NHK Eテレの人気番組『ねほりんぱほりん』のシーズン7が昨年10月7日よりスタートした。かわいらしいモグラの人形ねほりん(山里亮太)とぱほりん(YOU)が、ブタの人形に扮した“顔出しNG”の訳ありゲストに、聞きにくい話題を“ねほりはほり”聞き出す新感覚トークショーだ。
※本記事は『ねほりんぱほりん』シーズン7「元K-POPアイドル練習生」のネタバレをみます
『ねほりんぱほりん』元K-POPアイドル練習生、オーディションで「整形できる?」
今回のテーマは「元K-POPアイドル練習生」。ゲストには、韓国人男性のキム・チョルスさんと日本人女性のななこさん(共に仮名・20代)の2人が登場した。
現在、日本で大学に通うななこさんは、高校卒業後の約1年間、韓国・ソウルの芸能事務所に練習生として所属。キムさんは、現在、日本で作曲活動などを行っているが、高校3年生~19歳までの約2年間、別の事務所にやはり練習生として籍を置いていた。
K-POPアイドルは、練習生になるだけでも難関。世界各国で開催される歌・ダンスの厳しいオーディションを突破しなければならず、多くの事務所で応募資格は10代に限定されているという。ななこさんは「高1から3年まで100回近くオーディションを受けた」ものの、なかなか合格できず、「目指していた3年間は毎晩、涙を流して。つらかったです」と振り返る。
また面接では「整形できる?」と聞かれることも。「私は、整形は抵抗がなかったので……。ほかにも『学校辞められる?』とか『彼氏いる?』とか。相手(元カレ)がどのような写真を持っていて、それがのちのち流出して問題にならないかっていうのを気にしている」と面接での質問内容を明かした。
一方、ラップが得意なキムさんは、ラッパーグループのメンバーを募集している事務所を見つけ、1回目のオーディションで即合格。「実力も大事なんですけど、(事務所との)方向性が合ったらすぐ入れたりとか。結構、運が大事だと思います」と語った。
『ねほりんぱほりん』元K-POPアイドル練習生、1カ月コーヒーだけの過酷なダイエット
ななこさんいわく、K-POPアイドルになるには「スキルはもちろんなんですけど、頭身(のバランス)がすべて」。練習生オーディションを繰り返した3年間、ななこさんはスタイルがよく見えるようにと、毎日筋トレやダイエットに励み、「朝:サラダ・鶏むね肉、昼:サラダ・さつまいも、夜:なし」というメニューを続けたとそうだ。
その努力が実って練習生になれた後も、ダイエットはエスカレート。ななこさんは、「だいたいは、身長-体重で120(がK-POPアイドルの理想)。私は163cmなので43kgを目標に頑張ってて、でも44kgの壁がどうしても越えられなくって。本当はよくないんですけど、コーヒー1日2杯だけで1カ月間過ごしていました」と明かした。もちろん倒れてしまったそうだが、「あそこまで自分は限界を迎えられるんだって、そのときはすごく達成感がありました」とのこと。しかし「ストレッチ中に肋骨が折れた」とも語っていたななこさんは、ほぼ確実に栄養失調である。
ねほりんぱほりんスタッフが、別の韓国の芸能事務所社長に行ったインタビューによると、事務所に欲しい練習生は「言うことを聞く人」「会社が決めた方針についてこられる人」「完全に自分を捨てられる人」。ブラック企業の欲しがる人材そのもので、つまり事務所の方針に逆らった人は切り捨てられる厳しい世界のようだ。
その厳しさの象徴が、毎月行われる「月末テスト」。「事務所の一番偉い人たちの前で1カ月準備した曲とかを見せる場」(キムさん)だそうで、その結果、即クビになることもあるという。キムさんは、親しくしていたメンバーが月末テストでクビになり、連絡もつかず消息不明になってしまった……という経験もあり、「テスト前は毎日朝まで練習」の日々だったそうだ。
また、ななこさんの事務所の月末テストでは「ビジュアル審査」という項目も。「月末評価の当日の朝に、みんなでBLACKPINKさんとかが通われてる美容室に行くんですよ。ヘアスタイルだったりメイクをオーダーして、自己プロデュース能力っていうのも審査される項目がありました」と明かした。
『ねほりんぱほりん』元K-POPアイドル練習生、「倒産でデビュー白紙」「違約金100万円を取られる」
練習生になれたものの、今は別の道を歩む2人。その理由はというと、キムさんは事務所の倒産、ななこさんは事務所の急な方針転換だった。
キムさんは一度、デビューが決定。社長に「来月から音楽番組に出るから準備しておいて」と言われていたが、当月になっても音沙汰なし。そのうち突然、事務所の電気がつかなくなり、プロデューサーから「お前たちの社長は刑務所に行った」と知らされたそう。事務所は金銭問題で倒産していたことも同時に教えられたという。「もうTT(TWICEのTTポーズ)」と明るく振り返るキムさん。結局、自分たちではどうもできず解散に至ったそうだ。
ななこさんも、事務所から「もうちょっとでガールズグループのデビューがある」「君がデビューに一番近い」と聞かされていたが、一転白紙に。「男の子の中で知名度ある方が2人入ってきて、その子を先にデビューさせようっていうので、事務所が女の子から男の子にシフトしちゃって」と事情を語った。韓国の芸能事務所は、男性グループと女性グループのデビューは数年おきであることが多いという。数年後もデビュー組でいられるのか不安になったななこさんは、そこで辞めることを決意した。
2人とも“事務所都合”での撤退とも見えるが、ななこさんの場合は自己都合扱いに。韓国では、レッスン代・宿舎代・美容代などすべて事務所が払ってくれるが、自己都合で辞める場合は違約金を支払うという恐ろしい掟がある。ななこさんは「100万円を超える額」を請求されてしまったそう。「1カ月以内に払えって言われた」という冷たさに驚くが、ななこさんの頑張りを見ていた母親が払ってくれ、帰国できたという。
そんなななこさんいわく、「自分を犠牲にしてまでも完璧であり続けられて、運をつかめる方がK-POPアイドルなのかな」。華やかなデビュー組の背後には、数えきれないほどのキムさん、ななこさんのような人がいるのだろう。今後、K-POPアイドルを見る目が変わってしまうことは避けられない。