覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。
鳥取連続不審死事件の上田美由紀死刑囚が獄死
鳥取の連続不審死事件で死刑が確定していた上田美由紀さんが獄死したそうですね。法務省的には「事故死」やそうです。
まだ49歳なのに誤嚥(ごえん)で窒息死……。高血圧、不眠症、狭心症とかの持病があったそうですが、その若さで詰まりますかねえ。
ニュースによると、亡くなったのは1月14日ですが、なんと10日にも誤嚥で意識不明になって救急搬送されてます。
メニューは白米や焼きそば、つみれなどで、「何を詰まらせたかは不明」やそうです。麦飯やなく白米なのはなぜでしょうか? 普通は古米または古古米に麦を混ぜたごはんです。
ムショの炊場(すいじょう、調理施設)にいてた友達も「このメニューなら詰まらんやろ」言うてました。ちなみに炊場は火や包丁を使うので、懲役(受刑者)の中の「エリート」が配属されてます。
話がそれましたが、まあ麦飯は水分少なめやから、たまにむせることもあります。でも、ムショの焼きそばは細かく切られてますし、ツミレも細かくしたお肉や魚肉を卵とかのツナギでまとめてるだけやから、口に入れたらポロポロ崩れます。むしろ詰まらせるほうが難しいですよね。
ちうか10日にも詰まらせてるなら、ムショ側が詰まりにくい「医療食」にするとか、気をつけるべきでした。瑠美はムショで歯を抜いたことがありますが、その後しばらくは、糊みたいなベトベトのおかゆと原形をとどめてないペースト状の魚とかの医療食でつらかったです。
「連続不審死事件」で思い出したのは……
上田さんは、同じような連続不審死事件で死刑が確定した木嶋佳苗さんと比べて、あまり知られてない気がします。木嶋さんのキャラが濃いからですかね。
2018年で更新は止まってますが、木嶋さんは上田さんに「嫉妬」したと、獄中 (なか)からブログに書いてたことを編集者さんから聞きました。
「彼は、私より上田さんを選んだのか。ショックだった」そうです。「彼」とはフリージャーナリストの青木理(おさむ)さんで、上田さんを取材した『誘蛾灯 鳥取連続不審死事件』(講談社)を出してるんですね。
木嶋さんは、さらに「私は個人的に青木さんの髪が好き。ほんの少し白髪混じりで長めのサラサラした真っすぐな髪が、とても似合ってる。長身痩軀のあのルックスで取材に来られたら、ドキドキしちゃうだろうなぁ。私を選んでくれなかった悔し紛れに言いますけど、私は逮捕当時34歳です。いくら私に興味をそそられないからって、年齢は正しく書いてほしかった」とか、なかなかです。
瑠美はまったく知りませんでしたが、当時このブログは話題やったそうです。こうゆう「かいらしい」(かわいらしい、けなげな)文章が「モテ」の秘訣かもですね。
「獄中自殺」は、そんなにしょっちゅうはないですが、ニュースにも出ますよね。
最近では、大阪・高槻で養子縁組したホストの高井凜さんが資産家の「お母さん」を殺した容疑でパクられて(逮捕されて)、獄中で首を吊った事件とか。これは遺書があったそうです。
あとは兵庫・尼崎の連続変死事件でパクられてた角田美代子さんですね。「3人部屋」で、ほかの2人に気づかれないように自分の首を絞めるのは難しいのと違うかなと思いますが、「自殺」と認定されました。
獄中自殺は所長の出世に関わるから、施設側はめちゃくちゃ気をつけているそうですが、瑠美が務めてたムショでも、ティッシュをノドに詰めて亡くなった懲役がいてました。ティッシュは水分を吸うから、かなり苦しいと思いますよ。
亡くなったらもうわかりませんが、「自殺と見せかけて殺された」説は結構ありますよね。編集者さんに聞いたら「俺が死んだら自殺じゃない」とTwitterに書いてる大社長がいてました。パソコンのウイルス対策ソフトを作ったジョン・マカフィーさんです。
「俺がエプスタインみたいに首を吊ってたら、それは自殺じゃない」と書いていて、ほんまに拘置所で首吊り死体で見つかったそうです。脱税容疑でパクられて、スペインの拘置所の独房に収監されてたんですね。
「エプスタイン」とは、ロリコン売春グループの元締めですね。勾留中に自殺してますが、売春のお客さんたちがイギリスの王子とかアメリカの大統領とか超絶セレブやから「口封じ説」があるそうです。
自殺か他殺かの判断は難しいですが、獄中にいてると死にたくなります。瑠美も経験ありますが、刑務官や同房者のイジメ、将来の不安とかで、ひたすら悲しいです。「もうどうでもええ。死にたい」と考えない懲役はいてないと思いますよ。100%自業自得ですけど。
やっぱりムショは行くところやないですね。