「石けんや柔軟剤のにおいが不快」「人混みのにおいで頭痛がする」 など、においに敏感なことでお悩みではありませんか?
毎日の生活のなかで、においによって体調を崩してしまうのはつらいですよね。においで頭痛や吐き気を催してしまう方は、もしかすると「嗅覚過敏」かもしれません。嗅覚過敏とは何か、その原因や対策について薬剤師の中山歩実氏に解説してもらいました。
1.においに敏感な「嗅覚過敏」とは
嗅覚過敏は、嗅覚障害の一種で「においを感じすぎる」「においによって体調に影響が出る」といった場合を指します。いろいろなにおいを感じるとしても、特に体調に問題がなく、不快に思わないのであれば問題ありません。
1‐1.嗅覚過敏チェックリスト
自分が嗅覚過敏なのかどうか、チェックしてみましょう。以下の項目で当てはまるものが多ければ、嗅覚過敏かもしれません。
・ほかの人が気にならないような、わずかなにおいが気になってしまう
・化粧品売り場など、さまざまなにおいの混ざる場所で体調が悪くなる
・花や石けんといった「いいにおい」に分類されるようなものでも不快に感じる
・においによって吐き気、頭痛、めまいなどの症状があらわれる
2.嗅覚過敏の原因
嗅覚障害の原因としては、副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎、ウイルス感染、ストレスなどが考えられます。
特に、精神的なストレスで気持ちが落ち込んだり、逆に気持ちが高ぶったりすることで嗅覚が過敏になるというのが最も多いケースです。また、鼻をケガしたことがきっかけで嗅覚に偏りが出て、特定のにおいに敏感になるということもあります。
最近注目されている「HSP(Highly Sensitive Person:人一倍繊細な気質をもつ人)」という概念をご存じでしょうか? HSPの方は、嗅覚をはじめとした感覚過敏が多いといわれています。
生活していれば、さまざまなにおいに晒されるもの。ちょっとしたにおいで頭痛などの症状が出てしまっては、生活に支障をきたしてしまいます。嗅覚過敏を和らげるためにできる対処法を試してみましょう。
3‐1.ツボを押す
嗅覚過敏の改善につながると考えられるツボを2つご紹介します。
・印堂:ストレスや緊張を緩和するツボ
眉間の中央にある、若干窪んでいる部分です。人差し指か中指の腹を使って、少し痛いかなと感じる程度の強さで、ゆっくり呼吸をしながら押してください。
・天迎香:リラックス効果のあるツボ
小鼻の付け根の部分です。両手の人差し指を使って、上向きに押すようなイメージで20秒ほど押さえましょう。脳の血流を改善させることで、リラックス効果を得られます。
3‐2 .ストレス解消に運動
ストレスでイライラしたり眠れなかったりといった不調のある方は、運動でリフレッシュをはかってみませんか? 運動をすることでドーパミンやセロトニンなどの物質が脳内で分泌され、ストレスを減らし幸福感を感じさせてくれます。
あまり体を動かすのが好きではない方は、ヨガやストレッチなどのゆったりした運動からスタートしてみるのもいいでしょう。
3‐3.マスクなどでにおいをブロック
においを少しでも感じにくくするために、マスクやハンカチを活用しましょう。今は新型コロナウイルスの感染対策で多くの方がマスクをしているので、違和感も少なく試しやすい方法です。
においを軽減させることに特化したマスクも販売されていますので、試してみてはいかがでしょうか?
これらの対処法を試しても、嗅覚過敏はすぐに改善しないかもしれません。そんな方は、漢方薬で嗅覚過敏症状を緩和しませんか?
嗅覚障害の改善には、「鼻の粘膜の腫れを和らげる」「嗅細胞の再生を促す」「自律神経のバランスを整える」「血流をよくして自律神経の乱れを改善する」などの働きがある生薬を含む漢方薬を選びます。
漢方薬は自然由来の治療薬です。嗅覚過敏などの嗅覚障害からの回復だけでなく、心と体全体の体質を根本改善することを得意としています。
<嗅覚障害でお悩みの方におすすめの漢方薬>
・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):貧血、冷え症で疲れやすい方
感冒後の嗅覚障害にも有効であったという報告もなされています。
・人参養栄湯(にんじんようえいとう):痩せていて血色の悪い方
当帰芍薬散と一緒に用いることで感冒後の嗅覚障害に効果があると考えられます。
漢方薬を選ぶときは、ご自身の体の状態や体質を考慮しなくてはなりません。うまく自分に合っていないと、効果を感じられないこともあります。しかし、漢方薬はたくさんの種類があるため、どの漢方薬が合うのか判断するのは難しいですよね。
そんなときは、「あんしん漢方」などのオンライン漢方サービスに、一度相談してみるのもいいでしょう。漢方に精通した薬剤師とAIがあなたに効く漢方薬を見極めて、お手頃価格で自宅に郵送してくれます。
5.もうにおいに悩まされない!
今回は、嗅覚過敏とは何か、そしてその原因や対処法について解説しました。日常のちょっとしたにおいに敏感に反応して頭痛や吐き気、めまいといった症状を起こしてしまう嗅覚過敏。まずはストレスを減らし、リラックスして過ごすことが大切です。それでも改善が見られない場合は、専門家に相談して漢方薬を使ってみるのもよいでしょう。少しでもにおいに悩まされずに過ごせるよう、今回ご紹介した対策を試してみてください。
薬剤師・中山 歩実
大学病院、市立病院での勤務を経て、長期療養型の病院へ転職。なかなか改善しない症状に対し漢方を使ったサポートを実施している。さまざまな病気の段階の方と接する中で、正しい医療情報を得ることの難しさを痛感し、ライター活動を開始。がんや感染症、生活習慣病など幅広い疾患や薬についての記事制作を担当。「誰もが自分のからだを労れる社会」を目指し、漢方のプロがAIを活用して自分に適した漢方薬を選び、お手頃価格で自宅に郵送してくれる「あんしん漢方」で情報発信をしている。