• 日. 12月 22nd, 2024

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デザイナーママの苦悩! ママ友から「ロゴ作成」依頼、見積書を出したら「お金取るの!?」と激怒された!

「子ども同士の付き合い」が前提のママ友という関係には、さまざまな暗黙のルールがあるらしい――。ママたちの実体験を元に、ママ友ウォッチャーのライター・池守りぜねが、暗黙ルールを考察する。

 ワーママが増えている昨今、デザインやライティングなど、クリエイティブ系の仕事をしているママたちは少なくない。長引くコロナ禍、収入が減ったことを受け、オンライン講義などでこれらの専門技術を学び、副業をするようになった人もいるだろう。今回は、ママ友に自分の“仕事”を伝えてしまったために、無償で頼まれ事をされたというあるお母さんの苦悩を取り上げる。

息子のサッカークラブのママ友から「ロゴデザイン」を依頼されたデザイナー

 化粧品の通販サイトでデザイン業務を担当している早智子さん(仮名・39歳)は、小学3年生になる男児のママ。数年前までは、子ども服を扱うアパレルで接客の仕事をしていた。

「新型コロナウイルスの感染拡大のために、店舗の入っていた商業施設が休館したんです。その間、お給料が支払われなかったのもあり、転職を考えました。もともと、イラストが得意だったので、オンライン講座でグラフィックソフトの使い方を学び、自分の作品をネットで発表したら、結構反応があって……地方の飲食店のロゴ作成など手掛けるようになったんです」
 
 その後、早智子さんは現在の職場に転職し、パートタイマーとして働きながら、空いた時間にデザイナーやイラストレーターとしての副業を行い、軌道に乗せている。そんな中、早智子さんの仕事を聞きつけたママ友の梨花さん(仮名・37歳)から、ある頼みごとをされたという。

「梨花さんの息子は、うちの息子と同じ小学校に通っています。1年生の頃、同じサッカークラブに入会したので、彼女とは練習の付き添いで、毎週1回は顔を合わせる間柄なんです。そんな彼女にこの前、サッカークラブのロゴの作成を頼まれたのですが……」

 デザインやライティングを仕事にしているママは、小学校のPTA活動で、広報委員を勧められるケースが珍しくない。PTAの場合は任意で引き受けるか否かを決められるが、「お稽古事のママ友から直接お願いされると断りづらく面倒だ」と早智子さんは言う。

「サッカークラブには、梨花さんの息子のほうが先に通っていたんです。サッカーのルールから、コーチの人柄、クラブの決まり事、それからママたちの当番についてまで、いろいろと教えてもらいました。梨花さんの旦那さんも同じサッカークラブの出身とあって、彼女も思い入れが強かったんでしょうね。クラブ活動に熱心で、ロゴのリニューアルも彼女が率先して動いていたようです」

 平日のパートに加え、副業もあるため、「自分の時間がない」という早智子さんは、「これ以上、作業は増やしたくない」と思っていたそう。

「サッカークラブのママ友とは、練習中の待ち時間もずっと一緒なので、“雑談”は避けられません。それぞれの出身地や夫の話題が出る中、私が『平日はとにかく忙しい』と漏らすと、『どんな仕事をしているの?』と聞かれたんです。なので、今やっている仕事について簡単に話すと、『それなら、サッカークラブのロゴも手伝ってよ』と言われてしまい……『デザイン業はまだまだ勉強中』と伝えたんですけどね」
 

 その後、会うたびに梨花さんから「サッカークラブのロゴを新しくしたい」と相談されたという早智子さん。

「最初は、『忙しいので』と断っていたのですが、『子どものためじゃない』と言われて、しぶしぶいくつかロゴ案を作りました。そうしたら、ロゴを入れたチームTシャツを作ると言い出して、さらにデザインをするハメになったんです」

 早智子さんは、Tシャツのデザインについては見積書を出した。すると、梨花さんに激怒されたそうだ。

「『お金を取るなんて信じられない』と、会った時に文句を言われました。確かに、チームの会費は月に数千円程度で、コーチもサッカー経験者ですが、ほぼボランティアのような形でみてくれています。ずっとそうした体制で運営してきたので、梨花さんとしては、『デザイン代が発生するなんてあり得ない』と感じたんだと思います」

 早智子さんは、息子が楽しく通っているサッカークラブから退会するのは心苦しいだけに、今回はTシャツのデザインを無償で引き受けることにしたそう。しかし、この後、同じような話を振られるのはもう勘弁だという。

「梨花さんはすでに『デザインができるママがいる』と言って、サッカークラブ側に話を通してしまったみたいなんです。お金が欲しいというわけではないですが、プロとして仕事を受けている手前、今後もサッカークラブだけ無償と言うわけにはいかず、頭を悩ませています」

 そもそも「『デザインの仕事をやっている』と言わなければよかったです」と早智子さん。

「よくママ友付き合いでは『夫の仕事についてずけずけ聞いたりしない』が暗黙のルールって言いますよね? ママ同士も、普通の友達ってわけではないんだから、それぞれの仕事についてはあまり詮索しないことを暗黙のルール化してほしいものです」

 今回のように、「何かしらの技術を持っている人は、周りから頼まれ事をされやすい」のは、ママ友付き合いでもよく発生することだ。

 ワーママが増える昨今、「お互いの仕事についてはあまり詮索しない」というのが、すでにママ友間で暗黙のルール化しているコミュニティもあるが、一方で、世間話として、ママ友に自分の仕事について話すぐらいのことは普通というコミュニティも多いだろう。1人のママ友にしか仕事の話をしていなかったのに、いつの間にかほかのママ友にも伝わっていた、ということもよくある話だ。

 今回、早智子さんを悩ませる問題が発生した背景には、デザインをはじめ、イラストやライティングなどは、実際にやったことがない人からすると、「作業にどれくらいの時間と労力がかかるのかわからない」点が大きく関係していると感じた。梨花さんは「プロならば、簡単にできる」と考えていたようにも思う。

 ママの中には、趣味の延長でデザインやイラスト、動画撮影などを行い、プロ並みの腕前を誇る人もいる。腕試しのように、PTA業務に関するデザインや、子どもの習い事の撮影を無償で手伝う人もいるため、そういった人たちとプロである早智子さんとの違いがよくわかっていなかったのかもしれない。

 早智子さんが「無償での手伝いはしたくない」と考えているならば、仕事が忙しいと説明したうえで、「本業を休んだり、減らして作業しなければならない」ことを強調し、そのため「費用が発生する」と、最初に伝えるべきだった。それに、例えば、飲食業を営んでいるママが、サッカークラブに昼食の提供を頼まれた場合、材料費などがかかることは誰の目に見ても明らかだけに、無償にはならないはず。それと同じことだと説明するのもいいかもしれない。

 実際、ママ友間でのトラブルは、お金に関するものが多い。後から言い出しにくい話だからこそ、大事な部分は最初に伝えたほうがいいと思う。

 なお、今回の早智子さんのように、ママ友から無償作業を頼まれたデザイナーやライターからよく聞く困り事としては、例えば、「最初は良かれと思ってポスターのデザインをしたら、何度も修正依頼をされ大変だった」「キャッチコピー作成を手伝ったら、容易な作業だと思われたようで、その後、何度も頼まれるようになった」というものが挙げられる。

 これに関しても、最初に「修正は〇回まで」「今回は無償だが、次回からは費用が発生する」など条件を明確にしておくのが必要だ。たとえ無償でも、相手に「仕事として請け負います」というスタンスを見せておくことが大事ではないだろうか。

 学校や習い事などにおけるママ友間の無償作業は、いろいろな人の確認が何度も発生するので、思ったように進められない面がある。仕事のようなスムーズなやりとりができずイライラすることも少なくないようだ。人間関係にも支障が出かねないだけに、安請け合いしないほうが身のためと言えよう。

 「お互いの仕事についてはあまり詮索しない」はまだ、“ママ友の暗黙ルール”とは言い難い。それだけに、あくまで自衛のために、以上のことを心掛けておくといいのかもしれない。

By Admin