2月3日に公開された劇場アニメ『「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』が、同6日発表の国内映画ランキング(全国週末興行成績、興行通信社提供)で初登場1位を獲得。初日3日間で動員81万3000人、興収11億5900万円を記録する好スタートを切った。
「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載された人気漫画(作・吾峠呼世晴)が原作の同アニメは、主人公・竈門炭治郎が、鬼と化した妹・禰豆子を人間に戻す方法を探すために鬼と戦う物語。2019年4月にテレビシリーズ第1期「竈門炭治郎・立志編」(TOKYO MXほか)が放送され、20年10月に公開された『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』は興行収入400億円を超える大ヒットを記録。日本歴代興行収入第1位に躍り出た。
そんな『鬼滅』シリーズにとって、劇場2作目となる今作は、テレビアニメ第3期「遊郭編」(21年12月~22年2月放送、フジテレビ系)の第10、11話と、4月から放送開始する第4期「刀鍛冶の里編」(同)の第1話で構成された特別版。
「新規エピソードは少ないものの、激しい戦闘シーンが話題を呼んだ『遊郭編』のクライマックスを映画館のスクリーンで楽しむことができ、『刀鍛冶の里編』をいち早く見られること、また、入場者特典として“鬼”に焦点を当てて制作された特別冊子が配布されていることから、客足が伸びているのでしょう」(芸能ライター)
なお、今作では、敵役である「上弦の鬼」の声優陣が明らかに。これまで、上弦の参・猗窩座役を石田彰、上弦の陸・堕姫と妓夫太郎役を沢城みゆきと逢坂良太が演じてきたが、新たに上弦の壱・黒死牟役は置鮎龍太郎、上弦の弐・童磨役を宮野真守、上弦の肆・半天狗役には古川登志夫、上弦の伍・玉壺役として鳥海浩輔が出演している。
過去には、緑川光、子安武人、木村良平、福山潤、諏訪部順一、森久保祥太郎ら人気声優たちが鬼役として登場しているため、ネット上では「声優めっちゃ豪華」「実力揃いの声優さんを贅沢に使ってくれるから耳が幸せ」「脇役でも有名な人が多い」と話題になっているのだ。
アニメ業界において、『鬼滅の刃』のように豪華声優陣が脇役に次々と起用されるのは、とても珍しいことだという。
「メインキャラクターとの『兼ね役(一人二役)』として、ベテラン声優を脇役に使うことはよくありますが、脇役のみでネームバリューのある声優を起用することは、まずありません。というのも、ジュニア声優を脇役にキャスティングする場合、ギャラは1話で1万5,000円ですが、対して名のある声優は、4万円前後かかりますから。1作品につき使える費用がだいたい決まっているアニメ制作現場では、ベテランを脇役のみで起用するのは、なかなかできないことなんです」(声優業界関係者)
なお、音響制作班が自腹を切って費用を捻出することもあるというが、「それは音響監督に強いこだわりがある場合のみで、極めて稀」(同)だという。
ではなぜ、『鬼滅の刃』は、脇役にも豪華声優陣を集めたのだろうか。
「制作側が、たとえ脇役でも物語には欠かせない重要な役だと考えたからこそ、技術力のあるベテランを起用したのでしょう。アニメ放送初期は、制作側もこれほど人気が出るとは想像していなかったはずですが、にもかかわらず、当初から脇役に実力派たちを起用していたところを見ると、『絶対に良い作品にしよう』というスタッフの気概を感じますね。また単純に、『鬼滅の刃』はほかの作品よりもキャスティング費を高く設定していた、もしくは、制作費のやりくりがうまかった可能性も考えられます」(同)
そうしたスタッフたちの努力の甲斐あって大人気シリーズとなった『鬼滅の刃』。公開中の映画はどこまで興収を伸ばすのか、そして4月スタートの第4期「刀鍛冶の里編」にも引き続き注目だ。