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  • 日. 9月 8th, 2024

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中学受験塾に通うお金がない! それでも第一志望に合格した子が小4からやっていたこととは?

 “親子の受験”といわれる中学受験。思春期に差し掛かった子どもと親が二人三脚で挑む受験は、さまざまなすったもんだもあり、一筋縄ではいかないらしい。中学受験から見えてくる親子関係を、『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などの著書で知られ、長年中学受験を取材し続けてきた鳥居りんこ氏がつづる。

 今や中学受験は「珍しくないこと」といえるほどの大盛況ぶり で、今年度の中学受験者数は過去最高を記録。近年では、中学受験開始も低年齢化が進んでおり、一部の地域では小学1年生から中学受験専門塾に通っている子も多数存在する。

 中学受験塾に限らず、世の中は早期教育全盛の時代。英会話を筆頭に体操、水泳、ピアノ、プログラミング、公文などの習い事に複数通っている子も珍しくない。

 子どもの塾や習い事は、親の所得格差が如実に現れるものだが 、このような早期教育は皆無でも、難関大学の切符を手にしている子もまた多い。

 今回は、裕福とはいえない家庭環境にありながらも、中学受験をして「夢を叶えた子」の話をしてみたい。

 春香さん(仮名)は現在20歳。幼稚園の頃に父親を亡くし、母親である真理さん(仮名)との2人暮らしだ。

 父親は大病を患い、その治療費がかなりの額に及んだそうで、春香さんいわく「父が亡くなった時には、我が家の財布はスッカラカン」。真理さんは長く専業主婦であり、正社員の働き口がなく、早朝と日中のパート の掛け持ちで、必死に春香さんを育ててくれたという。

「私が住んでいるのは教育熱心なご家庭が多いエリアなので、放課後に遊んでいても、友達は『習い事があるから』って帰っちゃうんですよ。うちは経済的に塾や習い事なんてもってのほかだったので、1人残されてしまって……。 小4からは学童もなかったため、みんなが塾に行く一方、私は閉館まで市の図書館で本を読むってコースが多かったです」

 真理さんには「朝と夜の食事は家族で!」という方針があり、春香さんと必ず一緒に食卓を囲んでいたという。

「その時に、親子で『今日あった楽しいこと』を発表し合っていました。それこそ、近所の家の犬をなでたとか、そんな他愛もない話です。それから、最近読んで面白かった本を互いに教え合ったり……。2人とも図書館マニアなので、読書が趣味なんですよ。お金、要らないですし(笑)」

 春香さんは、幼い頃に母と囲んだ食卓の話をするうち、 思い出したようにこんな話を付け加えた。

「母のすごいところは、子どもの話を最初から最後まで、ちゃんと聞いてくれたところですね。母が『うんうん、それで?』と言ってくれるので、調子に乗ってしゃべっていました」

 春香さんが小5になった頃、ある日、真理さんはホワイトボードを買ってきて、キッチン脇に据えたそうだ。

「何を書いてもいいボードなので、お絵描きしたり、ほかにも、買って来てほしいものを書いておくとか、伝言板のような役割も果たしていました。そこに、ある時、私が何気なく“疑問”を書いたのが、私の中学受験の始まりでした」

 春香さんは「なぜ、空は青いのか?」と書いたのだそうだ。

「今ではスマホで検索すれば一発 解決でしょうが、当時、我が家にはなかったので(笑)、3日後くらいですかね。母が『ママはこう思うんだけど、合ってるかしら?』と言ってきたんです。それで、私も一緒に調べて、いろいろな説を考えたんですが、正解かどうかがわからなかったので、学校の担任の先生に聞きに行きました」

 当時の担任は、春香さんいわく「とてもいい先生」で、 懇切丁寧に「空が青い理由」を教えてくれたそう。その時、春香さんは「勉強って楽しい!」と実感したそうだ。

「昨日まで疑問でしかなかったことが解るって、すごく面白いと思いました。それで、次々と思いつく疑問を自分なりに調べて、先生に正解かを聞きに行ったんです」

 そんな中、先生が「春香は公立中高一貫校に入りなさい」と背中を押してくれるようになったという。

「先生は、面談の時も母に熱心に中学受験を勧めてくれました。でも、なんたって我が家にはお金がないですから(笑)、みんなが通うような有名な中学受験塾 には行けないんです。そしたら、母がどっかから、格安で勉強をみてくれる塾を見つけてきて、そこに通うようになりました」

 そこは、おじいさん先生が1人で生徒たちを見ている“寺小屋”のような雰囲気だったそうだが、毎年、公立中高一貫校に合格者を出しているという実績を持つ塾。春香さんは水を得た魚のように中学受験の勉強に身を入れ出した。

「多分、中学受験をする友達が羨ましかったんだと思います。心のどこかで『みんな、いいなぁ、塾に行けて楽しそう』って思っていましたから。『自分も塾ってところに行けて、受験ってものができるんだ!ってすごくうれしかったのを覚えています」

 春香さんは1年半の勉強の末、見事、志望校の公立中高一貫校に合格。その後、塾にも予備校にも通わず、大学受験を突破し、現在、国立大学の看護学部の3年生。父親が入院生活を送っていた時、お世話になった看護師さんにずっと憧れていたのだそうだ。

「今でも思い出すんですが、あの頃の母はいつ見ても、夜中に勉強していたんですよね。働きながら勉強するなんて大変なのに、全然、 嫌そうじゃなかったのも印象深くって。『ママ、今まで勉強したことなかったから、すごく新鮮!』と言って、ニコニコしていました。いつも『春ちゃん、勉強って楽しいわね』と笑いかけてくれるので、私には『勉強は楽しいこと』って刷り込みがあったようです(笑)」

 実は、真理さんは春香さんの受験に負けじと勉強に励み、ある難関資格を取得。今では、その分野の正社員として働いているとのことだ。

 中学受験塾の入塾時期が低年齢化しているという話題が取り上げられるたび、早期教育の是非が議論になる昨今。 しかし、中学受験、ひいては子どもの教育において重要なのは、家庭でいかに「勉強は楽しい」という実体験を積ませられるかなのかもしれない―― 春香さんの話を聞いて、そんなことを思った。

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