• 日. 12月 22nd, 2024

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ママ友ランチ会トラブル! 2歳児が生クリームを口に……自然派ママに非難された話

「子ども同士の付き合い」が前提のママ友という関係には、さまざまな暗黙のルールがあるらしい――。ママたちの実体験を元に、ママ友ウォッチャーのライター・池守りぜねが、暗黙ルールを考察する。

  「食育」という言葉が一般化して久しいが、ママにとっては、特に初めての育児の場合、子どもに何を食べさせればいいのか迷うケースがほとんどだろう。離乳食ひとつとっても、完全手作りにこだわるママもいれば、レトルト食品で済ませるママもいる。

 周りから見たら大差がないように見える家庭の食卓にも、ママたちそれぞれの葛藤が渦巻いているものだ。今回は、そんな「子どもが食べるもの」をきっかけに、ママ友間にちょっとしたトラブルが発生し、頭を悩ませているというお母さんの話を取り上げる。

キッズカフェに2歳児の食べ物を持ち込む“自然派”のママ友

 都下で2歳になる男児を育てている薫さん(仮名・36歳)は、週2回程度のパートをしながら、プレ幼稚園に息子を預けている。

「息子が通っているのは、教育方針に惹かれて遠方からの通園も多い人気園。家庭訪問や、平日の親子参加行事もあるので、ママさんは専業主婦がメインですね。私はどうしてもこの園に通わせたかったので、2歳のプレから息子を預けることに。そうすると、持ち上がりでそのまま園の年少クラスに入れますからね。実際、そういうご家庭が多いんですよ」

 2歳クラスは午前だけで終わることも多いため、近所のファミレスでママたちとランチをすることもあるという。そのメンバーの一人が愛理さん(仮名・38歳)。彼女は、薫さんと同じ2歳の男児と小1になる女児を育児中だ。

「ファミレスでランチをする時には、小学生の子どもがいる愛理さんが、“先輩ママ”として、みんなの育児に関する悩みや心配事を聞いてくれるんです。愛理さんの娘さんは保育園に通っていたそうですが、当時、愛理さんは仕事が忙しく、あまり面倒を見られなかったため、息子さんが生まれたのを機に退職。今は専業主婦で、息子さんを幼稚園に通わせていると言っていました」

 愛理さんの息子・K君は、アトピー体質のため、食べ物には相当、気を使っているそうだ。

「愛理さんは料理を作るのが好きで、マヨネーズなども手作りにこだわっていました。うちの園の給食は、園で栽培している野菜を使っていて、それが『選んだ決め手』とも言っていましたね。もともと愛理さんは、都心に住んでいたものの、上の子が小学校に入学するタイミングで、自然が多い都下に引っ越してきたそうなので、自然派の育児に熱心なママさんという印象はずっとありました」

 そんな愛理さんは、子連れでファミレスやキッズカフェに行くとき、K君が食べるものを持ち込んでいたという。

「愛理さんの息子は、食物アレルギーではないのですが、なるべく化学調味料や添加物が入っていない料理を食べさせたいみたい。まれにお店のメニューから注文する時も、2歳のK君に離乳食のおかゆを選んでいました」

 そんなある日、薫さんと愛理さんは、ママ友の家で行われる持ち寄りの子連れランチ会に参加。薫さんは、愛理さんが食育にこだわっていることを知っていたが、2人を招いたママは、愛理さんとはあまり交流がなかったという。

「家に招待をしてくれた早苗さん(仮名・35歳)は、息子が通っていた親子水泳教室で一緒だったママさん。早苗さんは2歳になる息子を、私たちが通っている園に入れたいと思っていたそうで、『幼稚園の雰囲気を教えてほしい』と、ランチ会を企画したんです」

 薫さんはこのランチ会を楽しみにしていたというが、スタート時から冷ややかな空気が漂ってしまった。

「早苗さんが用意したジュースを、『家では子どもに、甘い飲み物を与えていない』と断ったんです。その時、早苗さんに、愛理さんが子どもの食べるものにこだわりがあることをそれとなく伝えればよかったのですが……ママ同士の会話が盛り上がる中、ちょっとしたトラブルが起きてしまって」

 それは、愛理さんの娘が遊びに飽きてぐずりだした際に起こったという。

「気を利かせた早苗さんは、『おやつ食べる?』と言って、用意していたシュークリームをお姉ちゃんに出していました。おなかが空いていたのか、勢いよくシュークリームをほおばるお姉ちゃんを見て、K君も一緒に生クリームをペロっと舐めてしまったんです」

 その様子を見た愛理さんは、慌ててK君からシュークリームを取り上げた。「『2歳で生クリームなんてまだ早いのに』と怒りながら、K君の口元を拭いていました」と語る薫さん。しかし、愛理さんの怒りは収まらなかったそうだ。

「帰り道、愛理さんから『私が子どもの食べ物に気を付けているというのを、早苗さんに伝えておいてほしかった』と非難されました。『だいたい2歳児に甘いものを与えないのは、当たり前じゃない』と、早苗さんにも怒りの矛先を向けていたんです。でも、それは家庭によって違うはず。実際、うちは甘いものも結構食べさせちゃっていますし、早苗さんが悪いわけではない。愛理さんは『2歳児のいる会に甘いものを用意するほうがおかしい』みたいな口ぶりでしたけど、そういう暗黙のルールはないと思うんです……」

 乳幼児に何を食べさせるのか、頭を悩ませているママは多い。食物アレルギーがある場合は当然だが、初めての育児では慎重になってしまうものだ。しかし一方で、特に気にしていないというママもおり、子どもが口にするものをめぐっては、人によって考え方がまったく異なるといえるだろう。

 特に生クリームやチョコレートといった甘いものは、小学校に入学するまで控える家庭もあれば、1歳の誕生日から解禁という家庭もある。育児書ではよく、「1歳から少量ずつ与え始めてもよい」というアドバイスが載っているが、「なぜそうなのか」という明確な指針がないので、ママも振り回されやすいのだろう。

 今回のケースの場合、家に招いた側の早苗さんは、薫さん、愛理さん親子をもてなそうと思って、ジュースやシュークリームを用意していた。最初に「おやつに甘いものを出そうと思っているけれど、食べられるか」という一言があればよかったが、愛理さんと特に親しいわけではない早苗さんは、確認ができなかったのだろう。

 ママ友付き合いが長いと、おやつや飲み物に何を出せばよいのか、それとなく暗黙のルールが出来上がるものだが、初めての訪問の場合、それはやはり難しい。愛理さんがキッズカフェに食べ物を持ち込むほど、K君の食べるものに神経を使っていたのを知っていたならば、やはり薫さんが早苗さんにその旨を伝えるべきだったと思う。

 今回、薫さんが話してくれたエピソードは、ママ友間でよく起こるトラブル。ファミレスのように個別でメニューを頼むような場面は別にして、ママ友宅での集まりや公園でのピクニックなどでは、子どもの年齢や、食べられないもの、与えていないものを事前に確認する――これは面倒であってもママ友付き合いにおいては重要だ。乳幼児以外でも、小学校低学年ならば、「子どもに炭酸飲料を飲ませているか否か」など、トラブルになりそうな火種はいくつもある。

 愛理さんは「2歳児のいる会に甘いものは用意しない」が暗黙のルールだというが、それは、薫さんが言うように家庭ごとで方針が違うので、ややズレた考え方のように思う。ただ、子どものおやつや飲み物について、相互で確認し合うのは、ママ友間の付き合いを円滑にするための暗黙のルールといえよう。

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