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『ザ・ノンフィクション』子どもの適応力と、ウクライナの故郷に帰りたい大人

 日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。3月5日は「たどりついた家族 2 後編 ~帰りたい 戦火の故郷へ~」というテーマで放送された。

『ザ・ノンフィクション』あらすじ

 2022年2月24日に始まったロシアのウクライナ侵攻。ウクライナ首都キーウ(キエフ)から400キロ離れた同国東部の街、ドニプロで暮らしていた45歳の母マーヤと、7歳の娘レギナ、5歳の息子マトヴェイは、開戦から10日ほどたった3月5日、日本へ避難するためにドニプロを発つ。日本にはマーヤの長子であり、レギナとマトヴェイにとって年の離れた姉・アナスタシアが、日本人の夫・和真と結婚し新宿で暮らしているからだ。当初、一家3人は和真の家に身を寄せていたが、その後は都営住宅で生活するようになる。

 一方、マーヤには障害のある兄ジェニャがおり、ジェニャの世話を亡き夫の高齢の母サーシャに頼み日本に来ていたため、マーヤは10月11日、日本を発ちウクライナ・ドニプロへ戻る。ドバイ経由でウクライナ隣国ポーランドのワルシャワまで行き、そこからバス、電車を乗り継ぐ長旅だ。途中リビウ(ウクライナ西部の都市)では外出禁止令が出され、駅でそのまま寝泊まりする事態に。さらに、帰路でマーヤは肺に穴があく肺気胸を患い、入院生活を余儀なくされる。

 日本では和真とアナスタシアが、レギナとマトヴェイを世話することになる。アナスタシアは、日本の大学で学ぶために必要な「日本留学試験」の受験勉強中だ。「日本留学試験」は日本語能力だけではなく、文系でも数学が科目に含まれ、かなり広範な知識、学習が求められる試験。試験当日、帰宅したアナスタシアは浮かない顔で、和真と話す中で泣いてしまった。

 また、ホームシック気味にも見えたマトヴェイだが、日本語で世話をする和真との日々のコミュニケーションを通じ、急速に日本語を覚えていき、幼稚園でできた友達と日本語で遊んでいる姿も見られるようになる。

 そして12月12日、予定より遅くなるもマーヤが日本に戻ってくる。ジェニャの世話は引き続きサーシャが見てくれることになったという。なお、7カ月ぶりに戻ったウクライナの自宅には、大きな蜘蛛の巣ができており、帰宅中は自分の真上をロシア軍の自爆型のドローンが飛んでいたこともあったという。マーヤも当初は一時的な避難で日本に来ている認識だったようだが、日本語学習を始めるなど心境の変化がうかがえた。

 日本時間の2023年1月1日朝7時前、ウクライナが日本から7時間遅れで新年を迎える際、マーヤ、アナスタシア、レギナ、マトヴェイはゼレンスキー大統領の新年のメッセージをテレビで見つめていた。

『ザ・ノンフィクション』日本の生活に適応していく子どもたち

 和真、アナスタシア夫妻にとってはマーヤが帰国していた2カ月間は、7歳、5歳の子どもの世話に追われる大変な日々だったと思う。しかし、レギナに比べ日本語も苦手でホームシック気味な弟マトヴェイの日本語能力、しいては日本への適応力はマーヤ不在の2カ月で飛躍的に向上したように見えた。「日本語を使う必要に迫られた“母マーヤの不在”」が大きかったとえ思うが、それ以外にもやはり「子どもの適応能力の高さ」もあるだろう。

 『ザ・ノンフィクション』では過去にも日本語を習得する外国人をテーマにした回が何度かあった。が「小学校中学年」あたりに明らかに境界線があると感じるくらい、それ以下とそれ以上の年齢で、日本語習得における苦労はケタ違いに見える。

 小学生でも高学年くらいになると、日本語の習得は大人同様に大変そうで、小学校低学年以下のレギナやマトヴェイのような、「気が付いたら日本人の友達と日本語で遊んでいた」感じとは様子が違う。日本語を例に出したが、日本人が外国語を学ぶ時も同様に思う。

『ザ・ノンフィクション』故郷に帰りたい大人

 マーヤが帰国していた間、ウクライナは停電もよくあったよう。何より自分の真上をロシア軍の自爆型ドローンが飛んでいるなど、生命の危険すらある環境下においても、マーヤは2023年を「(ウクライナへの)帰還の年」と話しており、彼女にとって住まうべきふるさとは、当然ウクライナなのだろう。障害のある兄を高齢の義母に任せている状況が変わっていないことに対する思いもあるだろうが。

 次回は『新宿二丁目の深夜食堂 前編 ~人生を奏でるビール瓶~』。新宿二丁目で深夜0時に開店し、午前9時まで営業する深夜食堂「クイン」の77歳名物ママと同い年の夫、ママを訪ねる客を見つめる。