
編集者さんから「お正月休みにいかがですか?」と映像作品をいくつか紹介されましたが、映画『ビューティフル・ボーイ』(2018年、フェリックス・ヴァン・フルーニンゲン監督)しか見られませんでした。この映画はクスリ(違法薬物)に溺れる息子さんと、寄り添うお父さんや家族の実話やそうです。
お父さんはジャーナリスト、息子さんは脚本家で、2人の手記が基になってるんですね。息子さんの本は英語版のみですが、もともと勉強もスポーツもできたのに、11歳からお酒を呑み、大麻からコカイン、MDMA、覚醒剤、ヘロインとどんどん手を出していきます。お父さんは心配して、ゲキドしながらも依存症治療センターを7つもハシゴして、13回の入院にも付き添っています。
お2人ともイケメンすぎて話が入ってこないところもありますが、息子さんが何回クスリに手を出しても、「すべてを超えて愛してる」とパパが抱きしめるのは涙が出ますよ。
ただ「8年をかけてドラッグ依存を克服」ちゅうのは、ちょっと違いますかね。いったん依存症になったら、「死ぬまで依存症」で、「克服」はできません。瑠美もですが、「今この瞬間はクスリに手を出してないだけ」の状態で、この状態を死ぬまで続けていくわけです。これが依存症のコワイところなのです。
あと、見てないのですが、アメリカのリアリティ番組『刑務所1日体験』シリーズも気になりますね。窃盗やクスリなどの事件を起こした未成年を凶悪犯罪者のいる刑務所に収容して、刑務所の怖さを体験させる番組やそうで、10年以上続いているそうです。
ドッキリみたいなやつで、事前に刑務官と懲役(受刑者)には撮影の趣旨を説明していて、「ケガをさせなければめっちゃ脅かしてよし」と言っているそうです。おっさんたちは張り切って子どもたちを脅かしてますが、事故も起きていないとか。
最初は威勢のいい子どもたちも、刑務官や懲役から怒鳴られて、震え上がるそうです。悪趣味といえばそうですが、アメリカらしいですよね。いつか見ときます。