King&Prince・岸優太、平野紫耀、神宮寺勇太、そして三宅健と、退所を発表するタレントが続出しているジャニーズ事務所。声優界にも離脱者が後を絶たない事務所は存在するが、中でも「近頃、アイムエンタープライズ(以下、アイム)は主力声優の流出が目立つ」(声優業界関係者)という。
同事務所からは、テレビアニメ『ご注文はうさぎですか?』シリーズ(TOKYO MXほか)のココア役や、『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』シリーズ(TBS系)の一色いろは役、『五等分の花嫁』(同)中野四葉役などの人気キャラクターを演じる佐倉綾音が、昨年2月に青二プロダクションへ移籍。
また今年1月には、『呪術廻戦』(同)の伏黒恵役を務めるほか、アーティストとしても活躍する内田雄馬が、インテンションへと移り、『けいおん!』(同)の秋山澪役で知られる日笠陽子もフリーに転身した。
相次ぐタレントの退所に、ネット上のアニメ・声優ファンは「アイム、退所者多くないか?」などと騒然。中には、「裏で何か起こってるとしか考えられない」と臆測する声も見受けられる状態だ。
そんなアイムの業界評について、前出の声優業界関係者は以下のように語る。
「同事務所は、アーツビジョン(以下、アーツ)系列のプロダクションで、若手を積極的に売り出そうと分社化してできたんです。所属タレントの数は多くないものの、内田真礼や早見沙織、釘宮理恵、下野紘、松岡禎丞ら、安定した人気を誇る若手声優を抱えています。昔から業界内では『アニメといえばアーツ』と言われ、アーツ声優は数々の人気作に起用されてきたのですが、アイムでは、そんなコネクションとノウハウを持つ同社の元スタッフが働いている。そのため、これだけの実力派の若手を揃えられたのでしょう。業界からの評判は悪くはないと思いますよ」(同)
一方で、事務所側は「退所希望者を積極的に引き止めていないと予想される」(同)という。
「アイムのみならず、アーツからも多 くの退所者が出ています。 実力と人気が出てきたら、より高みを目指して移籍したり、独立して自分で事務所を立ち上げようとするタレントが出てくるのは自然なこと。事務所としても、タレントをずっと抱えていられるわけではありませんし、組織の新陳代謝をはからなければなりませんから、『退所したい』という人を無理に止めたりはしないのでしょう」(同)
その背景には、アーツが持つ付属養成所「日本ナレーション演技養成所」(以下、日ナレ)が「一大産業化している」(同)ことも関係しているとか。
全国17カ所に校舎がある同養成所は、コースが細分化しており、卒業時期を設定していないため、生徒が希望しない限り何年でも通うことが可能。その分、学校側には授業料が入ってくるというシステムのようだ。
「アーツに所属している声優たちは、ほぼ全員が日ナレ出身ですから、彼らの存在はいわば“広告塔”。その活躍を見て、日本全国から声優志願者が集まり、日ナレの生徒になってくれます。 おそらく、声優事務所としての売り上げに匹敵するぐらいの“儲け”があるとみられ、“養成所ビジネス”が大成功を収めているはず。ちなみに、第一線から遠ざかっているベテランの所属声優も、養成所で講師をさせれば、報酬を支払うことができます。このシステムがとてもうまく回っているようですから、退所者たちが続出しても、事務所に大きな支障はないのでは」(同)
相次ぐ人材流出に事務所の将来を不安視するファンもいるようだが、実際のところは、“安泰”のようだ。