下世話、醜聞、スキャンダル――。長く女性の“欲望”に応えてきた女性週刊誌を、伝説のスキャンダル雑誌「噂の真相」の元デスク神林広恵が、ぶった斬る!
通常の3700倍ものレジオネラ属菌が検出され、その後の会見でも大きな批判を浴びた福岡県の老舗温泉旅館社長(その後辞任)が自殺を遂げた。しかし、あれだけ大騒ぎして猛バッシングを繰り広げていたワイドショー・情報番組はこの痛ましい自体をほぼスルー。腐ってる――。
第641回(3/9〜3/14発売号より)
1位「三浦瑠麗 『巨額横領マネーでセレブライフ』の化けの皮」(「女性セブン」3月23日号)
同「三浦瑠麗 夫が逮捕でも毎日オシャレ出社で笑みも見せる“鋼の心臓” ピンチも疑惑も堂々の“ヒロイン気質”」(「週刊女性」3月28日・4月4日合併号)
2位「宮沢氷魚 黒島結菜とお泊まり愛!」(「女性自身」3月28日・4月4日合併号)
3位「小室佳代さん 『影武者騒動』渦中の女性が『ひどいわ…』」(「女性自身」3月28日・4月4日合併号)
太陽光発電への出資をめぐり、約10億円をだまし取った出資金の横領容疑で3月7日、三浦清志氏がついに逮捕された。この事件が大きく注目されたのは、際政治学者であり著名コメンテーターの妻・三浦瑠麗氏の存在が大きいのは言うまでもない。この疑惑が浮上して以降、女性週刊誌も積極的に瑠麗氏について報じてきた。
例えば「女性セブン」の「三浦瑠麗『夫が10億円トラブル』で自宅にガサ! 残念すぎるセレブ生活」(2月9日号)や、「女性自身」の「三浦瑠麗 論客ベストマザーが連夜の乱行!」(2月28日号)、そして「週刊女性」もネットを含めるとかなりの量の原稿を出稿している。
それも当然だろう。瑠麗氏は夫の会社とは無関係と主張しているが、それが虚偽だということは暴かれつつあるし、さらに夫の事業である太陽光発電を推奨する発言をさかんにしてきた瑠麗氏は、夫の事業に対し自らの立場を利用し、公に応援・推進してきたことにほかならないから。何より社会的影響の大きいテレビコメンテーターとして政治について発言、さらに政府の有識者会議で委員まで務めた人物だ。
そんな瑠麗氏の夫がついに逮捕という事態となり、改めて「セブン」「週女」が三浦夫妻について記事にしている。まずは「セブン」。タイトルにあるようにかなり“攻めて”いる。まずは事件の張本人である清志氏についてこう記す。
「いつも上から目線で、コミュニケーション能力が低く、事業を成功させられるビジネスの能力がない。うまくいかない事業をぶちあげてはお金を集まるだけ、ということも少なくなかったようです」(捜査関係者のコメント)
まるで詐欺常習犯のような書きっぷりで、けちょんけちょん(笑)。しかし記事でもっと大きく取り上げているのは、もちろん妻・瑠麗氏のほうだ。
「(夫が逮捕された当日)集まった取材陣の前で、50万円はくだらない『ドルチェ&ガッバーナ』のグリーンのコートを身にまとった国際政治学者の三浦瑠麗氏(42)が不敵な笑みをたたえていた――」
こんな表現で瑠麗氏を紹介、そのセレブ生活を揶揄し、また瑠麗氏が夫の会社経営に関わっていることを過去のテレビでの発言から指摘もしている。
「週女」も同様、夫の逮捕当日の瑠麗ファッションを紹介、それだけでなく翌8日も「ドルガバ」と「シャネル」のバッグを重ね持ちしていたこと、さらにその翌9日も「グッチ」の半袖ワンピにイタリアブランドの靴を履いていたことを記している。連日のファッションチェックといった様相だが、もちろんそれだけでなく、記事では夫との“共犯関係”が疑われていることも指摘する。そして瑠麗氏を“悲劇のヒロイン気質”と断じている。
この2誌を見ただけでも三浦夫妻、特に瑠麗氏がいかに注目を集めているかがわかるだろう。
でもテレビは違った。ワイドショーや情報番組では瑠麗氏を降板させただけで、この問題について深く触れようとしない。自分たちがコメンテーターとして起用し、重宝してきた“使用責任”を追求されたくないのだろう。もちろんいまだ身内意識もあるのかもしれない。そして冒頭の温泉社長自殺と同様に、三浦夫妻の事件をスルーし、ひたすらWBCの連勝を騒ぎまくる。
さらに今回は、テレビだけでなく週刊誌の2大巨頭(?)の「週刊文春」(文藝春秋)と「週刊新潮」(新潮社)もなぜかスルーという摩訶不思議な現象が起きている。その理由は「作家タブー」にほかならない。瑠麗氏は「週刊文春」発行の文藝春秋から著作を出しているだけでなく、いくつもの媒体に執筆、また「週刊新潮」の版元新潮社も同様だから。
メディアのご都合主義が露骨に現れた三浦夫妻の今回の事件。そんな中、今後も女性週刊誌に期待したいが、ちょっと心配な出来事も。これまで率先して三浦夫妻について批判的に取り上げてきた写真週刊誌「フラッシュ」(光文社)。だが、3月14日号で突如として瑠麗氏のインタビューを掲載、その中身は事件に触れることなく完全な“よいしょ記事”だったことだ。そして「フラッシュ」の版元は「女性自身」と同じ光文社——。今週「自身」は瑠麗氏について取り上げていたが、もしや――。ちょっと心配だ。
先月2月28日発売号で宮沢氷魚と黒島結菜の熱愛をスクープした「女性自身」。でも、このスクープ記事は少々変だった。記事には熱愛のディテールなどがあまりに乏しく、ただ匿名の映像制作関係者のコメントがあるのみで“熱愛”の確証が曖昧だったから。そして記事にはツーショット写真が掲載されていたものの、熱愛とは無関係だったから。それは昨年11月にパリから一時帰国していた杏が自宅で催した杏の長男の誕生パーティに招待された2人が杏宅から一緒に出てきただけの“過去”の写真だった。そんな疑問を本欄でも呈しておいたのだが、今週の「自身」を見てびっくり!
2人が仲むつまじく犬の散歩をしているツーショット写真が掲載されている! それだけでなく、黒島の背後から抱きつくような宮沢のツーショット写真も! この写真が撮られたのは「自身」が発売された2月28日の5日後だという。記事の説明によるとこの写真が撮られた前日、2人は杏のホームパーティに招かれ、そして帰宅は2人一緒に黒島宅へ。そしてお泊まり翌日に撮られたのがこの写真だ。お泊まり確認に、ツーショット写真。「自身」渾身の“証拠”記事だ。
でも、やっぱり不自然。熱愛報道直後に有名芸能人同士がこんな堂々と散歩する? 写真を撮られちゃう? しかも「自身」ネット版では記事掲載以外の2人のツーショット写真が複数掲載されているが、何やら素敵すぎるし、なんだか撮られているのがわかっているような感じにも思えるから。やらせ? 何か事情がある? 取り引き? しかもスクープ撮なのに、記事はたった1ページ。
やはりモヤモヤと不可解な気分だ。
「小室佳代さん影武者騒動」のひどい記事
相も変わらず小室圭関連ネタ(もちろんバッシング)が大好きな日本社会と日本マスコミ。今週もトンデモネタが「女性自身」に掲載されている。「自身」によると圭の母親・佳代さんの姿が今年になって見かけられなくなったというが、しかしそんな2月下旬に不可解な出来事が。
「ある週刊誌」に佳代さんが自転車に乗っている近影が掲載されたというのだ。そして浮上したのが“影武者説”。そこで「自身」は自転車を頼りに「ある週刊誌」に掲載された人物を見つけ出し直撃、女性は写真が自分だと認めて「人違いされるなんてひどいですよね…」とのコメントを。
こんなネタ、よくやるよね「自身」。別人と間違えた「ある週刊誌」(おそらく「フライデー」かと)もひどいが、それを影武者騒動と騒ぎ立てる「自身」もひどい。