井上雄彦氏の人気コミック『SLAM DUNK』(集英社)を新たな視点で描く東映の劇場アニメーション映画『THE FIRST SLAM DUNK』が、全国の映画館動員ランキング(興行通信社調べ、1月13日~1月19日)で1位を獲得した。同作は公開から51日間で観客動員数約610万人、興収89億円を突破する大ヒット中で、100億円の大台も夢ではなくなってきた。
邦画の実写作品では竹内豊主演、ヒロインを黒木華が務める『映画 イチケイのカラス』が健闘し2位にランクイン。同作は浅見理都氏の同名コミックを実写ドラマ化した人気シリーズの劇場版で、ドラマ版から2年後を舞台に、岡山県に異動した主人公が、真実を求めて国家の暗部に踏み込んでいく物語。監督はドラマ版に続き、『コンフィデンスマンJP』(フジテレビ系)シリーズの田中亮氏が務める。
2021年のドラマ放送時も視聴率以上に人気の高いドラマではあったが、劇場版も公開から10日間で動員44万人、興収5億7769万円を記録し、あらためてその人気の程を証明した形だ。フジテレビは過去にも『踊る大捜査線』シリーズなど、連ドラの映画化でヒットを飛ばしており、本作にも10億円超えの期待がかかる。SNS上でも「面白かった」「竹野内豊がかっこ良すぎた」など高評価が多い印象だ。
そして3位は、『THE FIRST SLAM DUNK』の動員面でのライバルと言える新海誠監督のファンタジー長編アニメーション『すずめの戸締まり』。公開10週目を経て、少しずつ順位を落としてはいるが、ベルリン国際映画館出品など話題も多く、今後、再びランキングを上げてくることも十分に考えられる。なお、『すずめの戸締まり』はすでに興収113億円を突破、動員851万人の大台を突破している。
ジェームズ・キャメロン監督の最新作『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』は4位。アメリカではすでに興収20億ドルを突破しているが、日本では公開38日間で動員204万人、興収37億2839万円と期待されたほどの成果は上げていない。
人気テレビシリーズの劇場版である『Dr.コトー診療所』は5位。同作は公開から38日間で動員168万人、興収21億9983万円を記録している。リピーター客も多いようで、SNSでは2回目、3回目を見たという人のレビューも。
二宮和也主演の『ラーゲリより愛を込めて』も健闘し6位にランクイン。こちらも公開45日間で動員154万人、興収20億3833万円を突破。派手な作品ではないものの、「泣ける映画」として評判が高いことなどからロングランに突入しており、二宮はこの作品で「第46回日本アカデミー賞」の優秀主演男優賞を獲得した。
7位はテレビシリーズの特別編集版として公開された『名探偵コナン 灰原哀物語 −黒鉄のミステリートレイン−』。「漆黒の特急(ミステリートレイン)」をメインエピソードとして制作された同作は、灰原哀の過去にスポットを当て、彼女と黒ずくめの組織との関係などが中心となっている。
8位もアニメ作品で、公開4週目の『かがみの孤城』が入った。こちらは公開から31日間で興収8億3544万円を突破。公開当初は興収5億円と予想されていたがそれを上回るヒットとなっており、口コミ評判も良いことから、まだまだ動員を伸ばす可能性がある。
Kis-My-Ft2の藤ヶ谷太輔と前田敦子が出演する注目作『そして僕は途方に暮れる』は9位という結果に。同作は『愛の渦』『娼年』などで知られる三浦大輔監督が自身のヒット舞台を映画化。面倒な現実と向き合おうとせず、ひたすら逃げ続け、次第に追い詰められていく主人公の運命を描く。舞台版に続き、藤ヶ谷がクズな主人公を熱演し、ジャニーズファンの間では大きな話題となっていたが、動員は伸び悩んでいるようだ。
10位には前週いったん圏外へと消えた『ONE PIECE FILM RED』が再ランクイン。同作は公開25週目で興収193億円、動員1400万人を突破しており、スタジオジブリの名作『ハウルの動く城』(04年)の興収196億円超えが視野に入っている。
【全国映画動員ランキングトップ10(1月13日~1月19日 、興行通信社調べ)】
1位 THE FIRST SLAM DUNK
2位 映画 イチケイのカラス
3位 すずめの戸締まり
4位 アバター:ウェイ・オブ・ウォーター
5位 Dr.コトー診療所
6位 ラーゲリより愛を込めて
7位 名探偵コナン 灰原哀物語 −黒鉄のミステリートレイン−
8位 かがみの孤城
9位 そして僕は途方に暮れる
10位 ONE PIECE FILM RED